(福村)あっ…!
(大藪彦次郎)ん…よし!2日経ってるからもうだいぶよくなってるよ福ちゃん。
痛いんだよ彦ちゃん。
いや…!よしなさいっつうの!コマネチ!ハハハハハ!あっふゆみちゃん包帯巻いて。
(古賀ふゆみ)はい。
ねえこうやって痛いのは…。
痛い痛い…。
痛いのは生きてる証拠なの。
ね!死んじゃったら痛くもかゆくもなんともないんだから。
ねえ。
生きててよかったじゃん福ちゃん!いや…!もう…もう少し優しくしてよ。
本当に。
じゃあ歌っちゃおうかな?歌。
歌のサービス。
「ぼくらはみんないきているいきて…」彦!えっ?下手な歌歌うな!絵付けがずれる。
すいませんお義姉さん。
お義姉さん!?あっどうも失礼しました!院長!それにしても物騒な世の中ですよね。
オヤジ狩りなんて…。
あっ…!警察は一体何をやってるのかしら。
オヤジ狩りの連中より医者が乱暴ってどういう事なんだよ。
はいもう治ったから来なくていいよ。
いやまだ痛いよ。
あとはね福ちゃんの体が勝手に治すの。
ね。
医者の役目はこれでおしまい。
いいの?ふゆみちゃん。
ええ?経営的には患者がいたほうがいいんでしょ?仕方ないです。
院長も彦先生もそういう人だから…。
ふゆみちゃんふゆみちゃん次の人。
はい。
後白河さん後白河静子さんどうぞ。
(後白河静子)はい。
ごきげんようドクター。
あっ後白河さんあの馬鹿でかいの元気ですか?
(静子)はい。
ハハハ…あっ定期検診ですね?
(静子)はい。
どうぞお座りください。
(静子)はい。
(電話)はい東山三条医院です。
急患?わかりました。
彦!梅むらで急患だって。
ここは代わるからあんた往診行って。
出前ですね?合点承知!はい!失礼失礼失礼失礼失礼失礼…。
いや〜…お医者様も出前って言うのね。
1つ勉強になったわ。
言いません。
うちだけです。
(享子)さあ…。
最近は血圧は安定してますか?常は安定してるんですけど息子の事を考えると血圧が上がるんです。
(静子)孝麿ちゃん…。
ああ孝麿ちゃん…。
いい歳して親に心配ばっかりかけて…。
うちの孝麿は後白河家の跡継ぎなのにまだ遊んでるんです。
(くしゃみ)
(静子)刑事ごっこして…。
よし…。
(ラッパホーン)救急車だよ〜!おう!あら彦ちゃん。
(ラッパホーン)救急車だよ〜!
(ラッパホーン)おうどこだ?どこだ?
(小川志乃)彦さん!おうおうおう!患者さんは?お部屋に。
何?強い腹痛を訴えたって?
(千葉貴子)私が運んだ朝ご飯を食べたあとで…。
毒でも入れたか?この野郎。
入れるかよ!この大藪彦次郎!うるせえんだよタコ!早く案内しろオラ!タコじゃなくて貴子だよ!わかった。
早くしろオラ!
(森忠彦)ハア…あっ…。
ハア…あっ…。
娘さんだね?お父さん薬なんか飲んでる?
(森七海)そこ…。
医者です。
わかりますか?はい…。
ここが痛むんですよね?はい…!志乃ちゃんタオルをお湯で絞って2〜3本持ってきて。
はい。
大丈夫ですよ。
ここのツボを温めると楽になると言われています。
ツボって…。
ドクターなんですよね?一応ね。
大丈夫です。
ちゃんと医師免許持ってますし第一印象よりはちゃんとしたお医者さんです。
(携帯電話の操作音)ん?君も覚えておいて。
このくらい出来るだろ?ありがとうございました。
随分楽になった。
あっ私の名刺置いておきます。
また痛みが出ましたら連絡ください。
はい。
(森)大藪…先生…。
彦さん今のお客さん重い病気なん?志乃ちゃん…ごめんね。
患者さんの病気の事はちょっとね…。
そやな…。
こっちこそ堪忍。
ううん。
志乃ちゃんお腹すいちゃった。
すいちゃった?うん。
お腹グーグー鳴ってるよ。
おい!ランチのおいしい喫茶店見つけたんだ。
行こうぜ彦!女将さんも。
ちょっと喫茶店なんか嫌だよお前。
サンドイッチとかお前イタリアの焼きそばとかだろ?もうパスタ言うて。
せめてスパゲティとか。
う〜ん…なんか腹にたまるカツ丼とかがいい!うるせえな!彦行くぞ!
梅むらの仲居貴子は俺の昔の商売テキ屋仲間で亡き妻彩子の大親友
それゆえ俺にうるさく態度も悪い
このタコ!
嫌だ!ほら行くぞ!行くぞってお前…タコ!ちょっと待て…!
(貴子)いいんだようるせえな!あの2人どういう関係?痛みを訴えたのは今日が最初なんだね?うん…。
時々お腹を押さえたりはしてたよ。
ちょっと気になったんだ。
娘さんともうまくいってないみたいでさ…。
貴子さんお客さんの事は…。
お客様だから気になるんです。
あの娘さんお父さんが話しかけても横向いたりゲームしてたり…。
そんな感じだったな。
(貴子)銀座でね有名な画廊をやってるらしいの。
お金持ち!ご祝儀なんかさ2万も入ってた。
貴子さん!だって本当の事だもん。
なあ彦さん。
お店に飾ってある絵は全部瀬川幸一郎の絵なん。
(志乃)マスターが弟さんやねんて。
ふ〜ん。
(貴子)いい男でしょう?あ〜あ…カツ丼とかさ腹にたまるのがよかったな俺。
少しは絵を見なさいよ!あの絵なんかね美術の教科書に載ってんのよ。
美術の教科書なんか見ねえもん。
まあ他の教科書もだけどな。
そうですね。
これで全部でいくらぐらいするのかなあ?高いの?そりゃあ日本を代表する画家だもん。
1号1000万くらいだって。
1号って何?1号は大体ハガキ1枚の大きさ。
えーっ!?ハガキ1枚で1000万!?彦さん好きな画家とかいいひん?う〜ん好きな画家ねえ…。
(せき払い)香坂功さんだね。
誰?それ。
お前知らないの?南禅寺の前で似顔絵を描いてるお前…画家だよ!俺の友達だぞ馬鹿野郎。
そりゃ1枚2000円だな。
馬鹿野郎!うるせえなお前は!瀬川画伯の奥様。
(瀬川瑠璃子)いらっしゃいませ。
(貴子)いいわよねえ。
旦那さんが亡くなってるから全財産独り占めよ。
えーっ!?あっ!あっ!あっ…!何?何?この絵奥様がモデルですよね?貴子さん!いきなり失礼やろ!いいんですよ。
確かにこの絵のモデルは私です。
他にも何点か私の絵があります。
いや〜本当?おお〜…。
(貴子)嫌だ彦!お前ヌードだと見るのかよ!
(志乃)すいません…。
うるせえよタコ!それじゃあちょっと出かけてくるな。
体…大丈夫?ああ。
痛みはなくなった。
あの先生本当に名医なのかもしれないな。
明日は東福寺へ行こう。
パパが京都で一番好きな場所なんだ。
あっお出かけですか?はい。
気分もよくなりましたんで…。
気ぃつけてくださいね。
最近この辺で物騒な事件が起きてるんです。
オヤジ狩りでしたね。
ニュースでやってました。
京都にそういう事件は似合わないな。
早う犯人が捕まってくれたらええんですけど…。
(森)それじゃあ。
うっ…!
(音楽)はい今日はここまで!
(沖田宗助)おおきに!
(近藤治)あんたも我々のガリガリ隊へ入らないか?ガリガリ隊?
(土方利夫)オヤジ狩りの連中をとっ捕まえるんや。
はい。
オヤジ狩りを狩るからガリガリ隊ですわ。
ハハハハ…。
ピラニア軍団じゃあるまいしさそういうの警察に任せようよ。
いや京都の治安は我々が守る。
はい近藤先生!
(近藤)土方君!
(土方)はい!沖田君!
(沖田)はい!福さんの敵は我々でとる!
(2人)はい!
(パトカーのサイレン)
(徳山)後頭部を強く殴打されています。
傷の形からスパナのような凶器だと思われます。
スパナ?
(関本保)例のオヤジ狩りの連中ですな。
あいつらいつもスパナを使ってますから。
所持品は?
(徳山)財布が見つかりません。
間違いない。
オヤジ狩りに遭ったんですよ。
それと遺体の近くにこんなものが落ちていました。
ヤブの彦…。
お前ら街を汚すな。
ん?なんや!?ゴミはゴミ箱に捨てなさい。
ね?やるんか?ああ〜フォー…!
(パトカーのサイレン)警察!お前らまさかオヤジ狩りのあれか?ええ?ええ?違うのか?はい待った!大藪彦次郎…さんですね?お久しぶり後白河。
俺がなこいつら説教しといたから。
な。
まさかこいつらがオヤジ狩りのあれか?君たち邪魔だから行きなさい。
はい!青少年はすぐ散る!はい散って散って!なんだよ違うのか…。
用があるのはお前だ。
ヤブ!大ヤブ!ヤブって呼ぶな。
この…ゴジラ河!何…!?ん?ん…?俺は後白河だ…。
殺人事件の重要参考人として事情聴取する。
殺人事件!?お前何言ってんだ?お前。
俺昼飯食おうと思ってんだよこれからお前…。
連れて行け。
了解!ちょっと待て…。
はい来い!やめろよお前。
これお前逮捕されたみてえじゃねえか。
馬鹿野郎!座らない!なんだよ!?なんだよお前!ふざけんじゃねえ馬鹿野郎!国家権力の横暴だ馬鹿野郎!殺人か?殺人事件?座りましょう。
はいはいわかったわかった。
で…森さんが殺されたって?うっ…!とぼけるな!遺体のそばにお前の名刺が…!落ちてたんだよ…。
お前痛いのか?お前。
お前さ怒鳴んなよ。
血圧上がるぞ。
なんだと!?怒りっぽいなあ。
お前カルシウム足りねえんじゃねえのか?ほらこれ食べろこれ。
にぼし…ほら。
おお〜…。
猫じゃねえ!猫はもっとかわいいんだよ。
…ったく。
なんだと!?この野郎!
(関本)班長抑えて…抑えて!暴力!暴力!おい答えろ!どうして被害者がお前の名刺を持って…!…んだよ。
痛いのか?ここ。
あっ…!あのな患者さんだよ。
俺が診察して旅行中になんかあった時のために渡したんだよこの名刺を!ゆうべの11時頃どこにいた?どこにいようと俺の勝手だろうが!馬鹿野郎!
(森美代子)あなた…!パパ…!夫です。
間違いありません。
あっ!
(美代子)七海!発作です!救急車をお願いします!関本あいつを呼んでくれ!えっ?大藪彦次郎だよ!いやあのヤブは…。
いいから行け!
(美代子)お母さんの顔見て。
(美代子)ゆっくり息吸って。
(七海の荒い呼吸)息吸って…。
(荒い呼吸)過呼吸ですか?はい。
これまでも何度か過呼吸の発作を起こしたんです。
七海ちゃんだったよね?おじちゃんの事覚えてる?今から深呼吸するからね一緒に合わせてね。
はいいきますよ。
はい吸って…。
吐いて…。
はい吸って…。
はい吐いて…。
落ち着いたら一度うちの病院にいらしてください。
(美代子)はい。
ありがとうございました。
いえいえ。
必ずいらしてくださいね。
はい。
お大事にどうぞ。
もう大丈夫だ。
過呼吸の発作だった。
過呼吸?うん。
精神的なショックで発作が起きる事があるんだ。
そうか…。
父親の事でショックを受けたんだな。
前にも同じような発作があったな。
(彦次郎の声)気になるなあの子…。
容体が変わったらまた呼んでくれ。
あっ…待て待て。
ん?まださっきの質問に答えてなかったな。
昨日の夜11時どこにいたのよ?しつけえなあ!っていうかお前さっきからお前ずーっとケツ痛がってんな。
お前痔だなそれ!おい馬鹿!署内で大きな声出すなよお前!ちょっと見せてみろ。
何やってんだ。
やめろよ!恥ずかしがってんじゃねえ。
お前俺は医者だぞ。
お前馬鹿野郎…。
見せてみろ。
やめろ!離せ!俺はな世界中でお前…医者が一人になってもお前には絶対診てもらわねえんだよ!甘く見るなよ痔を。
お前放っておくと大変な事になるんだぞお前!やめろよ!それよりちゃんと質問に答えろよ。
何?昨日の11時頃お前一体どこにいたんだよ?その時間ならな…梅むらにいたよ。
梅…!むら…?志乃ちゃんのところか…。
そうだよ。
志乃ちゃんに聞いてみろ。
そんな時間に2人で何してた…?ちょっと待てよ!ああっ!殺人事件のアリバイ聞いてんだろうがお前!志乃ちゃんと何してようが会おうがなんにも関係ねえだろそんな事はお前!いいから答えろ!何してたんだ!?志乃ちゃんと2人で…。
あんな事やこんな事や色々してたんだよ。
なんだと!?あんな事や…!あっ…こんな事…?座らへんの?ああ。
確かに11時やったら彦さんここにいたわ。
そんな時間に2人で何やってたんや?どうしたん?孝麿ちゃん。
怖い顔して。
2人と違てお客さんを診察してもろたん。
往診や。
往診?うちは有名な方もお忍びでお泊まりになるさかい。
ああ…。
女性のお客さんが貧血で倒れはったん。
そやし往診に来てもろただけ。
それならええけど…。
他にもっとええ医者がおるやろ。
あんなヤブやのうて。
腕は確かや。
どこがや。
あんな…。
大ヤブ!
(大藪麻友)ただいま。
おうおかえり。
どいて。
邪魔や。
お前お父さんに向かって邪魔とはなんだお前。
邪魔は邪魔や。
なあ?ママ。
(鈴)
(大藪彩子)麻友の事…麻友の事…お願い…。
おい…彩子!彩子!
(麻友の泣き声)せや!今日商店街で事件あったん知ってる?事件?警察が凶悪犯を逮捕したんやて。
近藤のおじさんの店の近く。
凶悪犯!?同じ剣道部の子が見てたん。
お巡りさんが10人くらいで取り押さえたんやて。
そんな騒ぎあったの!?知ってた?彦ちゃん。
いえ…。
犯人はすごい怖い顔で暴れ回るんを刑事さんが押さえつけたって聞いた。
麻友…。
何?あのね無責任にそういう噂を信じて人に話しちゃ駄目だよ。
なんで?噂というのは尾ひれがつく。
無実の優しい一般人が誤解されてパトカーに乗せられちゃったのかもしれないだろ?せやけどほんまに怖い顔で凶悪犯に間違いない言うてたで。
麻友…その友達一度連れてきなさい。
ぶっ殺してやるから。
(麻友)また?またタコ焼き?えーっ?またタコ焼き?タコ焼きは立派な夕食です。
被害者は森忠彦42歳。
うっ…!東京都中央区で画廊を経営しています。
京都には娘の七海と旅行に来ていました。
和歌山県出身ですが京都の文化美術大学を卒業後東京に出ています。
ですから京都に怨恨関係の人間がいる可能性は考えられます。
(水野)せやけど財布がのうなってるんやろ?はい。
凶器に使用されたのもスパナですしホシはオヤジ狩りの連中で決まりですよ。
(近藤)オヤジ狩りを許さない!
(沖田・土方)オヤジ狩りを許さない!
(近藤)オヤジ狩りに注意!
(沖田・土方)オヤジ狩りに注意!
(近藤)オヤジ狩りを許さない!
(麻友)何?あれ。
ん?ガリガリ隊。
ガリガリ?うん。
なんかオヤジ狩りをな狩るらしい。
え〜大丈夫なの?近藤さんたちでしょ?うん。
お総菜屋さんの近藤さんと工務店の土方さんと元教師の沖田さん。
名前は強そうだけど本当のオヤジ狩りに遭ったらやられちゃうよ。
「ほろほろ飲めばほろほろと」
(近藤)オヤジ狩りだー!110番!110番!はい局長!やーっ!オヤジ狩りです!犯人はあの方向に逃げていったんですね?はい。
我々が一歩早ければこの手で捕まえられたのに…。
本当に無念です!近藤先生!仕方ないよ土方君。
我々におびえて逃げてしまったんだから。
はい!局長…!局長…。
安井の金比羅さん近くに居住する非行グループの犯罪歴を調べました。
過去に逮捕歴のある連中です。
非行グループがオヤジ狩りをしている可能性は強いな。
こいつらを徹底的に洗おうか。
それと同時に被害者の足取りも追わせてもらいたいんです。
(水野)わかった。
お父さんどこに行くかは言ってなかったんだよね?何か心当たりないかな?お父さんがあの時間に出かけていくような場所。
絵…かな?絵?一緒に見に行ったんです。
瀬川幸一郎の絵が飾ってある喫茶店。
すごい絵だって言ってました。
(瀬川亜貴二)確かにうちに見えられました。
最初は5日ほど前かな?娘さんと2人でいらして…。
それからおとといはお一人で見えました。
兄の絵を買いたいと。
仕事の話をしに来た…という事ですよね?名刺を頂きました。
銀座で画廊を経営していらっしゃるみたいで。
義姉さん警察の方です。
警察?おととい清水寺の絵を買いたいというお客さんがいたでしょ。
ああ東京で画廊を経営しているという方?オヤジ狩りで亡くなったのこのお客さんだって。
まあ…!この方がここを出たのは10時頃なんですよね?閉店の時間までコーヒーを飲んで絵を見ていらっしゃいました。
他にお客さんはいませんでしたか?例えば森さんが店を出たあとすぐに追うように出ていった若い客とか…。
いえ…。
その日は森さんが最後のお客様でした。
ご宿泊の延長ですね?主人と一緒に帰りたいんです。
京都で荼毘に付して娘と3人で…。
かしこまりました。
お部屋延長したよ。
パパと一緒に帰るでしょ?いい加減にしなさい。
七海…!ごめん…。
ごめん七海…。
あら?なんかご用ですか?あの…大藪彦次郎先生のところに参りました。
森といいます。
森さん…。
どうぞ入って。
ですがあの…。
(享子)いいのいいの。
彦ちゃんも今暇にしてるから。
ねえどうぞ。
(美代子)はい。
(享子)どうぞ。
このお茶はね気持ちを落ち着かせてくれますからね。
あっ気にしないでください。
うちのお義姉さんはね…。
あっ義姉さんじゃなくてうちの院長はねちょっと変わってますから。
誰が変わってるって!?変わってんじゃねえか馬鹿野郎…。
あっお茶どうぞ。
はい。
あの…。
夫と娘がお世話になりました。
七海ちゃん調子どうですか?症状は落ち着きました。
(享子)発作はいつから出るようになったの?高校生になった時です。
ああ思春期だねえ。
私にも色々あったわ。
やっぱり今の女子高生だと男関係?院長!ざっくばらんに聞いたほうが話しやすいでしょう?過呼吸はね心理的な要因が大きいのよ。
通院先の病院でも同じ事を言われました。
何か思い当たる事あるの?自分のあの…七海の出生の事だと思います。
出生?あの子は…森の本当の子供じゃありません。
(美代子)私が七海を連れて森と結婚したのは七海が2歳の時です。
七海にはその事を言っていませんでした。
ずっと話さないつもりでした。
七海は森の事が本当に大好きで小学生の頃いつもそばにいたんです。
じゃあ風船ママに持っててもらいな。
よし行こう!でも高校に入る時あの子自分の戸籍を見たんです。
養子と記されている戸籍です。
(七海)これどういう事?どうして養子なの?七海がママのお腹にいる時パパ外国にいたんだ。
絵の勉強をしていた。
ママが一人で七海を産んで結婚するまでに時間がかかってしまったんだ。
嘘。
本当だよ。
ええ。
じゃあ調べてくれる?調べるって何を?DNA。
今は病院で簡単に調べられるんでしょう。
パパの本当の子供かどうか。
七海。
パパとママが嘘ついてるって言うの?だって嘘じゃない!今まで一度もそんな事言った事なかったじゃない!
(森)七海!
(美代子)七海ちゃん!?七海!どうした?七海!七海ちゃん!
(荒い呼吸)七海!ママ救急車!それが最初の発作でした。
なるほどね。
父親が大好きだった分反動が大きくってわざと困らせる事ばかり言ってたんです。
今回京都に来たのは?森が七海を誘いました。
最後の話があったんだと思います。
最後の?強い痛み止めが処方されてました。
末期がんの痛み止めです。
ああ…。
余命を区切られていたんですね?…はい。
七海ちゃんその事は?知りません。
彦ちゃん。
はい。
その子谷川先生のところに連れてってあげて。
はい。
谷川先生?
(七海)何…もう!離してよ!俺は君の主治医だ。
離してよ!彦さんどないしたん!?現在治療中!もうちょっと離しておっさん!おっさん!コラ先生だ俺は。
こんにちはー!先生ー!こんにちはー!先生ー!おお彦。
いらっしゃい。
薬草やハーブを育てているんだ。
見てごらん。
へえー。
ハーブでお茶をいれるとね気持ちが穏やかになるんだよ。
(七海)変な医者。
(麻友)せやな。
娘から見てもそう思う。
あ…ごめん。
悪口とかじゃないの。
わかってる。
パパ30までたこ焼き焼いててん。
えっ!?はい今出来るからね。
(立花)あ?おいおいおいおい…おい。
(扇子で叩く音)2つ焼いてくれ。
順番は順番だ。
オラ後ろ…後ろ回れ後ろ。
なんやと?誰に口きいとんじゃい!あ?おいお前らが下がれ!下がれ!おい何すんだコラ!オラッ!やんのんかい!オラッ!なんやコラッ!こっち来いオラッ!何ぬかしとんやこのタコ!
(貴子)彦!オラッ!
(彩子)キャッ!オラッ!彦さんやめて!彦さん!オラッオラッ…オラッ!オラッ!やめなさい。
なんだ?オラッ!あ?オメエも仲間か?コラ!うわっ!?人殺しになるつもりですか?
(麻友)谷川先生に止めてもらわんかったら人殺しになってたんやて。
それから谷川先生みたいなお医者さんを目指したん。
嘘…。
嘘みたいやろ。
(麻友)ママとママのお姉ちゃんの享子ちゃんが応援してくれて。
あっそれにたーこちゃんも。
やっとパパは医大に入ったんやけどな。
それからが大変やったみたい。
パパが医者になる前にママは病気で亡くなった。
麻友の事…。
麻友の事…お願い。
彩子!彩子!
(享子)彩子!
(泣き声)お義姉さん…俺彩子になんにもしてやれなかったよ…。
彦医者になるしかないよ。
(麻友の泣き声)彦しっかりしろよ!彩子と麻友のために。
ううっ…。
(麻友の声)自分がママを治すのに間に合わんかったから患者さんには夢中になるねん。
七海ちゃんの事もこんなところまで連れて来てごめんな。
ここか?お父さんと最後に来た場所は。
どうしたの?
(香坂功)はい。
ベリーグッド!サンキュー。
おっ彦ちゃん。
香坂さん商売繁盛だね。
いやいやいやいや…。
あっ君…。
何?知り合い?あ…土曜日だったかな?お父さんと2人で来たよね?描いてもらうか?え?2人を並べて描いてもらえますか?はい。
ではそこに座ってください。
七海。
いいよそんなの。
いい思い出になる。
そんなのいらないから。
七海。
どうもすみません。
行こうか。
優子…。
(佐山)現場近くのコインパーキングの防犯カメラに残ってた映像です。
距離を置いて後ろから被害者をつけていますな。
こいつがホシか。
(佐山)はい。
鑑識に解析を依頼してくれ。
今の技術なら顔は無理でも身長はすぐに割り出せるからな。
すぐに。
うん頼む。
(口笛)麻友!
(戸川信吾)あっ…!この前の凶悪犯。
警察から逃げてきたのか。
麻友もしかしてこいつか?この前話してた…。
麻友に近づくな!近づくよ親子なんだから。
え?君かな?おじさんの事凶悪犯だってうちの麻友に教えた子は。
本当に麻友のお父さん?君…君はどうしてうちの麻友を呼び捨てするのかな?ん?ちょっと詳しく話聞かせてもらおうじゃねえかこの野郎!やめてよパパ!やめなって!イタッ!僕戸川信吾といいます。
麻友とは…。
この野郎!麻友ちゃん…。
ああ。
麻友さんとは…。
(福村)彦ちゃん!彦ちゃん!な…何!?彦ちゃん大変だよ!画伯が倒れたんだよ。
早く来てくれよ早く!き…君とは今度またゆっくり話をしよう。
なあ。
あっ麻友これ持って帰れ。
大変だ!急患だ急患。
よし!お父さんって本当にお医者さん?うん。
よし!福ちゃん。
部屋部屋どこ?2階の一番奥。
2階の奥。
よし行こう。
ずっと痛みあったろう?どうしてうち来なかったの?保険証を持ってません。
恥ずかしいんですけどお金がなくて保険料払ってませんでした。
言ってくれよ画伯。
それぐらいの金だったら貸すよ。
よし薬を出そう。
明日必ずうちに来てください。
あっ麻友とうちの義姉さんと俺の似顔絵描いてくれよ。
彦ちゃん…。
部屋に飾るんだ。
治療費はそれでいいから。
いやあさすがだな彦ちゃん。
いや照れるな〜。
よし。
あっ…香坂さんって子供いたの?さあね。
こっちからそんな事聞く事もね。
まあね。
福ちゃんちの2階に住むようになったのって6年ぐらい前だっけ?うん。
最初ね住むところに困ってるって聞いたからさうちの2階貸してあげたんだよ。
うんうんうん。
あっ彦ちゃんあの金比羅さんの通り通って帰っちゃ駄目だよ。
俺あそこで襲われたしさ昨日もまた出たんだって。
ふーん。
わかった。
うん。
やっと家帰ってきはりましたな。
申し訳ございませんお母様。
殺人事件の捜査本部が立ちましたもので…。
後白河の跡取りがいつまで警察ごっこしはるおつもりや?あんたの事考えたら血圧上がります。
享子先生にもそな言われましたえ。
申し訳ございません。
はあ…そう言うたら弟のドクターええと…。
大藪彦次郎でございますか?そうそう。
孝麿ちゃんの仲よしのお友達。
違いますの?親友です。
わたくしが東京で大学に通っておりました頃彦次郎君も仕事で東京におりました。
なんだこの野郎!オラッ!野郎!オラッ!おおっ!
(後白河の声)最初に会った時から意気投合して親友になりました。
おい!お前が医者だと!?お前が刑事だと?
(後白河の声)京都で彦次郎君と再会出来るなんて思ってもみませんでした。
はあ…ええ話や。
お友達は大事にしななりまへんな。
はいお母様。
絶対に行くなと言われると来てしまう。
それが男大藪彦次郎。
ん?出たな。
金。
危ねえなおい!オラッ!シーッ!太極拳なめんなよ!アタッ…!?嘘!?1人じゃないの?ちょちょ…タイム!タイムタイム!うんあのあの…二人…二人がかりはあの卑怯だろ?オラッ!
(沖田)出合え!ご町内の皆さん!110番ください!オヤジ狩りです!覚悟しろ!俺こそガリガリ隊局長近藤治だ!土方利夫!沖田宗助!俺が大藪彦次郎だ!菊池大輔お前たちがオヤジ狩りをしていたのは間違いないな?
(菊池大輔)ああ。
法輪寺で森さんを襲ったのもお前たちだな?森?
(関本)とぼけるな!お前たちが殺した森忠彦さんだ!知らんぞ。
法輪寺なんか行ってない。
いつも金比羅の近くでやったんや。
仲間のアパートが近くにあってすぐ逃げられっから。
ほんまじゃ!この男をやったんは俺たちじゃない。
班長!オヤジ狩りで奪った財布だな。
はい。
(美代子)ありません。
夫がいつも使っているお財布はイタリア製のブランド品です。
あいつらが自白しているオヤジ狩りは5件。
押収された財布も5つ。
森さんだけは別の人間って事か…。
失礼します。
彦次郎です。
お前…!七海ちゃんは?鴨川に散歩です。
いっ…あっ…。
お前ちょっと!あ?お前かなり重症だな。
いや…。
ちょっとこっち来い。
え…引っ張るな!あっあっ…。
いいからいいから。
さあ入れ入れ入れ。
急に動いたら駄目なんだ…。
ああーっ!イテーッ!見せてみろお尻。
お尻見せろよ。
やめろ…彦次郎やめろ!この野郎テメエ!いいからいいから俺は医者だ。
俺は医者だ!ちょっと見せてみろ。
頼む…!何騒いでんの…?ああーっ!?あーっ!堪忍!志乃ちゃん志乃ちゃん!?違う!誤解だー!女将さんも天然だな。
彦と後白河のボンを疑うなんてな。
ハハッありえねえ!ありえねえ!ありえねえ!ありえねえよ。
ありえねえありえねえ。
よかった。
本当にここのコーヒーおいしいですよね。
ありがとうございます。
まあ素敵な時間やな。
おいしいコーヒー飲んで素敵な絵見て。
素敵な男見て。
ハハハハ…。
はあ?そう言って頂くと兄も喜びます。
あっお兄さんおいくつの時に亡くなったんですか?6年前で49歳です。
49…ふーん。
病気で?殺人事件だったんですよね?え?…はい。
(刺す音)
(瀬川幸一郎)うっあっ…!殺されたの?彦さん!
(亜貴二)兄は情熱的な画風で日本のゴッホと呼ばれていました。
(亜貴二)本物のゴッホと同じように人嫌いで画商との交渉はいつも兄嫁に任せていました。
(刺す音)うっあっ…!ううっ…!
(亜貴二)兄を刺したのは内弟子の高野由紀夫とわかりました。
(亜貴二)兄に画家を諦めるように言われて逆恨みしたんです。
ニュースで見ぃひんかった?スポーツ新聞しか読まないから。
それもエッチなページだけ。
ねえ?いやあ照れるな〜。
やっと芸術に目覚めたか?この前までここに奥さんをモデルにした絵飾ってなかった?義姉が時々絵を入れ替えるんです。
兄のアトリエには20点ほど絵がありますので。
ふーん。
ヌードのほうがよかったって顔してる。
うるせえ馬鹿野郎お前!そう言うたら犯人はまだ捕まってへんのやな。
その高野っていうのが犯人ですか?はい。
高野由紀夫は指名手配されましたが逮捕はされていません。
怖いわ…。
まだこの辺に潜んでたりして。
えっ!?あっ…!
(電話)はい梅むらでございます。
お客さんの森美代子さんの部屋に繋いでくれ。
はいお取り次ぎ致しますのでお名前伺えますか?「高野です」高野様ですね。
あっ森様。
はい。
高野様からお電話が入っております。
高野?はい。
はい森です。
俺だ。
高野由紀夫だ。
あなた…!?森様どうされました?森様!?
(殴る音)うっ…!
(土方)あっおい!あっまた出たー!
(沖田)近藤さん!
(近藤)まだいたのか?おいおい…大丈夫か?おい!あっ救急車!救急車!彦ちゃんとこに運んだほうが早い!傷は後頭部だけかな。
血止めるぞ。
他に傷や打撲痕はねえか?ふゆみちゃんボタン外して。
全身見るわ。
はい。
あ…。
凶器はスパナだ。
スパナか。
俺たちが捕まえた奴ら以外にもオヤジ狩りの犯人がいたんだな。
んっ…。
そいつが森さんを襲撃した犯人か。
えっ?あの3人組が犯人じゃなかったのか?捜査情報は部外者には教えられない。
お前部外者ってよ俺はあいつら捕まえたんだよ。
偶然な。
お前その俺をお前は容疑者扱いした。
怪しかったからだよ。
どこが怪しいっつうんだよお前。
目鼻口全身から溢れるいかがわしさだよ。
お前人の事言える柄か?この野郎。
なんだ?その顔。
お前昔白バイで追っかけられたくせによ…。
静かに!ここは医院です。
(2人)すいません。
瀬川さん意識を取り戻したわ。
犯人はヘルメットをかぶっていたんですね?はい。
倒れる時にチラッと見ただけですけれど。
亜貴二さん!大丈夫!?大丈夫です。
傷は深くないです。
犯人は高野です。
夫を殺した高野由紀夫です。
えっ?義姉さん…!どうしてそう思われるのですか?あっああ…。
わたくし京都府警捜査一課の後白河孝麿と申します。
今日の昼間電話があったんです。
(電話)はい瀬川です。
(ボイスチェンジャーの声)「もしもし高野です」間違いなく高野由紀夫の声でした。
高野はなんと言ったんですか?まだ終わっていないと言いました。
まだ終わってない…?高野の写真は20年前文化美大で絵の勉強をしていた頃のものしかありません。
その後はずっと瀬川幸一郎に師事しています。
その師匠に破門されて刺したんやったなあ。
はい。
(刺す音)うっあっ…!高野が瀬川亜貴二を襲う理由はわかる。
瀬川家に恨みを持っていたんや。
けれど最初の森忠彦殺害も高野の犯行やとすると…。
うっ…!動機はなんやろう?わかりません。
ただ高野由紀夫は画家で森忠彦は画商です。
班長瀬川亜貴二が襲われた現場付近で遺留品が出ました。
なんですか?これ。
これは年代物の小柄だな。
うちにもある。
さすがは後白河家やなあ。
指紋などは今鑑識が調べてます。
おう。
高野由紀夫は優秀な学生だった?
(神崎治朗)はい。
私も同級生でした。
班長また痛むんですか?違うよ!これ。
あっ森忠彦。
ここにある森さんというのは?ああ…同じクラスの仲間です。
いやニュースを見て驚きましたよ。
まさかオヤジ狩りの被害者だなんて。
森さんと高野由紀夫は同級生だった…。
はい。
繋がりましたね。
ありがとうございました。
あなたと同じ美術サークルだった方から写真を借りました。
かつて高野と森さんはあなたを巡って三角関係にあった。
娘さんの戸籍を調べました。
父親の欄が空欄でした。
本当の父親は高野由紀夫ですね?
(倒れる音)七海!
(美代子)七海!大丈夫!?
(荒い呼吸)
(美代子)七海!救急車だよ救急車!おいどけ!どけどけ!おう!
(ラッパホーン)ああ…よーし俺が来たからもう大丈夫だからね〜。
七海ちゃん大丈夫だよ。
あのね深ーく深ーくゆっくり呼吸してね。
(荒い呼吸)はい吸って…。
(荒い呼吸)吐いて…。
うん…はい上手上手。
(荒い呼吸)はい吸って…吐いて…。
確かに七海は高野由紀夫の子供です。
子供が出来たと知った時高野は産むなって言いました。
絵の勉強の邪魔になるからって。
私は一人でも産んで育てるつもりでした。
だから高野と別れて一人で東京へ行ったんです。
あなたが東京へ行く事を森さんは?教えてません。
一人で産んで育てるつもりだった。
そんな私を森は捜してくれたんです。
(美代子の声)つてを頼って東京中を捜したと言っていました。
食堂で働きながら赤ん坊の七海を育てていました。
そこに森が訪ねてきました。
赤ん坊の七海はすぐに森に懐きました。
それから今までずっと私と七海に寄り添ってくれた。
森は七海を自分の娘だと言ってくれました。
他に父親なんかいないって。
高野由紀夫から連絡がありましたね?この旅館に高野と名乗る男から電話があったと聞きました。
女将がそれをあなたに取り次いだと。
あったんですね?はい。
間違いなく高野の声でした。
(ボイスチェンジャーの声)「俺だ。
高野由紀夫だ」あなた…?やはり…。
ちょっと聞かせてもらいたいんだけどね君高野由紀夫と連絡をとってるんじゃないかな?実の父親なんだから娘に連絡したいんじゃないかな?私そんな人知りません。
何してんだよ?事情聴取だよ。
ふざけんなよ!彼女は病気の女の子だぞ?こっちは殺人事件の捜査なんだよ!彼女の実の父親に容疑がかかってるんだ!連絡あったろ?馬鹿野郎!彼女はな俺の患者だよ!お前勝手なまねすんなよお前!公務執行妨害の現行犯だ。
おい!なんにもしてねえじゃねえかよお前…。
お前殴ったじゃねえか!お前…!
(関本)もういい!病気の患者だよお前俺の…!
(関本)もういい!絶対許さないからなこの野郎!なんだよお前この野郎!ちょっと待て!ちょ…!へえ〜…本当にこうなってんだ。
すみませんねえ迷惑かけて。
谷川先生がすぐ来るって言ってたよ。
いやあ参ったなあまた先生に厄介になっちゃってよ…。
麻友も心配してるでしょ。
ああ…明日まで剣道の合宿だって。
剣道の合宿!?うんよろしくって言ってた。
よろしくってさ俺の事心配してないの?してないんじゃない?合宿だから。
あの小僧と一緒かよまったく…。
ねえねえこういうところのご飯ってさやっぱりにおうのかな?食べた?うるさいよ!あの小僧と一緒かよ。
かぁーっ!11番入れ。
(津川)あっ…!ああ〜…。
兄貴はどちらの組織ですか?組織?入っていらっしゃるんでしょ?ああ…。
京都医師会。
いしかい…いし会?どこの組なんや?
(今井)いや…うっ…。
大丈夫かいな?どうした?痛えのか?はい。
ここか?どこ?
(今井)そこで…そこ。
いつから痛むの?うっ…今朝から。
あっ!医師会ってまさかほんまもんの医者かいな。
そうだよ馬鹿野郎。
ああ…はい。
すんまへん。
うっ…ああ…ううっ…。
ありがとうございます。
おかげで楽になりました。
おっさんも年貢の納め時や。
今度出たら真面目にやらんとな。
ああ…。
このおっさん空き巣なんや。
空き巣?いや私が空き巣なんて名乗ったら本物に叱られますよ。
すぐにドジ踏んで捕まっちゃうような奴とても空き巣なんて言えませんよ。
ふーんそうなの?本物の空き巣っていうのはねうちの親方みたいな人ですよ。
親方はね宝石店の社長の家に入ってダイヤ盗んだり瀬川幸一郎って画家の屋敷から絵を盗んだりまあ私らの世界じゃ伝説になってますからね。
瀬川幸一郎?
(今井)ええ。
確か弟子に殺されたんやろ?いや。
なんや違うの?私は知りませんよ。
ただ屋敷に忍び込んだ親方が言うにはその弟子は犯人じゃないかもしれないって。
犯人じゃない?ちょっとその親方今どこにいんの?ええ。
もう引退しましてね美山の谷川医院に入院してます。
谷川医院!?確かに患者の女子高生をかばって思わず手を出したという言い分もわかります。
私たちの事情聴取の仕方も間違っていたのかもしれません。
いえ先に手を出したほうが悪いんです。
謝罪しなさい。
申し訳ありませんでした〜。
はあ〜?本当に申し訳ありませんでした。
いえ…。
私からもおわびします。
ああ…。
どうかこれで収めて頂けますか。
も…もちろんです。
谷川先生のお顔を潰すわけには参りません。
母上にも叱られます。
ハハハハ…。
じゃあこれで手打ちにして…な。
飲みに行くかおい。
あっ…!行かねえよ。
下手に出れば調子に乗りやがってこのヤブ彦!ゴジラ河あんまり怒ると痔に悪いぞ。
あ…。
(ノック)班長。
失礼します。
どうした?遺留品の鑑定結果が出来ました。
例の小柄か?はい。
刃のほうから鉛筆の芯の成分が検出されています。
鉛筆の芯?
(関本)ええ。
スケッチ用の鉛筆の芯です。
この小柄で鉛筆を削っていたんですな。
逃げている高野です。
高野由紀夫の遺留品に間違いないですよ。
わかった。
ご苦労さまです。
失礼しますよ。
ありがとうございます。
久しぶりだなお前を引き取りに来るのは。
はい。
あっ…先生の病院に空き巣の親方が入院してるんですよね?空き巣?はい。
もう足を洗ったそうなんですけど昔は有名な空き巣だったとか。
ああ…清水さんか。
フフ…突然どうしたんだ?いえ。
いやあの…。
ああっ…おい急かすなよ。
やめろ!走るな…ああっなんだってんだよ!?こっちは殺人事件の捜査中なんだぞ。
まあまあ…。
あ?清水さんですね?
(清水秀治)はい。
谷川先生に言われて待っておりました。
なんか私に聞きたい事があるとか。
はい。
瀬川幸一郎さん殺人事件の事です。
指名手配されている高野由紀夫が犯人じゃないかもしれないと言われたそうで…。
なんだって!?私の患者さんが関係してるんです。
高校生の女の子です。
その子のためにも力になりたいんです!聞いたんですよ。
聞いた?ええ。
私が瀬川画伯の屋敷に忍び込んだ時にね…・
(瑠璃子)もう耐えられない…。
瀬川の妻と高野が出来てた?瀬川幸一郎画伯が殺されたのはそれからひと月ほどあとでした。
(刺す音)ううっ…!
(清水の声)いや新聞には弟子に刺されたって書いてましたけど私はね実は裏には奥さんとの事があったんやないかなと思いました。
先生…。
刑事さん!?私と高野が?男女の関係にあったという情報がありました。
否定されないんですね。
確かに男女の関係にありました。
けれど…。
けれど?それは私たちの意思じゃなかった。
どういう意味です?私…心から瀬川を尊敬して結婚しました。
歳は離れていたけれど本当に愛してた。
でも瀬川にとって私は絵のモデルに過ぎませんでした。
あなた…!空っぽだ。
今のお前には何もない。
(瑠璃子の声)夫は私を描く事に飽きたんです。
なんのためにここにいる?絵の役に立たない女がここで何してる?ごめんなさい。
申し訳ありません。
他の人を描いてくださっていいんです。
私は妻としてあなた…。
黙れ!このアトリエでくだらない事を言うな!俺が絵を描く場所でありきたりの事を言うなー!
(瑠璃子)あっああっ…。
ああっ!
(瀬川)妻としてだと?そんなものになんの意味がある?
(瀬川)料理も掃除も人を雇えば済む事だ。
絵の役に立たない女は無価値なんだ。
今のお前には価値がない!ごめんなさい。
(瑠璃子の声)生きている意味がないと言われました。
絵の役に立たない女は必要ないと。
本当に死んでしまおうとすら思いました。
その時高野が…。
優しくしてくれた。
はい。
けれどそれも全部夫の差し金でした。
差し金?
(すすり泣き)
(瑠璃子の声)絵のアイデアが欲しかったんです。
自分の心を突き動かす何かが夫には必要だった。
あなたなんですね?全部あなたが…!やだ…!嫌…嫌…!嫌ーっ!やめてあなた…!
(瑠璃子のすすり泣き)
(瑠璃子)これがその時の絵です。
怒りと悲しみとどうしようもない絶望を瀬川は描きたかったんです。
もう耐えられない私…。
(瑠璃子の声)私も高野もただの道具だったんです。
鉛筆や筆や絵の具と同じ道具でした。
けれど夫を殺したのは高野です。
私じゃありません。
夫を殺して私の前から消えました。
それでもあなたはこの絵を喫茶店に飾ってた。
何度も燃やしたいと思いました。
破って燃やしてしまいたいって。
でもこの絵を見ていると引き込まれてしまうんです。
夫は本物の芸術家でした。
魂と引き換えに絵を描いていたんです。
それ以来高野とは連絡をとっていなかったんですね?昨日電話があるまでは。
優子…。
先生。
おう七海ちゃん。
ごめんなさい。
私のせいで警察に捕まって。
なーに言ってんだよ。
七海ちゃんのせいじゃないよ。
パパが本当のパパじゃないって信じられなかった。
信じたくなかった。
その気持ちわかるよ。
私それからすごくパパを困らせて…。
(梢)ちょっと待って。
本当に申し訳ありません。
これはおわびの印です。
頂けません。
そういうつもりでご連絡したんじゃありません!承知しております。
これは本当にご迷惑をおかけしてお手間をとらせたわたくしの勝手な気持ちです。
そうやってお金で済ますんだ。
七海!お金払ったほうが楽だもんね。
本当の娘じゃないし。
謝りなさい。
(七海の声)パパに叩いてほしいって思った。
そしたら昔みたいなパパと私に戻れるかもしれないって思って…。
京都に来たら謝ろうって思ってました。
せっかくパパが旅行に誘ってくれたから。
お父さんわかってたよ。
七海ちゃんの気持ちきっとわかってた。
描いてもらえばよかった。
(七海)いいよそんなの。
いい思い出になる。
そんなのいらないから。
七海…。
パパと描いてもらえばよかった。
(パトカーのサイレン)警察の者です。
香坂功さんですね?署まで来て頂けませんか?お聞きしたい事があるんですけど。
香坂さん…。
あんたの本名はなんというんだ?香坂功というのは偽名だな?答えろ。
あんたの本当の名前は高野由紀夫だろ?瀬川亜貴二さんが襲われた喫茶店の近くに…。
この小柄が落ちていた。
デッサン用の鉛筆を削った痕跡があった。
あんたのもので間違いないな?落とし…。
あっ!?聞こえない!
(せき払い)散歩の時に落としたものです。
とぼけた事言ってんじゃねえぞ!あの男が高野由紀夫ですね?違います。
高野じゃありません。
えっそんな…。
そんな馬鹿な!
(瑠璃子)あっ…!どういう事だ?後頭部を強打されています。
(関本)今までのオヤジ狩りと一緒か。
ですがオヤジ狩りの不良連中も香坂と名乗る男も今は留置中です。
はあ〜…あの香坂って男がてっきり高野由紀夫だと思ったんだけどな。
(鑑識官)遺留品発見!血が付着している。
こいつが凶器か。
班長スパナの近くにこんなものもありました。
「Y.TAKANO」…。
高野由紀夫…。
彦ちゃん。
ああ…。
すみません。
ご迷惑をおかけしました。
まあまあまあ…。
行こう。
香坂雄作?はい。
それが本当の名前です。
富山の中学で美術の教師してました。
妻と子供がいたのに賭け事に手を出して借金抱えて逃げてきました。
はあ…そうか。
娘は優子という名前であの七海ちゃんと同じ年頃です。
あの子を見てるとね残してきた娘を思い出しちゃって…。
だったら会いに行きなよ。
遅くなんかないよ。
はい。
(関本)班長鑑識からの報告書です。
(関本)凶器のスパナから3種類の血痕が採取されました。
(殴る音)
(関本)森忠彦瀬川亜貴二そして瀬川瑠璃子。
(関本)3人とも同じスパナで殴られています。
高野で決まりですな。
恩師の瀬川幸一郎を殺害した高野由紀夫はずっとどこかに隠れていた。
そして今になってまた殺人に手を染めたんですな。
動機は怨恨だな。
高野と瀬川瑠璃子はかつて男女関係にあった。
えっ?班長そんな情報どこから…?ヤブ医者だ!ヤブって言うな。
傷口が気になるんだ。
スパナで殴られた傷痕だろ?ああ。
オヤジ狩りの犯人たちは肩口を狙ってた。
だが森さんも瀬川瑠璃子も後頭部だ。
殺意がある。
瀬川亜貴二も後頭部だったが致命傷にはならなかった。
(殴る音)瀬川画伯のアトリエ…家宅捜索するんだろ?高野由紀夫の痕跡があるかもしれないからな。
おおっ!頼みがある。
断る。
聞けよ痔白河!ああっ!後白河だよ!関本さんなんであいつがおるんですか?医療オブザーバーなんだってさ。
邪魔なだけだよ。
(鑑識官)後白河班長!なんか出たか?押し入れの奥にこんなものが。
すぐに血液のDNAと指紋の鑑定だ。
はい。
了解!おい!おい!すっげえなおい。
なんか刑事ドラマみてえだな。
ハハハハ…。
それでお前の気になる事ってなんだよ?ああ…花壇だ花壇。
こっち来い。
花壇…?いやこの前よ2人でよ瀬川瑠璃子のとこ来ただろう?その時彼女よあそこで手合わせてた。
出ました!骨です。
なんだと!?おい!ちょっとハンカチ持ってこい!瀬川瑠璃子の部屋から押収したナイフの鑑定結果が出ました。
付着していた血液は6年前に殺された瀬川幸一郎のものでした。
指紋は?拭き取られていました。
高野由紀夫と瀬川瑠璃子は愛人関係にありました。
(水野)なんやて!?瀬川幸一郎を殺した高野を瀬川瑠璃子が逃がし証拠となる凶器を自宅に隠していたと思われます。
高野はいまだに行方不明なんやな。
はい。
それと花壇から発見された人骨ですが死後およそ6〜7年は経っているとの事です。
その骨はなんや?わかりません。
ただもう1つ余分な遺体が瀬川家にあったという事です。
ねえ。
どうしたの?彦。
突然芸術に目覚めたか?さっきからずっと同じ絵を見てるの。
どれ?ああ!有名な作品ね。
あの喫茶店にも飾ってあったな…。
弟さんがやってる喫茶店でしょ?うん。
ちょっと出かけてくる!えっ?どこに?座れ。
こんな時間に呼び出してなんだってんだよ。
瀬川幸一郎の解剖所見を見たいんだ。
はあ?ちょっと気になる事があってな。
ふざけるな!部外者が何言ってるんだ。
志乃ちゃんもなんでこんなやつの頼み取り次ぐんや。
彦さんが今度の事件の手掛かり掴んだ言うさかい孝麿ちゃんの捜査の手助けになる思うて。
ならへんわ。
ヤブ医者が殺人事件に首なんか突っ込むな。
俺のおかげで瀬川瑠璃子と高野由紀夫の男女関係わかったんだろう。
瀬川幸一郎は入院してたんだよ。
これを見てくれ。
窓の外じゃなくここ見てくれよ。
水が入ったコップと薬が描かれている。
それがどうした?この薬免疫抑制剤だ。
何言ってるんだよ。
まさかと思うけど確認したいんだ。
今回の事件の裏に大きな秘密が関係してる。
大きな秘密?お願い孝麿ちゃん。
6年前の解剖所見か…。
明日の朝一で用意しろ。
命令するな!…うっ!詳しい解剖所見はここの法医学教室に残っているそうだ。
いいか?この解剖所見を見せるのはなあくまでも医師としての意見を聞くためなんだからな。
ああ。
ん?やっぱりな。
なんだっていうんだよ?腎移植してる。
腎移植?手術の痕が残ってるんだよ。
(カメラのシャッター音)
(カメラのシャッター音)移植手術で腎臓をもらっているんだ。
他人の腎臓をもらった患者はずーっと免疫抑制剤を飲む必要がある。
腎移植したからどうだっていうんだよ?手術は今から18年前だ。
この時代ならドナーは肉親に限られる。
それで?瀬川幸一郎の両親は死んでいたし子供もいない。
誰から腎臓をもらった?それは弟の瀬川亜貴二だろう。
ああ。
それしかない。
だが亜貴二の体には手術の痕はなかった。
(彦次郎の声)瀬川亜貴二がスパナで殴られた時俺が治療した。
腎臓を摘出した痕跡なんかなかった。
それどういう事だよ?別人なんだよ。
はあ?今瀬川亜貴二と名乗って喫茶店をやっている男は瀬川幸一郎の弟なんかじゃない。
なんだと!?勝手なまねするな!命を粗末にしてるんじゃねえよ馬鹿野郎!俺はお前の体を治療した。
だから俺は怒鳴る権利があるんだよ。
俺がお前の傷を治した。
だから勝手に傷付けるんじゃねえよお前。
全ての生き物はこの大自然によって守られ育まれている。
俺は人が生きる自然に医者として手を貸してるだけだ。
だから自分から勝手に死を選ぶ事は許せねえんだ。
お前が本物の高野由紀夫だな?
(高野由紀夫)はい。
どういう事だ?いつ弟の瀬川亜貴二と入れ替わった?先生を…刺した日。
じゃあ本物の瀬川亜貴二は?発見された白骨が本物の弟か?はい。
私たちは先生の道具だった。
それはお前と瀬川瑠璃子だな?ええ。
先生にそそのかされて瑠璃子と関係を持った。
けれどいつの間にかお互いに引かれ合っていたんです。
俺たちは先生の道具じゃない。
(高野の声)人間の男と女だって。
俺がやる。
俺が先生を…。
(刺す音)ああっ!
(瀬川)ああっ…。
高野…筆だ。
筆をくれ…。
今なら死ぬ前の風景画が描ける。
高野…筆…。
(高野の声)先生は怪物だった。
先生も亜貴二さんも人嫌いでほとんど屋敷から出なかった。
だから外部との交渉は全て瑠璃子が仕切っていた。
瀬川兄弟を殺してお前が瀬川亜貴二を名乗る。
ええ。
(瀬川亜貴二)兄さん!ああ…はっ…はあっ…。
うわあっ!
(刺す音)ああっ…。
(高野の声)私が弟の瀬川亜貴二になりきるために兄幸一郎の遺体は別の場所で発見される必要があったのです。
(高野の声)亜貴二さんの遺体を埋めた時高野由紀夫という男はこの世界から消えたんです。
それが6年前の真相だな。
真相は闇に葬られたはずだった。
けれどあいつが…同級生だった森が店に来たんです。
(高野の声)森は画商として瀬川幸一郎の絵を見に来ただけだった。
けれど一瞬だけ私と目が合った。
気づいていたそうです。
私が昔一緒に絵を習った高野由紀夫だと。
そして森さんはもう一度お前を訪ねてきた。
森は命を区切られていました。
最後に私に頼みがあると言った。
15年だ。
15年七海を育ててきた。
森…。
七海は俺の宝物なんだ。
絵描きを目指してた頃は絵が全てだと思った。
魂を売ってでも絵の才能が欲しかった。
だけど違ったよ高野。
俺の人生の宝物は美代子と七海だった。
それでもあの子は実の父親を求めてる。
七海!お金払ったほうが楽だもんね。
本当の娘じゃないし。
本当ってなんだ?高野。
血が繋がってるからなんだっていうんだ。
お前が七海に何をしてくれたっていうんだ!何もしちゃいない。
あの子の父親はお前だ。
それでも…七海は血の繋がった父親を求めてる。
(高野の声)森と一緒にいるところを瑠璃子に見られた。
瑠璃子は秘密がバレる事だけを恐れていました。
何を話してたの?まさかあの人…。
あなたの正体を…?じゃあ森さんを殺したのは…。
私です。
もう私は後戻りは出来なかった。
お願い。
このままじゃ私たち破滅するわ。
お願い!
(高野の声)大事な話があると言って呼び出した森にスパナを振り下ろした。
最近ニュースになっているオヤジ狩りに見せかけるために。
(高野の声)けれどオヤジ狩りの犯人が逮捕されて森を殺したのは別人だとわかってしまった。
だから次の犯人を仕立てあげようとした。
消えた高野由紀夫が犯人なら警察はずーっと高野を追い続ける。
梅むらにいる美代子さんに電話をかけたのも…。
高野由紀夫が生きていると思わせるための工作でした。
俺だ。
高野由紀夫だ。
あなた…?もちろん私が襲われたのも自作自演です。
(殴る音)うっ…!
(土方)あっおい!あっまた出たー!
(近藤)まだいたのか?
(土方)おい…おい!
(高野の声)全てを高野由紀夫の犯行にする…そのための手段でした。
最後に瀬川瑠璃子を殺したのはなぜだ?邪魔だと言ったんです。
邪魔?森が七海に本当の事を言ったかもしれないと。
七海とかいうあの子に言ったかもしれないわ。
私たちの秘密を。
そんな事はない。
どうして言い切れるの?あの子この店に来たでしょう?
(高野)偶然だよ。
森が七海にそんな事言うはずがない。
復讐なのよ。
きっと私たちに復讐するつもりなのよ。
あの人がみんなを操ってるの。
瑠璃子…。
お願い。
あの子…七海を消して。
お願い!馬鹿な事言うなよ!だったら私がやる。
私がやるわ!
(高野の声)瑠璃子は壊れてしまった。
一人の天才が私たちみんなの人生を壊してしまった。
(殴る音)うっ…。
(高野の声)自分たちの罪を裁いて終わりにしようと思った。
格好つけてるんじゃねえよこの野郎!お前の身勝手のせいで七海ちゃんがどれだけ苦しい思いをしたかわかってるのか!七海ちゃんに伝えてください。
君のお父さんは森だけだと。
君のお父さんは優しくて強くて立派な人だった。
森だけが君のお父さんだと。
(パトカーのサイレン)先生ご苦労さまでした。
七海ちゃんのお父さんの事なんだけどね。
もういいんです。
私の本当のお父さんはパパだけです。
血が繋がってるとかいないとかそんなのどうでもいいんです。
関係ないんです。
そうか。
パパが私を育ててくれたんです。
ママと私を守ってくれたんです。
他にパパなんかいない。
(七海の声)本当はずっとわかってた。
パパがどれだけ私の事を大切に育ててくれてたかずっとわかってた。
謝りなさい。
あの夜謝るつもりだったんです。
だからずっと起きて待ってた。
パパ…ごめんね…。
(七海の声)帰ってきたら謝るつもりだった。
(殴る音)うっ…!七海…。
七海…。
ごめんね…。
(七海の声)でもパパ帰ってこなくて…。
聞こえてたよ。
パパには七海ちゃんの「ごめん」が聞こえてた。
パパ今でも七海の事好きかな?本当の娘だって思っててくれるかな?うん。
思ってるよ。
絶対思ってるって!そうかな?うん。
俺にはね七海ちゃんのパパの声が聞こえるよ。
七海ーっ!大好きー!って。
先生はなんでそんなに私に優しいの?俺…決めたんだ。
うちの女房が死んだ時ね患者さんに一生寄り添っていくお医者さんになるって。
(美代子)七海。
ママ!
(美代子)七海?あっ!そうだ!七海ちゃんに渡したいものがあったんだ。
はい。
俺の友達が描いてくれたんだ。
ありがとう。
彦ちゃん。
ありがとうございます。
(享子)七海ちゃん強かったね。
もう大丈夫だと思います。
彦もさいつまでも縛られてなくていいんだよ?え?麻友を立派に育ててくれて彩子も感謝してると思うわ。
何を言い出すんですか。
もしも彦にいい人がいるのなら再婚してもいいって事よ。
いませんよそんな人。
ほんまに?ほんまや!そうかな〜?例えば…梅むらの女将さんとか。
お義姉さん。
何?お義姉さん。
(麻友)志乃さんは無理!パパにはもったいないわ。
なんでや?なんでや!
(信吾)麻友!
(麻友)信吾!…さん。
おいお前!コラ!ちょっとやだもう…やぼな事しないの。
だって麻友はまだ中学生ですよ?おい小僧!コラお前!またひともんちゃく起きそうね。
麻友!麻友待て!コラ!まだ早すぎる!コラ!手繋いでるんじゃねえよ馬鹿野郎!この野郎!ちょっと待て!待て!待て!まだ早すぎる!おいっ!2015/10/03(土) 21:00〜23:06
ABCテレビ1
土曜ワイド劇場「ドクター彦次郎」[デ][字]
顔と体を自在に変える連続殺人犯!1億円の名画に隠された18年前の薬の謎…ヤブ医者が治療したら手術痕が消えた!?
詳細情報
◇番組内容
医者に見えない役者、ナンバーワン!?寺島進、31年の俳優人生で初の“ドクター”に!!アクション俳優から、“主演”へ…!!思い出の地・京都に堂々凱旋!
◇出演者
寺島進 戸田恵子 宇梶剛士 黒谷友香 小林稔侍 中山忍 鷲尾真知子 本宮泰風 渡辺梓 荒川ちか
◇スタッフ
【脚本】安井国穂
【監督】吉田啓一郎
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/dwide/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:39493(0x9A45)