家畜の餌に使われるアトランティック・ジャイアントと呼ばれる品種です。
眠れる森のクマ。
寒い森に大きな大きなクマが住んでいました。
隣の子をいじめたので嫌われ、ふて寝をしています。
ある日、森を脅かす悪いやつがやって来たので集まりが開かれました。
しめしめ、これは使えるぞ。
クマはみんなに言いました。
俺が悪いやつを倒してやる。
ガオー。
早速、暴れ始めたクマ。
あれ、よく見ると。
プーチン大統領。
というわけで、こんばんは。
これでわかった!世界のいまです。
急に現実になりましたけれどこれはなんですか。
何でプーチンさんですか。
きょうのテーマです。
きょうのゲストをご紹介しましょう。
ジャーナリストの桑原りささんです。
こんばんは、よろしくお願いします。
海外での取材経験も豊富でNGOと連携して途上国への支援活動も行っておられます。
この絵本は何ですか。
子どもに読ませたら泣きますよ。
きょうのテーマがこちらです。
時間割りを見ていきましょう。
1時間目はプーチン大統領、○○の逆襲。
そして2時間目、迷信がもたらす悲劇。
逆襲って何ですか。
後ほど分かります。
このところ鳴りを潜めていたロシアですけれども突然活発に動き始めました。
突然、シリアへの空爆を開始したロシア軍。
クリミア併合で国際社会の批判を浴び続けて1年半。
ロシアは虎視たんたんと動きだす機会を探っていました。
ねらいを定めたのは国連総会の舞台。
プーチン大統領はアサド政権の退陣を求める欧米諸国を真っ向から否定します。
その後は、オバマ大統領と久しぶりに会談。
シリア問題の解決に向けて話し込みました。
と、これで根回しは完璧。
帰国した翌日に空爆を開始します。
絶対、準備してたでしょ。
さすがに、これには欧米諸国もカンカン。
ロシアを強く非難しました。
また、のけものにされちゃうの?せっかく出てきた表舞台、プーチン大統領、どうする?またやっと表舞台に出てきたかと思ったらたたかれて、プーチンさんはどうするんですか。
きょうはそこから聞いていきましょう。
きょうの先生は国際部ロシア担当の安間デスクです。
よろしくお願いします。
大きい何かを持っていますけどそれは何ですか。
これはロシア語の辞典です。
あとで使います。
安間さん、聞いていきたいんですけれどもプーチン大統領、急に表舞台に出てきましたが、どういうことですか。
ウクライナ危機でロシアは欧米からさんざん悪者にされ制裁を受けてきました。
ISの脅威というのは今に始まったわけではありませんが、今、表舞台に出てきたのは、みんなが認めてくれる成果を出すこと、それを考えています。
孤立を防ぎ、再び国際社会の表舞台に堂々と立つということが最大の目的です。
そこで選んだのが、ISの台頭で混乱しているシリア情勢にメスを入れることです。
状況を考えてみましょう。
ヨーロッパを中心とした国際情勢が、シリア難民一色になっているので、シリア情勢を打開したい、何とかしてほしいという国際世論が高まっています。
それが1つです。
そしてシリアでのアメリカの失敗が明確になったこともロシアにとって好都合でした。
どういうことでしょうか。
アメリカ軍は先月5000人を目標に育成するとしていたシリア人の部隊について現在は4、5人しかいないこと、武器が流出したことも認めました。
5000人を目標にして4、5人は桁が違いますね。
また痛いところを突くようにプーチン大統領は、これまで訓練した兵員のほとんどがISに寝返ったと指摘しています。
アメリカひどすぎませんか。
まぬけすぎませんか。
アメリカは大失敗といえると思います。
だからこのタイミングはロシアにとってチャンスです。
そこでISを倒すぞとISに対して世界が全く有効な手だてを打てない中で私たちが主導してISを倒すので、一緒に協力しましょうと言ったんです。
ISはどこの国、誰にとっても脅威であって、これをたたくことは反対ができません。
空爆自体はアメリカやイギリスなどもやってきました。
反対の声を上げにくい間に間髪を入れず、空爆までいってしまったんです。
確かに反対しにくいですよね。
安間先生、質問ですがロシアはISの支配地域以外も空爆していると伝えられて欧米が非難をしています。
これはどうなんでしょうか。
おっしゃるとおり、その懸念が日に日に強まっています。
よく検証してみる必要があります。
それでもロシアはISが弱って難民が減れば、ヨーロッパは黙るはずと踏んでいます。
ロシアからすればアサド政権がいくら独裁的だからといって、ISよりもましでしょうと。
それからアサド政権と対立してアメリカが支援している反政府勢力、部隊を育成しようとしても4、5人しか残っていない、そういう勢力に政治を任せることができるんですかと言っています。
かつてイラク、リビアで政権を倒したあとに国づくりに失敗してテロや内戦を招きました。
無政府状態になるよりもましなのではないか。
もっと現実を考えるべきなのではないかというのが言いたいことです。
欧米では、強権的な独裁的なアサド政権はけしからんというだけで、打開策を見いだせず手詰まりになっていることを抜け目なく見抜いているんですね。
抜け目ないですね。
次の日に、空爆を開始するというのは今か今かと思っていたように感じます。
そこで説明させてください。
ロシア語でマニョーブル。
日本語では策略や駆け引きというふうに言われます。
ヨーソロー。
安間デスク、そこは俺に説明させてくれ。
ロシアは実はソビエト時代からいざというときにうまいこと立ち回ってきたんだな。
マニョーブル。
策略って意味だけど、ロシアは外交でマニョーブルが得意だと言われてきたんだ。
ロシアってのはソビエト時代からアメリカが外交で目立とうとしたときにかぎってマニョーブルを繰り返してきたんだ。
時に、1990年。
独裁者フセイン率いるイラクがクウェートに軍事侵攻。
正義の味方を自認するアメリカは正義の旗のもと、多国籍軍を集めさっそうとイラクに攻め込もうとしていた。
国連の和平工作も失敗に終わり、いよいよ戦争だと思ったそのとき。
アメリカにいいかっこをさせたくないソビエトのゴルバチョフ大統領が、イラクが6週間以内にクウェートから全面撤退すれば許してあげないかと調停案を出したんだ。
アメリカはこの提案に出ばなをくじかれたんだ。
そのため、結局イラク攻撃は遅れソビエトの外交力を世界に示したんだ。
マニョーブルだな。
まだあるぞ。
2013年。
オバマ大統領がシリアのアサド大統領に対し、化学兵器を使ったからこらしめるって空爆を準備してたとき、ロシアのプーチン大統領が言ったんだ。
シリアが化学兵器をすべて捨て国際管理下に置くなら許してあげないか?結局、オバマ大統領は軍事行動をやめざるをえなかった。
アメリカが恥をかくようにしむけるロシアの外交。
これぞ、マニョーブルだな。
なるほど。
見ようによってはアメリカの邪魔ばかりしているように見えますね。
アメリカを落として自分の存在を上げているようですね。
実際に歴史を見てみると、何度も同じようなことが起きました。
どんな国であってもマニョーブル、外交には策略、駆け引きが必要です。
ロシアは、とりわけマニョーブルがうまいと言われてきました。
巧みな外交とも言われますし、立場によってはこうかつでずる賢い行為とも言われます。
いいタイミングで毎回入ってくるんですね。
外交というのはマニョーブルが上手なほうがいいですよね。
ずる賢いというふうに言う人もいます。
すみません。
今回もロシアはウクライナ問題でさんざん批判されてきたんですけれども関心をシリアに移すことにも成功しました。
今回の一連の動きは、マニョーブルを練って準備したことがうかがえます。
まずプーチン大統領の訪米。
これまでアメリカとロシアが対立したことを考えれば、なかなか首脳会談を行うことも難しかったのですが、そこで国連総会という名目で首脳会談を実現させました。
わざわざ会いに行くのではなくて、国連総会に出席するから、アメリカに寄ってそこで会ってあげたということです。
対米関係も進んだという印象を世界に与えることができたんです。
確かに短い時間でしたが握手をしていました。
そしてこのタイミングで動きだした1つの理由ですが、ロシアが国連安全保障理事会、安保理の議長国だったからです。
なぜ、いきなりIS掃討作戦に乗り出すんだと言われても議長国ですからと、こういうプランがありますというふうに言うことができます。
安保理を率いるリーダーとしてイニシアチブをアピールできるんです。
さらに国連総会から帰ってすぐに空爆を実行できたのもこちらです。
事前にシリアに軍の部隊や戦闘機などを入れていたからです。
そんなにすぐ次の日にできるなんて事前に用意しておかないと無理ですよね。
マニョーブルですよね。
これらは決して偶然ではなくすべて計算をしていたはずです。
安間さん、アメリカはISを倒すことがうまくいっていませんが、ロシアはISを倒すことができるんでしょうか。
ロシアにはアメリカにはない利点があります。
この黒い部分がISの支配地域です。
アメリカは隣国のトルコからISを空爆していました。
シリア国内に拠点がありませんので、地上で戦う部隊を反政府勢力と連携して育てなければいけないことがありました。
しかし、それもうまくいきませんでした。
限界があったということが言えます。
一方、ロシアなんですけれども、ロシアはもともと海軍の基地を持っています。
オレンジ色のところがアサド政権の支配地域なんですが、ここに海軍基地、それからシリア国内、空港を拠点にすることができるんです。
アサド政権と協力していますから。
そしてシリア国内を、一応政権を握っていましたから情報面でのサポートもアサド政権から得られます。
アメリカは、隣の国からの動きしかありませんでしたがロシアはどうやって動くんですか。
ロシアは国内を拠点にできます。
シリアの国内にロシアの軍事基地があるんですか。
アサド政権から要請されていきましたからそれはアメリカよりも利点がありますね。
攻撃しやすいですね。
それから地上の部隊と連携して空からはロシア、陸からはアサド政権の地上部隊と、連携して空と陸で攻撃ができます。
確かにこれはアメリカはできなかったですね。
アメリカは地上部隊との連携、あるいは育成がうまくいっていませんでした。
そして、こちらをご覧ください。
衰えたとはいえどもロシアは、世界でも第2位といわれる軍事力をまだ持っています。
兵員は、77万人、戦闘機、爆撃機などの航空戦力はおよそ2500機といわれています。
ISを壊滅できるかどうかまだ分からないんですが、アメリカより有利な状況にあります。
そこまで考えてマニョーブルですね。
その軍事力でISが壊滅できたとします。
欧米がウクライナ問題を忘れてくれるものでしょうか。
もちろん欧米は忘れてあげましょうと簡単には言わないと思います。
そこでロシアは仲間を作ろうとしています。
その仲間はどこの国でしょうか。
中国ですか。
正解です。
今、世界のGDP、国力を見ても1番はアメリカ、2番は中国というのが実情です。
3番以下のロシアはどうふるまっていくのがいいのか。
2番の中国もアメリカをけん制しているのですから、一緒にやったほうがいいのは明らかです。
プーチン大統領は、先月中国を訪問して軍事パレードにも出席して関係の親密ぶりをアピールしました。
束になって国際社会での地位向上を考えています。
でもロシアのプーチンさんは国際社会の表舞台に出て、何を結局したいのでしょうか。
実はプーチン大統領は、表舞台に出なければならない事情があります。
それはロシアの国内事情が抱える悩みです。
モスクワの中心部です。
ブティックなどが立ち並び、かつてにぎわっていたこの大通り。
ところがこちらをご覧ください。
借り手がつかず空き店舗のままとなっています。
ロシア経済は今、低迷のさなかにあります。
ウクライナ情勢を巡る欧米からの制裁などの影響で物価が上がり、消費が落ち込んでいます。
新車の販売台数が去年に比べておよそ30%落ち込み、販売店の閉鎖が相次ぐなど、影響が広がっています。
営業を続けている店でも経営の見直しを迫られています。
レストランを経営するこの男性は高級な料理を出す店を手がけてきましたが、今、店で出しているのは材料費の安い麺類が中心です。
日本円で500円以下で食べられるようにして客をつなぎ止めようとしています。
経営見直しにはもう1つ理由がありました。
ロシアは、経済制裁への対抗措置として欧米からの野菜などの輸入を禁止しています。
このため、麺類などで手軽な料理でないと提供するのが難しいといいます。
経済悪化の影響は、市民生活にも影を落としています。
この女性は年末で仕事を失うことになり、知人の家に暮らしながら職を探しています。
生活を切り詰めようと冷蔵庫に食材はほとんどありません。
去年、購入したマンションは景気の悪化を受けて完成が遅れていますがローンの支払いはすでに始まっています。
プーチン大統領の強気な感じと国内の経済の弱さというのが、非常に対照的に見える気がします。
国内がこういう状況だからこそ、強くいないといけないというのもあるのでしょうか。
何とかしてほしいという思いはたまっていると思います。
とはいってもロシアの人たちは、かつて貯金がゼロになったり銀行に詰めかけたりというようなひどい経済危機がありました。
まだ我慢できるレベルです。
ただプーチン政権としては、経済をよくするといってもなかなか簡単にはできません。
不満が爆発しないように外交で得点を稼ぐというのが重要です。
だからマニョーブルが大事なんですね。
このマニョーブル、プーチン大統領自身もマニョーブルということですか。
プーチン大統領自身もマニョーブルを大事にしてとりわけ得意なんです。
かつてアメリカの政治家、ヒラリー・クリントン氏が7年前、大統領選挙のキャンペーンでプーチン大統領には心がないと言ったことがあります。
それにコメントを求められたプーチン大統領は、政治家に必要なのは、心ではなくて頭脳だ。
外交には感情ではなく国益だと言ったことがあります。
プーチン大統領らしいですね。
クールですね。
ここから言えるのは、自分は頭の回転に自信があると思っているということと、それから外交では冷徹に国益を追求する姿勢があるということです。
向き合っていく相手としては手ごわいですね。
ロシアと外交するには嫌でも向き合っていかなければならないんです。
日本はどうでしょうか。
国連総会の場でプーチン大統領は、安倍総理大臣と首脳会談をおよそ11か月ぶりに行いました。
40分程度でしたが首脳どうしが直接会談することには意味があります。
プーチン大統領としては、日本がアメリカから再三ロシアとの関係作りには慎重にと求められていることや、ウクライナ問題で日本がロシアに経済制裁をしていますので恐らく日本がどこまでロシアに歩み寄る余地があるのか見極めたかったのではないでしょうか。
それから8月にメドベージェフ首相が、北方領土を訪問したんですが、それも同じことで開発を進める地方の視察という名目ですが日本に揺さぶりをかけて、どんな反応があるのか見たかったのではないでしょうか。
駆け引きですね。
マニョーブルですね。
北方領土問題はロシアにとって日本に対する最大のカードになります。
プーチン大統領はありとあらゆるマニョーブルを考えているでしょうから、そのことを忘れてはならないと思います。
安間さん、きょうはありがとうございました。
2時間目にまいりましょう。
こちらです。
こちらの方々、生まれつき体の色素が少ないアルビノと呼ばれる女性です。
この方、黒人の両親のもとに生まれたんですがご覧のように肌の色は白くて髪の毛は金色です。
アルビノの方々、アフリカで大変苦しんでいます。
その理由が迷信です。
南アフリカの舞台女優、レジナ・メアリーさんです。
幼いころからアルビノであるが故の仕打ちに苦しんできました。
その原因はアフリカに根強く残る迷信です。
アルビノの女性と性交渉を持てば病気が治ったり運がよくなったりするとされています。
メアリーさんは、8歳のころから何度も性的な暴行を受けました。
みずからの運命を呪いました。
一般的におよそ2万人に1人といわれるアルビノ。
迷信がもたらす悲劇は性的な暴行にとどまりません。
腕を失った子どもたち。
特別な力が宿るとされるアルビノの人たちの手や足、髪の毛などは高額で取り引きされるのです。
誘拐や殺害してまで手に入れようとする事件が後を絶ちません。
最も被害が深刻なタンザニアでは過去3年間で70人以上が殺害されたと言われています。
タンザニアの隣国ケニアで暮らすビアンカちゃん。
去年、2回にわたって見知らぬ男たちに誘拐されそうになりました。
今は、みずからもアルビノのケニアの国会議員の元で保護されています。
メアリーさんの舞台は一人芝居。
そこで描くのは自分の半生です。
舞台は、メアリーさん自身が性的な暴行を受けた場面から始まります。
アルビノとして生きていくことに苦しんだメアリーさんを追い込んだのは、心の中のもう1人の自分でした。
本当は思い出したくない自分の過去。
それをあえてさらけ出したのはアルビノの人たちへの理解を深めてもらいたいという思いです。
葛藤を繰り返しながらメアリーさんの中にある思いが芽生えました。
メアリーさんがたどりついたのはありのままの自分に誇りを持って生きていくという思いです。
このセリフに込めました。
2015/10/04(日) 18:10〜18:42
NHK総合1・神戸
これでわかった!世界のいま▽シリア空爆“目覚めた熊”ロシアプーチン再始動の狙い[字]
各国がIS対策に手をこまねく中、シリアの空爆に踏み切ったロシアのプーチン大統領。“目覚めた熊”ロシアの巧みな外交戦略や、国際社会で主導権を握る次の一手に迫る。
詳細情報
番組内容
【ゲスト】桑原りさ,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
出演者
【ゲスト】桑原りさ,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
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ニュース/報道 – 定時・総合
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ニュース/報道 – 解説
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