資源の有効活用が求められる現代。
世界の航空業界がしのぎを削っているのが燃費のいい機体づくり。
その開発で大きな鍵となっているのが羽だ。
空気抵抗が少なく浮かび上がる力の強い究極の羽があれば同じ燃料でも長くそして遠くへ飛ぶ事ができ空の世界に革命を起こせる。
その手がかりとなるのが…。
・12の3。
小さな力で羽と軸だけで飛ぶ竹とんぼ。
長い時間飛ぶ竹とんぼへの挑戦は究極の羽の開発につながる。
そこで今回は前人未到の滞空時間を目指す竹とんぼ対決だ!ひと組目は燃費が注目を浴びるホンダジェットの開発に携わった…ここ落としてこれはちょっと細くなるかどうかを見たいんですよね。
飛ぶ事を知り尽くした男の緻密なデザインを形にするのは…自信は満々だ!対するは生物の形や動きから流体力学を研究する…36億年の歴史が育んだ神秘的な生物の形状から摩訶不思議な竹とんぼが生み出される。
この時だけ…。
究極の滞空時間を目指し異なるジャンルの凄腕の科学者たちが激突!うわすげえすげえすげえ…。
テイクオフ。
(拍手)さあ始まりました「超絶凄ワザ!」でございます。
さあ今回テーマは竹とんぼ対決でございます。
これも深そうですね。
そうですよね〜。
今回この竹とんぼで競い合いたいのは滞空時間です。
それはそうと今日のこのすごいですね。
やる事竹とんぼなんですけどね。
スケールすごいじゃないんですか。
こんなに無駄に使います?無駄って言わないで下さい。
これが必要なんですよね。
今回広さもそうなんですけれど屋内なんですね。
屋外ですと竹とんぼが風にのってより長い時間飛ぶという事も考えられますので今回屋内で純粋に竹とんぼの性能だけで勝負したいという事でここに…。
気合いが入っております。
更に飛ばす人の力で差が出ないようマイスターズ・ハンドと呼ばれる発射機を用意。
製作した藤教授にまずは市販の竹とんぼを飛ばして頂く。
上手な人が飛ばすのと同じように1分間におよそ8,000回転を与えて発射する。
・テイクオフ!あ〜真上に上がってそのまま落ちました。
4秒届かないくらい。
こんなもんですか?何かもっといきそうな…。
いやこんなもんだと…。
もう手でやって頂いてももうほぼほぼ変わらないと思います。
え〜何かもっといきそうな気しますけど。
あ…ジュニアさん1秒82でした。
ほんまや…。
(藤)間違いないです。
こんなんでしたっけ。
すごいですね。
それは結構大事ですね。
結構長いですよね。
という事でこの竹とんぼ対決。
この難問に挑戦して下さるふた組ご紹介します。
最先端の航空工学で竹とんぼ作りに挑む…リーダーは空力のスペシャリスト重谷秀夫。
メーカーから依頼を受け飛行機やロケットなどの空気抵抗をいかになくすかを研究している。
数ある業績の中でも今驚異の燃費性能で世界の注目を浴びているのが新型の小型機ホンダジェットだ。
重谷は開発段階で精密な模型を作り空気の流れを分析。
この研究が空気抵抗を極限まで減らし驚きの燃費につながっていったのだ。
今回重谷の緻密なデザインを形にするのは20年近く仕事で組んできた3Dプリンターのパイオニア企業。
光造形と呼ばれる最新技術でコンマ1ミリ単位にまで及ぶ重谷の要求に応え…。
あのホンダジェットのテスト用模型もこのタッグで造り出した。
竹とんぼを作った事がないという重谷。
単純な構造だけにそこに差を生み出す挑戦は今後の仕事で生かされると参加を決めた。
絶対勝つぞ!
(一同)オー!もうひと組は奇想天外。
常識にとらわれない研究者が参戦だ。
東洋大学で流体力学を教える望月修。
専門はバイオミメティクス。
生物の形や動きをモノづくりや人の活動に応用するという。
この研究は意外なところで使われている。
例えばムササビ。
この飛行姿勢からあるスポーツに変革をもたらした。
それは…。
・極められた彼のジャンプ。
何とスキージャンプ!80年代に流体力学の知識を買われ日本代表にアドバイスを求められた望月。
体を倒した姿勢をムササビのように着陸ギリギリまで保つ事を提案。
その後の日本勢の活躍につなげた。
・これも高いぞ!今回は研究室全員で究極の竹とんぼを目指す。
未知への挑戦で科学者としての姿勢を学生に伝えたいと望月は言う。
チョウ?鳥の羽?みんな頑張るぞ!
(一同)オー!すごい楽しみ。
何かこう科学対自然みたいなね対決ですね。
それぞれ全然専門分野違いますからね。
先生どうですか?今回のこのチャレンジは。
最初簡単だろうとやっぱり思って安易にやるって言ったんですね。
若干やっぱなめてかかってしまいますよね。
竹とんぼですからね。
さあ対します重谷さん。
このオファーがあった時にどういうふうに思われました?そうですね今世の中でいろいろ3Dプリンターとか騒がれてるんですけれども実はその3Dプリンターより昔からあってそれよりもずっと精度の高い光造形っていう造形法があるって事は意外と知られてなくてですね。
それを使ったら竹とんぼってもっとすごくレベルの高いものになるんじゃないか。
すごい技術を竹とんぼに入れるわけですね。
安藤忠雄に犬小屋作らすみたいな。
対決1か月半前。
光造形ウィングスの重谷は生まれて初めて竹とんぼ作りに取りかかった。
ルールは羽と軸の長さに規定があるものの素材や形状などは自由。
最初に重谷は竹とんぼが飛ぶ理想の軌道を図に起こし始めた。
まずはできるだけ高く上がる構造から考え始めた。
緻密な計算をもとにデザインを始めた重谷。
過去の経験から秘策があった。
一見すると普通の竹とんぼ。
しかしこの羽厚いところでも僅か3ミリという薄さと軽さにこだわったものだ。
このアイデアはJAXAとともに3年前に行った火星飛行機の研究からきている。
大気が極めて薄い火星では普通の翼だと飛び上がる事すらできない。
そんな環境でも対応できるといわれているのが薄くて軽い特別な形の翼だった。
この翼の軽さこそ竹とんぼを高く上げるのに最適だと重谷は考えたのだ。
羽の基本形ができると3枚羽2枚羽などその枚数と取り付け角度の違うもの15種類を一気にデザイン。
重谷の頭の中では既に竹とんぼが飛び始めていた。
スタジオえ〜14〜15秒だとすごいよ。
いよいよ実際の製作。
思いのこもったデザインを光造形の職人たちに伝える。
しかし職人たちの表情が徐々にこわばっていく。
機械で造形できる限界は0.3ミリ。
デザインはそれを下回っているのだ。
重谷の無理難題はいつもの事。
ともかく最新鋭の光造形機で製作に取りかかった。
これは3Dプリンターの一種。
液体状の特殊な樹脂に紫外線を当てる事でデザインどおりのものを作り出す。
特殊な樹脂に紫外線レーザーを当てると0.1ミリだけ一瞬で固まる。
この0.1ミリ分の層を作っては台を下げ更にその上の層を作っていく。
これを繰り返し複雑な形状のものを作り上げてしまうのだ。
デザインした竹とんぼの高さは15センチ。
0.1ミリの層を1,500枚も重ねる事になる。
機械を動かしてから丸一日。
ついに竹とんぼが姿を現した。
15種類の原型が出来上がった。
ここからは職人による仕上げだ。
機械の造形限界を超えた今回のデザイン。
最終確認を行うのはこの道14年の中村玲。
造形の際にできる不要な部分を外しながらチェックしていく。
中村何か見つけたようだ。
羽が崩れてしまっている。
やはり重谷のデザインは薄すぎた。
造形は失敗か…。
この事態に中村は慌てる事なく欠けた部分にテープを貼りだした。
そこに光造形機と同じ特殊な樹脂を塗り紫外線を当てる。
何と機械と同じ事を手でやっているのだ。
欠けていた部分の重谷の要求は0.26ミリ。
今はそれより厚い。
それを紙ヤスリで削っていく。
0.1ミリでも違えば竹とんぼのバランスは崩れてしまう。
指先の感覚だけで0.26ミリを探っていく。
最新鋭の機械ですら作れなかったコンマ1ミリの世界。
0.26ミリ!100分の1ミリレベルで要求に応えてきた!中村によって仕上げられた少しずつ角度が違う2枚羽と3枚羽の竹とんぼ。
その精度の高さにデザインした本人も思わずうなった。
試作品をテストするため重谷たちは本番と同じ会場へ。
極限まで薄く軽くした竹とんぼは高く飛び理想の軌道を描くのだろうか。
・お〜!これは高い!が…。
滞空時間が短い。
上へ上へと上がる竹とんぼここまでは想定どおり。
しかしそのまま回転を止めすと〜んと真下に落ちてしまった。
重谷の想定では勢い良く上がったあとは旋回しながら落ちるはずだった。
なぜ?他の竹とんぼも思ったほど飛ばず結局この日の最高記録は5秒56にとどまった。
なるほど〜重谷さんまずはとにかく高く飛ばそうと。
そっからゆっくり下ろしてこようとされましたけど。
まあ高くはいきましたよね。
あれは思てるとおりでしょ?それはもう設計どおりでした。
大きく…言いましたけども…。
高く上がれば何となくイメージ的にはその分ゆっくり下りてくるような気もしてたんですけど。
意外と加速してすっと落ちてきてしまうと。
ねえ難しいですねこれは。
(重谷)難しいですね。
一方研究室全員で竹とんぼを作るバイオブラボーズ。
未知なるものに挑み失敗を繰り返し答えを導いていく。
科学者としての姿勢を学生たちに伝えたいと望月は考えていた。
掲げた目標は無謀だった。
更に意外な方針を宣言。
まずは上がる事を度外視して落ちてこないものを目指すという。
スタジオなるほど。
面白い。
先生もユニークなら学生のアイデアもユニーク。
やわらかい翼が空気を包み込むコウモリ。
空気がたまるとパラシュートのような役割を果たすため落ちにくいんだとか。
意外な事に学生たちのアイデアで多かったのが植物。
それも種だ。
熱帯に生息する…薄くて軽いため長い時間滑空ができるという。
植物の種には子孫を遠くまで飛ばすため落下に時間がかかるようできているものがある。
それを可能にしているのが重い部分と軽い部分が分かれた形状。
これが落下する時回転につながるのだ。
いやはやこうした動植物からどんな竹とんぼができるのか。
生物にこだわる望月。
材料はもちろんそのまま竹。
望月はまず学生に自由な発想で作らせる事にした。
その中から良いところを抽出し形状を決めるつもりだ。
(一同)オー…。
試すといっても上へは飛ばさない。
何と高さ20メートルの5階から落とすだけ。
その滞空時間を調べるという。
市販の竹とんぼは…。
4秒で落下。
落ちている途中で回転が止まりまっすぐ時間をかけずに落下する。
実験開始。
まずはコガネムシの羽をまねたもの。
ちょっと作りが粗く見えるが大丈夫?
(望月)お!意外と…。
スタジオすげえいい!続いてカエデの種。
羽の先を軽くし根元を重くしたそうだ。
スタジオすごいいいやん。
すげえ〜。
(望月)きれいだね。
オーすごいすごい。
スタジオうわすげえ!何と15秒もかけて落下。
落下実験の成功に上機嫌な望月。
その結果をもとに自ら竹とんぼを作った。
出来上がったのがこちら。
名付けてカール大帝。
カエデの種に学び羽の根元を重くし回転しやすいようにした。
更に裏側をカールさせて空気を捉える。
コガネムシのアイデアだ。
望月ここで初めて上に向けて竹とんぼを飛ばす事に…。
こん身のカール大帝果たして…。
(望月)あ…どこいった?え?いくらやっても上に飛ばない。
学生たちのも試してみるが…。
まるで駄目。
この日の最高記録は僅か1秒95だった。
落ちる事にしか力が入ってなかった〜…。
これにはさすがの望月もへこたれる。
と思いきや…。
先生ずっと笑てますけど大丈夫ですか?ほんまに…。
(望月)飛んでませんね〜。
あれでも15秒かかってきれいに落ちてきましたけど。
ですからあそこまで上がってれば…。
っていう事ですよね。
でもあそこまでまず上げないと。
それを忘れてたんですね。
点入れな!まさにそうですね。
バイオブラボーズの試作品を見てみる事に。
これですね。
カール大帝っていう学生の皆さんのアイデアを結集させた。
(笑い)せっかくですからどれか飛ばしてみますか皆さん。
コガネムシちょっといってみますよ。
もう全然やん…全然ですやん!飛び上がる気配がないですね。
正直ですねこの番組あの両者に言える事ですけど…ちょっとでかいとこ借りすぎたな〜。
2015/10/03(土) 20:15〜20:45
NHK総合1・神戸
超絶 凄(すご)ワザ!「究極の竹とんぼ対決」(前編)[字]
最新鋭ジェット機を手がける空力のスペシャリストと生物から流体力学を考える異色の研究者が、滞空時間の長い、究極の竹とんぼを作り出し、対決!【出演】千原ジュニアほか
詳細情報
番組内容
竹とんぼを、どれだけ長い時間飛ばすことができるのか、滞空時間で競い合う「究極の竹とんぼ対決」!挑むのは、“光造形”という最新の造形技術で竹とんぼを作り出す空力(くうりき)のスペシャリスト。そして、生物の生態や形状をヒントに新しい技術を生み出す“バイオミメティクス”の研究者。勝つのは、最先端の航空工学か、生命36億年の知恵か?誰も見たことのない究極の竹とんぼ対決を見逃すな!【出演】千原ジュニア ほか
出演者
【出演】挑戦者…東洋大学望月研究室,SOLIZE Products,重谷秀夫,装置監修…高藤圭一郎,【司会】千原ジュニア,池田伸子,【語り】千葉繁
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
バラエティ – その他
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