(照本)おう!
(亀山美和子)あっ…。
随分盛況ですね。
なんたって話題の主がご出席だからな。
ああ…。
(藤竹清英)外務省の外交費不正流用はパブリックサーバントだという意識の欠如が根底にあると思ってます。
藤竹議員。
帝都の照本ですが今日のスピーチで不正流用問題の新たな証拠資料が出るんじゃないかって噂があるんですが。
どこで聞いたんです?そんな話。
サプライズはあるんですよね?ここで「ある」って言っちゃったらサプライズにならないじゃないですか。
じゃ準備があるんで。
失敬。
脈ありって感じですかね。
超党派の集まりとはいえ与党の人気議員を差し置いてトリを務めるんだ。
何かなきゃ話にならんだろ。
おっもう1人の主役のお出ましだ。
(加東倫恵)衆院のベストドレッサー間違いなしですよ。
(片山雛子)まあお上手ですことフフ…。
(記者)片山先生1枚いいですか?
(雛子)はい。
(記者)片山先生外務副大臣にはなるおつもりでしょうか?
(記者)やはり外務にはこだわりがおありですか?雛子先生には頑張っていただかないと。
誰?あの記者。
中央日報の加東倫恵。
(照本)猛者の多い政治記者の中であのルックスだから名前は聞いた事あるだろ。
あれがそうなんだ…。
娘がすっかりファンになりましてよろしかったら娘にサインを。
(雛子)光栄ですわ喜んで。
雛子先生これどうぞ。
あ…ありがとう。
(雛子)実は私今正直すごく腹が立っています。
(ざわめき)えー今日の朝刊の社説にこんなふうにありました。
「外務省外交費不正問題がどう決着しようと一番得をするのは片山衆議院議員のはずだ」。
「政府筋の話によれば議員は次の改造内閣ですでに外務副大臣が内定している」。
フッ…これではまるで私が漁夫の利を狙っているみたいじゃありませんか。
私は思わず新聞に向かってこう言いました。
副大臣じゃなくて外務大臣のほうがいいわ。
(笑い)
(拍手)えー冗談はさておき本題に入らせていただきたいと思います。
私たち平成未来派の活動の1つである地球環境問題の取り組みについて報告させていただきたいと思います。
え〜地球温暖化とも深く関わりのある地球規模の砂漠化に対して私たちは様々な提言や活動を行ってまいりました。
それではご覧ください。
岡田君あとお願い。
(岡田)はい。
(雛子の声)「国連は最新の報告書の中でもはや温暖化が起きているかどうかを議論している段階ではないとこう宣言しています」「今日地球温暖化問題は…」
(草葉成彦)うっ…うわあ!
(パトカーのサイレン)
(三浦信輔)あどうも。
(米沢守)どうも。
ホトケの身元は?外務省の職員のようです。
(伊丹憲一)「草葉成彦」…。
役職は課長か。
死因は?典型的な転落死の所見が出てます。
転落…!?
(芹沢慶二)先輩!
(伊丹・三浦)おう。
(芹沢)転落したのは3時20分だったそうです。
(伊丹)やけにハッキリしてるな。
表の通りを歩いてた人がドスンって物音聞いてですぐに110番通報してます。
転落って事は自殺か…。
さもなきゃ事故か…。
(三浦・芹沢)あっ!?
(伊丹)特命係…!?
(三浦)また呼んだのかよ?最近は確信犯ですからねぇ。
(三浦)おい。
(伊丹)はぁ〜。
寒いんだからおとなしく冬眠でもしてろよ亀!
(亀山薫)あいにく俺は新潟出身だから寒さには強いんらて。
警部殿勝手な真似されては…。
(杉下右京)恐らく…。
(伊丹)は…?いや…。
自殺や事故の可能性は低いと思いますよ。
亡くなられた方の指紋が残っています。
えっ!?こちらが右手。
こちらが左手。
つまりこのような体勢でしょうか。
右手左手こうして…ああー!自分から飛び降りるにはあまりにも不自然な姿勢ですね。
だとしても事故の可能性は…。
(米沢)足を滑らせたような痕跡は発見されませんでした。
じゃあ誰かに突き飛ばされた…。
先輩。
行こう。
エレベーターの前に防犯カメラがありました。
そちらの映像の保全手続きを急いだほうがいいと思います。
機種によっては古くなった映像は消してしまうものもあるそうですから。
言われなくてもわかってますよ。
(米沢)被害者が転落した午後3時20分以降ビルから出て行った人物をすべてチェックしましたが不審な人物は見つかりませんでした。
ビルの中に隠れてたって事はないんですかね?そのあたりは捜査一課が洗っているでしょう。
あいにく非常階段には防犯カメラは設置されていませんでした。
そちらから逃げたとすればアウトでしょうな。
って事は最初から犯人は人目を避けてエレベーターも使わずに非常階段で屋上に行った。
だとすれば計画的な犯行という事も考えられますねぇ。
あ被害者の所持品からは何か?ああ…。
着目すべきはやはりこちらの手帳でしょうかね。
ちょっとこちらを見てください。
事件のあった日ですね。
「15時」って事は殺される20分前…。
「飯田橋H」は恐らく事件のあった飯田橋ハイネスビルディングですから待ち合わせしてたんでしょうね。
だとすればその相手が犯人である可能性大でしょうか。
他には何か見つかりましたか?はぁ…非常階段の下で目ぼしいものはいくつか回収はしてみたんですが。
何かガラクタばっかりっすね。
これは…何でしょう?ん…?壊れたブローチか髪留めか何かですかね。
ちなみにそちらからは指紋が採取出来ました。
部分指紋でしたが照合は可能でした。
前歴はなしです。
何だこりゃ…?
(藤竹)「金額も同じです。
項目も全く同じ」
(角田六郎)おう!勝手にやらせてもらってるよ。
ここは課長のお家じゃないんですからね。
ヘヘ…例の外務省のニュースやってるもんだからなつい…。
(藤竹)「これらの領収書が作為的に使い回されている事は明白です!外務省はどう釈明されるんです?」
(記者)「山浦さん!外交費の不正経理を10年前から知っていたと報じられていますが事実なんですか?」
(記者)「領収書の使い回しも次々と出てるんですよ!」何か最近はこのニュースばっかですね。
公僕の俺が言っちゃおしまいだけどこの程度の経費のごまかしなんてのはどこの省庁でもやってると思うんだけどなぁ。
はい?にらむなよ。
俺はやってないんだから。
事務次官といえば事務方のトップです。
その当人が不正経理に関わっていたとなれば事が大事に至ってしかるべきだと思いますよ。
はいはい。
わかった。
わかりました。
(ため息)あっ何か届いてますね。
ん…?草葉課長の経歴ですよこれ。
ああ届けるように僕が頼んでおきました。
いつの間に…。
なるほど亡くなった草葉課長は山浦事務次官と同じチャイナスクールの出身のようですねぇ。
チャイナスクール?外務省内におけるグループです。
語学の研修の語学ごとにそれぞれ派閥が組まれていると聞いています。
要するに同じ派閥ってわけか。
おまけに出身大学も同じでした。
じゃ草葉課長は山浦事務次官にとっては子飼いの部下だったって事ですか?失礼。
山浦事務次官でいらっしゃいますね?警視庁の亀山です。
杉下と申します。
草葉課長の件ですか?ええ亡くなった草葉さんについて少しお話を…。
無念のひと言に尽きます。
は…?彼は我が省にかけられたあらぬ汚名を晴らすために尽力している真っ最中でした。
それを果たせぬまま亡くなった彼の無念さを思うと痛惜の念に堪えません。
今あらぬ汚名とおっしゃいましたが不正経理があったのは事実ではありませんか。
警察官ともあろうお方がマスコミの報道を鵜呑みにされては困りますね。
組織の何たるかもわからない跳ねっ返りの二世議員のたわ言など耳を傾けないほうが賢明です。
失礼。
片山雛子?ええ。
山浦事務次官の言ってた跳ねっ返りの二世議員とは片山雛子を指していると見て間違いないでしょうねぇ。
(宮部たまき)片山雛子さんってあの朱雀官房長官事件の?ええ。
事件の関係者の1人でした。
(たまき)あの時の事はよく覚えてます。
いろいろ大変でしたものね。
確か山浦事務次官と片山雛子は外務省内の人事をめぐって一時期対立していたはずです。
ええ。
国会での爆弾発言とかありましたよね。
「外務省はスパイと腐敗の温床だ」とか言っちゃったやつ。
片山議員の亡くなった父上は外務大臣を長年務めた片山擁一氏ですからねぇ。
それだけに外務省の事となると発言も過激になるようです。
おかげでせっかく大臣政務官にまでなれたのに次の内閣では外されちゃったわけですからね。
それも山浦事務次官の報復だったという噂もあったくらいです。
そんなに仲が悪いんなら悪口ぐらい言っても当然だと思いますけど。
ですが山浦事務次官の口ぶりでは今起きている不正経理問題をあおっているのは追及する野党の藤竹議員ではなくまるで片山雛子であるかのようでした。
うーん…確かに妙ですね。
何だってそんな事を…。
(扉の開く音)あいらっしゃい!
(美和子)こんばんは。
おう。
お待たせ。
何だよこんな時間まで仕事か?うん昨日の取材テープ起こし頼まれちゃってさ。
取材って?はい。
外務省追及の急先鋒で一躍有名になった藤竹議員です。
外交費の不正流用の決定的な新証拠が出るかもっていうから準備万端で行ったのに目新しい話はゼロ。
正直期待はずれだったな。
ちなみにどちらで取材をされたのでしょう?
(美和子)平成未来派の集会です。
平成未来派って…。
超党派の中堅議員による政策集団です。
片山雛子議員も所属していますねぇ。
(美和子)飯田橋のニュープレジデントホテルだったんですけど盛況でしたよ。
飯田橋って…右京さん。
さてと…。
一体何を調べるつもりなんですか?あちょっと…右京さん!あの…何なんですか!?バンケットルーム…。
7分22秒ですか…。
ていうか何だってこんな真似を?およそ15分あればここから犯行現場を往復する事が可能だという事がわかりました。
まさか片山雛子を疑ってるんですか?だって美和子の話だと犯行時刻の3時20分には講演の真っ最中で壇上にいたっていうアリバイがあるんですよ。
片山雛子が所属する政策集団が会合を開いていたホテルのすぐ近くのビルでしかも同時刻彼女と敵対する外務官僚の直属の部下が殺害されました。
これを偶然と片付けて果たしていいものでしょうかねぇ。
何か確証でもあるんですか?いえそれはまだ何もわかりません。
しかし久しぶりに彼女に会ってみたいとは思いませんか。
(倫恵)平成未来派が議員立法に提出した改正通信傍受法案についてお伺いしたいんですが。
ああそれは絶対成立してもらわないと困るわ。
先進国の中で日本ほどテロ対策を軽視してる国はないんですからね。
(岡田)片山先生。
(雛子)はい。
(岡田)警視庁の刑事さんがお見えですが。
あ…。
(倫恵)お客様でしたらインタビューの続きは後日という事で。
またご連絡させていただきます。
すみません。
(倫恵)失礼します。
(雛子)杉下さん!それに亀山さんも。
ご無沙汰しております。
ご無沙汰してます。
秘書の方から取材中だと伺ったのですがよろしかったでしょうか。
ええ。
どうぞ。
今日は何のお話でしょうか?先日亡くなられた外務省の草葉課長に関してなのですが。
ああ…。
草葉課長とは面識はありましたか?もちろん。
大臣政務官だった時に会議で何度も顔を合わせてますから。
政務官を辞められた後はお会いになられたりは?一度も。
そうですか…。
あの…杉下さんでしたらとっくにおわかりだと思いましたけど。
はい?草葉課長が亡くなられた時刻新聞には確か3時20分とありました。
その時間なら私平成未来派の会合で講演の真っ最中でしたのよ。
ええ。
しかも事件現場のすぐ近くのニュープレジデントホテルで。
偶然って恐ろしいですわねぇ。
果たして偶然なのでしょうか?はい?犯行のあったビルには外務省と関連のある企業は1つもありませんでした。
どうしてあのような場所に行ったのでしょう?それも見当くらい付いてるんじゃありません?おや…例えば?逢い引きでもされていたんじゃないかしら。
逢い引きという事はお相手は女性だと考えるべきでしょうね。
(笑い)とにかくフフフ…私には全く関係のないお話ですから。
(笑い)
(中園照生)例の外務省の課長の件を調べ回ってるそうだな。
(内村完爾)誰が勝手に捜査をしていいと言った。
お言葉ですが我々が捜査している事をどなたからお聞きになったのでしょう?
(内村)ん…?察するに片山議員からの圧力でしょうか?バカ言え。
議員会館から戻ってくるなりの呼び出しですからね。
誰だって察しはつきますよ。
うるさい!口答えをするな!いいかこの事件は捜査一課の担当だ。
お前たち特命係に首を突っ込む権利はない!わかったな。
やっぱり間違いありませんよ片山雛子からの圧力に。
亀山君。
え…?あっ…。
芹沢君〜!あっ…!?僕たちが刑事部長に呼ばれたと聞いて様子をうかがいに来たのですね。
いやいや…。
僕はそんなつもりは全然…。
僕にはなくても誰かさんにはあるんじゃないの?ヘッ…俺たちの事嗅ぎ回るよりガイシャの交友関係調べるほうが先だろ!うるせえ!指図するな。
何も出なかったんですよ。
おい!教えてんじゃねえよ。
つまり草葉課長を恨みに思っている人間は1人も見当たらなかった。
要するに手詰まりってわけか。
チッ…この〜!今回の外務省内の不正経理が明るみに出た経緯やキッカケのようなものがあればお教えいただきたいと思いまして。
キッカケですか…。
実は私自身その点に関してはどうにも納得がいかなくて。
え…どういう事ですか?不正経理の追及の急先鋒は野党公民党の藤竹議員です。
ですが藤竹議員は外務省にこれといったパイプを持ってるわけでもなく徹底的に調べられるようなルートも持ってるとも思えなくて。
にもかかわらず追及する資料を次々と入手されているのが不思議でならないと?ええ…。
不思議っていうか何ていうか…。
ひょっとして何か思い当たる事があるんじゃないですか?推測で結構です。
省内にディープ・スロートがいるんじゃないかって。
つまり内部告発者…。
じゃなきゃあそこまでの徹底追及は出来ないと思います。
仮にそうだとしてどのような人物ならば藤竹議員に資料を流す事が可能だとお考えですか?不正経理に関わりその全貌を理解しているとすればそこそこの役職の人間だと思います。
例えば亡くなられた草葉課長はいかがでしょう?草葉課長なら山浦事務次官との仲も近いしディープ・スロートには適任だと思いますよ。
まさか片山雛子が山浦事務次官を追い落とすために草葉課長を利用してたっていうんですか?ええ。
草葉課長から密かに手に入れた不正に関する資料や情報を藤竹議員に渡して国会で追及させていたと考えれば筋は通ります。
だけど草葉課長は…。
ええ山浦事務次官の子飼いの部下でした。
裏切るとは誰も思わない人物だからこそ片山雛子は白羽の矢を立てた…。
でも片山雛子は与党自友党ですよ。
外務省の不正をリークするなんて政府に対する裏切りじゃないですかね。
もちろん表立って目立つような真似はしないでしょうけどねぇ。
あっだから自分の代わりに野党の藤竹議員にやらせたわけですか。
草葉課長を呼び出したのは逢い引きとはいっても色っぽい話ではなかったようですね。
うん…あでも動機は何なんです?草葉課長がディープ・スロート内部告発者だったとしたら片山雛子が殺す動機はないですよね?それはまだ僕にも見当が付きません。
それより亀山君。
はい。
1つお願いがあります。
はい…。
片山雛子が事件に絡んでるのは間違いないんだ。
何とかしてボロを出させてやる。
だからって周りを嗅ぎ回ってるだけじゃ…。
あっ!先輩来ましたよ。
(三浦)え…?
(三浦)おいどうすんだよ…?
(芹沢)下手に気に障られたら特命係の二の舞ですよ…!確か警視庁の刑事さんでしたよね。
(伊丹)あっはい。
私こういう者です。
「捜査一課」…私には関係のない部署ですわ。
おい何やってんだよ〜。
名指しで抗議されたら懲戒もんだぞお前。
あっ…!あ…。
抗議だなんて無粋な真似はいたしませんので。
どうぞ今日はお引き取りください。
あ…。
あぁ…。
早く…。
おぉ〜!
(雛子)「え〜以上で平成未来派の環境活動報告を終わりたいと思います。
ありがとうございました」おい!さっきから何聞いてんだよ?片山雛子の講演ですよ。
美和子が録音してたやつ借りてきたんですけどね。
なるほど。
何かわかったのか?事件のあった日片山雛子の行った活動報告はこのようになっていました。
挨拶…。
外務大臣のほうがいいわ。
スライド上映…。
片山雛子は壇上でマイクを手に話をしていました。
ですがスライド上映中は壇上ではなく袖に下がっていわゆる影マイクの状態で話をしていた。
美和子さんにも確認を取りました。
で…?気になるのは話の内容です。
彼女は巧みにその日のニュースなどを話題に織り込み聴衆を話に引き込むテクニックを持っています。
今日の朝刊の社説にこんなふうにありました。
ですがスライド上映中はそのような脱線は一度もありません。
たまたまなんじゃないのか?スライドの内容は地球の砂漠化…つまり森林などの減少に警鐘を鳴らすものでした。
この部分です。
(雛子)「森林の人為的な減少の中には伐採以外にも人の手による災害つまり人災も数多く含まれています」「その最たる例が山火事でしょう」事件のあった日の朝刊です。
ん…?あぁアメリカ南部の山火事のニュースな。
これが何か?原因はキャンパーの火の不始末だと判明した事が各紙で報じられています。
もし片山雛子がこの記事を読んでいたのならば当然その話題に触れてもおかしくはありません。
いやむしろ触れるべきでしょう。
ですがあらかじめ録音されていた解説だからこそ話題に織り込む事は出来なかった。
スライドの上映時間は何分でしたか?え…20分…あっ!?ええその間彼女は会場の議員や記者たちの前には姿を見せず声だけが流れていました。
(雛子)「大きな責任を果たす義務があると考えます」ひょっとしてそれが録音だったとしたら抜け出す事が可能だった?ちょっと待てよ。
それって何かお前…。
片山雛子が講演をアリバイにして草葉課長を殺したっていうのかよ。
もちろん証拠は何もありません。
あくまでも可能性の1つです。
(雛子)お願いしておいたあれそろそろ動かしてもらえますか。
ええ…ええ…。
どうしてここだったのでしょう?えっ?片山雛子が草葉課長を呼び出したとしてどうしてこのような場所を選んだのか甚だ疑問です。
あぁ…ホテルに近いからですかね…?平成未来派の集会の会場は13階でしたね。
え…はいはい。
当日平成未来派様でご利用になられたのはこちらのお部屋でございます。
ここは12階ですから会場は…。
ワンフロア上になります。
具体的にはどなたが使われていたかおわかりでしょうか?幹事の方のお話では片山議員の控室にお使いになるとの事でしたが。
えっ…?亀山君。
はい!あっ!?丸見えじゃないですか。
僕はとんだ勘違いをしていたようです。
え…?貴様まで何を言い出すんだ。
(伊丹)あぁ…。
(伊丹)証拠が出たんです!
(中園)証拠だと!?
(米沢)伊丹刑事から提出された指紋と殺害現場で見つかったこちらの金属片の指紋が一致したんです。
何だと!?じゃその指紋が…。
片山雛子のです。
採取方法と手段にいささか問題はありますが一致した事は事実です。
(伊丹)草葉を突き落としたのは片山雛子なんです。
片山議員にはれっきとしたアリバイがあるはずだ。
(伊丹)録音を使えば会場を抜け出せるんです。
20分も!部長!片山雛子を引っ張らせてください!バカな事言うな!相手は議員だ。
それに不逮捕特権だってある。
議員でも殺しをしたら犯人でしょ!とにかくこの話は上に持ち帰る。
(内村)いいか判断が出るまでは何もするな。
すまん…。
ついポロッと。
俺たちが調べた事を全部一課に教えちゃったわけですか。
全部じゃないよ。
俺が言ったのは片山雛子が講演を途中で20分近く抜け出せたかもしれないしその間に現場まで往復出来たかもしれない…っていうだけで…。
思いっきり全部じゃないすか!とんだディープ・スロートがいたものですねぇ。
ま課長の場合はただのおしゃべりだと思いますけどね。
いや…面目ない!
(女性警察官)失礼します!はい。
特命係あてにバイク便が届いてます。
え〜誰から?は…?「千代田区千代田千代田千代子」…!?何すか?これ。
匿名って事だろ。
あっ…!?右京さんこれ!おっ…!こいつあの外務省の山浦って事務次官。
ええ。
一緒にいる女どっかで見た事あるような気がします…。
おっ!?まだ入ってるぞ。
片山雛子…。
平成未来派のパーティーの時の…!事件のあった日の会場の写真ですね。
一体誰がこんなものを…。
亀山君美和子さんに連絡を取っていただけますか。
大至急確認してもらいたい事があります。
あはい!草葉課長が転落した午後3時20分からさかのぼって映像を見せていただけますか。
はあ…。
映像に映ってる方はすべて一課の方々が確認して「不審人物はなし」という事になってるはずですが。
あ…ちょっと巻き戻していただけますか。
あはい。
ストップ!この部分を拡大していただけますか。
わかりました。
(米沢)これは…!?山浦事務次官で間違いありません。
防犯カメラを避けて通ったつもりがこんなところに映っているとは気がつかなかったのでしょう。
午後3時15分…。
草葉課長が転落する5分前ですねぇ。
しかしなぜ山浦事務次官がこのような場所に?ビルに入る時の映像も探していただけますか。
わかりました。
(米沢)あっ…!顔のあたりを拡大してください。
はい。
(米沢)イヤホンですねぇ。
ラジオでも聴いてるんでしょうか。
失礼します!右京さん。
間違いありません。
片山雛子の講演の最中それもスライドが始まるより前に会場を出て行く彼女を美和子が見てました。
そうですか…。
右京さん一体これって…。
おかげですべてわかりました。
外務省改革は亡くなった父の遺志でもあります。
必ず成し遂げなければなりません。
(倫恵)改革というのは具体的にどのような?まあ職務の性質上省内に機密事項が多いのは仕方ありません。
ただ問題はその秘密主義を自分の都合のいいように利用しようとする人間がいるという事です。
(岡田)先生!はい。
(岡田)また刑事さんが…。
失礼します!
(雛子)今日は何か?ちょっとお話がありましてよろしいですか。
あのだったら私は…。
いえいえすぐ済みますからこのままで結構ですよ。
何よりあなたが信奉されている片山先生に関するお話です。
ご興味もおありでしょう。
亡くなられた草葉課長は外務省内の不正経理に関する情報をあなたに流していたんですね。
えっ…?何の事でしょう?事件のあった日草葉課長は決定的な証拠となる書類をあなたに渡すためにあのホテルを訪れました。
(雛子)フフ…平成未来派の集会の会場ですよ。
そんな場所に草葉課長ご自身がいらっしゃるなんて危険すぎませんこと?危険は承知でもそうせざるを得ない理由があったとしたら…。
理由…?集会では藤竹議員も壇上に立つ予定でした。
その場で外務省の不正経理に関する決定的な証拠を公にする…あなたと藤竹議員の間でそう取り決めをしていたのではありませんか?随分想像力がたくましいんですわね。
危険だからこそ草葉課長との接触の際には万全のアリバイを用意する必要があった。
アリバイ作りは片山さんの常套手段ですからね。
まあ口が悪い。
聞かなかった事にしますわ。
ですが講演の途中で抜け出したのは間違いありませんね。
岡田君あとお願い。
(岡田)はい。
草葉課長には人目につかないように午後3時に部屋で待つように連絡をしておいたのでしょう。
しかしあなたが部屋に着いた時草葉課長の姿はありませんでした。
草葉課長の手帳です。
「15時飯田橋H」…。
誰もが殺害現場となった飯田橋ハイネスビルを示すものだと思い込んでしまいました。
ですが飯田橋ニュープレジデントホテルのホテルを略して書けばこのような表記になります。
スイートだとわかっていれば部屋番号を書く必要はありません。
面白いお話ね。
でもだったらどうして草葉課長がそのお部屋にいなかったのかも教えてもらえますか。
その理由は…。
あなたにお訊きするほうがよさそうですねぇ。
え…?草葉課長に最初に接触してディープ・スロート内部告発者になるように打診したのは加東倫恵さんあなたですね?あぁ…何の事でしょう?私にはさっぱり…。
そもそも山浦事務次官の子飼いの部下であった草葉さんが山浦さんを裏切るには相応の理由がいるはずです。
(草葉)局員の目があるから今持ち出せるのはそれだけだ。
(倫恵)ううん…ありがとう。
助かるわ。
あなたに誘惑された草葉課長は不正経理の情報を少しずつ持ち出すようになったのでしょう。
あなたを裏で動かしてたのが山浦事務次官だとも知らずにね。
あの部屋からは事件の現場となったビルの屋上がとてもよく見えます。
草葉課長は見てしまったのでしょうねぇ。
あなたと山浦事務次官が一緒にいるところを…。
たった今自分が裏切ろうとしている上司の姿に草葉課長は驚き戸惑ったはずです。
なおかつあなたと山浦事務次官の関係にも気づいてしまった。
その瞬間草葉課長はすべてを悟ったはずです。
あなたが実は山浦事務次官とも深い関係にあり自分に接触してきたのも実は山浦事務次官の差し金であった事もすべて。
要するにあなたは二重スパイだったわけですね。
ねぇ待って。
だったらどうして山浦さんがそんな場所に?恐らく彼は草葉課長を介して不正経理に関する情報をあなたに流すと見せかけて肝心の決定的な証拠に関しては偽物をつかませようと考えていたのでしょう。
まあひどい…。
なおかつあなたが草葉さんから偽物の書類を受け取る際の会話を盗聴しようとしていたのです。
山浦事務次官が現場のビルに入っていくところです。
恐らく偽物の書類の中にあらかじめ盗聴器を仕込んでおいたのでしょう。
あのビルの屋上なら盗聴器の電波が届く事も確認済みだったはずです。
対立する山浦さんの事です。
あなたが罠にはまる瞬間を録音しておけば後々いろいろな事に利用出来る…そう考えたのでしょうね。
では山浦さんが草葉課長を?いえ山浦さんは犯行の5分前にビルを立ち去っています。
となればおのずと犯人は誰かがわかります。
(山浦)草葉は今部屋に入ってる。
もうすぐ片山雛子も会場を抜け出す気よ。
何も知らずに。
(山浦)よくやった。
(倫恵)ダメよ。
これで片山雛子の副大臣の目もなくなった。
女の下なんかで仕事が出来るか。
そんな偏向発言記事にしちゃうわよ。
何とでも言え。
この国を動かしているのが私たちだっていう事を思い知らせてやる。
委員会の時間だ。
これを録音しておいてくれ。
山浦事務次官が立ち去るのと入れ替わりに草葉課長が姿を見せたのでしょう。
(草葉)倫恵!どういう事だ!?何で君が山浦さんと…?
(草葉)まさか俺を騙したんじゃないだろうな!?
(倫恵)や…やめて…!離して…!
(倫恵)離して!
(草葉)ああー!あぁ…いや…!何を証拠にそんな事を…。
証拠ならありますよ。
この写真のおかげでこれが何かがわかりました。
胸のポケットにペンを挿すクリップ部分ですね。
あの時の…!?調べればペン以外にも証拠が見つかるでしょう。
殺すつもりはなかったのよ…本当なの!あの時草葉さんが急に寄ってきて私の事をつかむから揉み合ってそしたら草葉さんが急に勝手に…。
(嗚咽)警視庁捜査一課の伊丹です。
ご同行願います。
さあ行きましょう。
いや…。
立てますか?いやぁ…。
さあ。
待って!あなたみたいな優秀な記者がいなくなるの…寂しいわ。
私に出来る事は何でもするから。
まずは…弁護士の先生紹介してあげる。
だって…あなたもあの男に利用されただけなんでしょ。
ええ…。
(三浦)もうよろしいですね。
(雛子)はい。
さあ行きましょう。
どうなってんすか…!加東倫恵と山浦事務次官の不倫の事しか書いてませんよ。
動機は三角関係による痴情のもつれですか…。
草葉課長がディープ・スロートだった事も片山雛子の事も触れられてません。
おかしいですよ!亡くなった草葉課長は加東倫恵と山浦事務次官の密会の現場に姿を現し激高して彼女に詰め寄った結果突き落とされてしまった…。
彼女の供述がその事実を包み隠さず伝えている以上誰も否定する事は出来ませんからねぇ。
でも俺が検事なら公判で草葉課長のそれまでの足取りをきっちり明らかにしますよ。
そうすれば片山雛子が裏で一枚噛んでた事だって証明出来ますよね。
(角田)おい!今テレビに片山雛子出てるぞ。
えっ?
(記者)「今回の不正経理に関して何かコメントを」「実は草葉課長から会いたいという連絡をもらっていたんです」おいおい…また出たよ。
爆弾発言か?「え〜草葉課長は不正経理に関する何らかの事実を私に告白するおつもりだったんだと思います」
(記者)「内部告発ですか?」
(雛子)「はい。
えぇ…すぐにお会い出来ればよかったんですが当日は平成未来派の会合が入っておりました。
仕方なく控室でお待ちいただくようにお願いしたんですが…」これで公判も乗り切ろうって腹ですか。
同じカードでも切る順番によってはまるで効果が違う…。
手札を見切った見事な判断です。
(雛子)もしもし?
(鹿手袋啓介)「片山先生…」鹿手袋さん。
ご苦労様でした。
ええ大変役に立ちましたよ。
謝礼の件なら改めてまた…。
はい。
(電話を切る音)これをお返しにあがりました。
恐らくあなたは加東倫恵が自分に近づいてきた時から怪しいと思われていたのでしょう。
これだけの写真を撮るのは相当時間がかかったでしょうねぇ。
張り込みとか尾行とか…。
千代田千代子さん。
ですがあなたならば電話1つで動かす事の出来る協力者ぐらいお持ちでしょうからね。
私の事買いかぶりすぎですわ。
もう1つだけよろしいでしょうか?杉下さんが「もう1つだけ」とおっしゃる時はあんまり楽しいお話ではなかったと思いますけど。
あの日草葉課長が屋上から転落する場面をあなたは目撃されたのではありませんか?草葉課長の裏で糸を引いていたのが加東倫恵と山浦事務次官だと確信したからこそその書類が偽装されたものだという確証を得る事が出来たのでしょう。
何より彼女が犯人だと知っていなければこの写真を俺たちに送りつけようなんて思いつきませんもんね。
私は何にも見ておりませんわ。
だってそんな場面を見たのに通報しなかったとしたらそれこそ罪になるんじゃありません?ですがその罪をただす事は今の警察には不可能でしょう。
はぁ…何だかおかしいわ。
だって杉下さんは私にかけられた嫌疑を晴らして無実を証明してくれたと思っておりましたのに。
いいえ。
僕が証明したのはもっと別なものだったとたった今気づきました。
別なもの?片山雛子という人間は身の回りで事件が起きるたびにそれを逆手に取りまるで糧にするかのように大きな人間になっていくという事です。
褒め言葉と受け取っておきますわ。
あなたがそこまでして外務省の改革にこだわるのはやはり外務大臣だった亡くなられたお父様のご遺志だからでしょうか?2015/10/05(月) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season6[再][字]
今回のゲストは木村佳乃! 第16話「悪女の証明」杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)の名コンビが難事件に挑む!
詳細情報
◇番組内容
あの片山雛子(木村佳乃)衆議院議員が再び登場!
雛子がホテルで講演している途中に近くのビルで男性が転落し死亡。
自殺ではなく他殺が濃厚。雛子に容疑がかけられるも講演中という強いアリバイがあったのだが…。
右京(水谷豊)が明快な推理でアリバイ崩しにかかる!
◇出演者
水谷豊・寺脇康文・鈴木砂羽・高樹沙耶(益戸育江)
木村佳乃
川原和久・大谷亮介・山中崇史・山西惇・六角精児
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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