くらし☆解説「あなたの衛星 飛ばしませんか」 2015.10.07


3、2、1…岩渕⇒国際宇宙ステーションの日本の実験棟・きぼうから放出される超小型衛星です。
現在宇宙に滞在中の油井亀美也飛行士が専用の装置を操作し、軌道に投入することに成功しました。
生字幕放送でお伝えしますこんにちは「くらしきらり解説」です。
きょうのテーマはこちらです。
1基数トンという一般的な人工衛星に比べて重さ100kg以下のこうした超小型衛星の利用が研究やビジネスの分野で広がりを見せています。
担当は水野倫之解説委員です。
油井さんが放出した衛星、かなり小さいですが何ができるんですか。
水野⇒今回放出されたのは日本の大学とブラジルの衛星なんですが、このうち千葉工業大学の衛星は大きさが30cm×10cmと超小型なんです。
これでも宇宙のちりが地球の大気との摩擦で星のように光る流れ星を観測して、ちりの成分を分析し生命の起源につながる物質がないかを調べることになっています。
こんなに小さくてそこまでできるんですか?小さくても機能を限定すればできるんです。
これまでの一般的な衛星は高性能ですがその分大型でコストも高くなっていました。
例えばおなじみの気象衛星ひまわり8号ですがさまざまな観測機器を搭載しカラー画像も撮影できるようになりましたが重さは3.5トン。
寿命は15年以上ありますがその分信頼性を上げる必要もあって宇宙専用の部品を使って地上試験も繰り返し必要で開発期間は6年、価格も200億円以上するんです。
とても1研究室や1企業が持てるというものではありません。
そこでもっと宇宙を身近にという動きが10年余り前、日本でも本格化し始めました。
場所は大学の研究室だったんです。
安くそして早く、を合言葉に学生たちが10cmの手のひらサイズの超小型衛星を開発したのが始まりで打ち上げ費用を入れると1億円しますが、衛星の製作費は100万円なんです。
なぜこんなに安くできるんですか。
構造をシンプルにしています。
機能を限定しているので部品は少なくてすべて市販品を使います。
地上試験もよけいなものはやりません。
その結果、寿命は数か月から数年と短くなりますがコストは普通の衛星の100分の1以下です。
これまで日本では大学を中心に30基余りの超小型衛星が軌道に投入されましたが学生の手作りが多いということもあって3割余り、計画どおりのミッションとはいかなかったんですが台風や御嶽山の噴火の様子ですけれども火山の噴火の様子を撮影するなど成果を挙げてきています。
そして最近は研究だけではなくてビジネスへの利用も進み始めています。
先月千葉県にある気象情報会社が完成したばかりの超小型衛星を公開しました。
先ほどよりちょっと大きくなりましたね。
1辺は50cmあります。
目的は北極海の氷の観測です。
アジアとヨーロッパを結ぶ航路はアフリカ大陸回りやスエズ運河経由ですと2万km以上ありますが北極海を通れば1万3000kmとコストが大幅に削減できるため世界中の海運会社が注目しているんです。
またこの北極海、以前は年中氷に閉ざされて砕氷船しか航行できませんでしたが、温暖化の影響で最近は夏の間、氷が解けて民間の貨物船も航行できるようになったんです。
船会社は氷の位置や航路が開けているのかどうかという安全情報を求めています。
そこでこの会社では格安の超小型衛星を自前で持って北極海を自分たちで撮影し情報提供するということにしたんです。
来年夏には観測を始める計画で総費用は打ち上げ費込みで3億円です。
どこが作ったんでしょうか。
大手のメーカーではなくて商業用の超小型衛星を販売する、ベンチャー企業です。
オフィスが東京の神田にあります。
そこを訪ねました。
一般の衛星は大規模な試験設備を持つメーカーの工場で作られますが、ここではオフィスの一角にほこりなどが入らないよう空調をととのえた作業スペースを設けてここで衛星を組み立ててしまうんです。
部品はすべて市販品。
IT技術の進化でデータ処理装置などの電子部品もスマホに使われているような部品を利用しネットで注文することもあります。
試験も社員総がかりで対応します。
衛星がロケットから分離されるときの衝撃に耐えられるか確認するために弾丸を当てて中を調べる試験です。
試験もオフィスの中でやってしまいます。
衝撃は吸収されて、内部に異常がないことが確認されました。
ベンチャー企業の社員の方はどういう方たちですか?社員は15人いますが多くは大学で超小型衛星を設計し製作、試験から運用まで経験したことがある人たちです。
ですので何が重要なのかを肌で知っているんです。
ただネットだけですべての部品が調達できるわけではありません。
宇宙の環境は過酷ですのでそれに耐えられるような衛星の例えばパネルなど、こういった部品は町工場の技術が支えているんです。
そのうちの1つ、東京・品川にある町工場を訪ねました。
ふだんは精密機械部品の加工などを手がけるこの工場では今回、衛星の姿勢制御装置を支える部品をアルミの板を加工して作りました。
ただ単に加工するだけではなくて彼らの設計に対して、こうすれば性能を落とすことなくコストを下げることができると提案を逆にするんです。
そうすることで格安ながらも信頼性の高い衛星作りに貢献しています。
超小型衛星の商業利用は今後も広がっていきますか?その可能性は十分あると思います。
先ほどの会社に日本の商社が投資をするということ資本参加することが先月発表されました。
超小型衛星を50基打ち上げて農地を次々に観測して作物の生育状況を調べて、肥料ですとか水をやるタイミングを農家に情報提供するビジネスが検討されています。
すでに1基目の製作も始まっています。
また企業の宣伝に衛星を使うということも考えられています。
超小型衛星の一部のスペースを企業に貸し出す、いわゆるレンタルスペースのビジネスで実はこれはすでに行われていてある企業が去年打ち上げられた別の超小型衛星に自社のキャラクターを載せて地球を背景に撮影してもらったときの画像です。
この企業の創立記念事業として行ったもので、メッセージも入れることができます。
今後はこうした企業宣伝のために有料でのレンタルスペースのビジネスも広がっていく可能性があると思います。
このほかにも亡くなった方の遺骨の一部を衛星に載せて宇宙に届けてもらう宇宙葬も考えられましてまだまだビジネスチャンスはありそうです。
宇宙にたくさん衛星を打ち上げて宇宙ごみになりませんか?そうならないように軌道の低いところに投入して数か月から1年たったら地球の引力に引っ張られて大気圏に突入して燃えるようにしたり高い軌道の場合は衛星の運用が終わる直前に衛星みずからが低い軌道に移ってやがて燃え尽きるようにする対策が考えられています。
この会社では今後もさまざまな営業活動をしていくことにしています。
将来さらに値段が下がれば1研究室1企業に1基マイ衛星という時代もくるかもしれませんそれを期待しています。
どうすればいい…分かんな〜い。
2015/10/07(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「あなたの衛星 飛ばしませんか」[字]

NHK解説委員…水野倫之,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…水野倫之,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

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