1712年2月26日小田原の旅籠で女性が刃物で刺され死亡するという事件が起きた。
奉行所は旅籠で働いていた奉公人松吉を殺人容疑で逮捕した。
容疑者松吉は事件のあと無断欠勤し行方が分からなくなっていた。
しかし実家に身を寄せていた事が発覚。
身柄を拘束される。
松吉容疑者は小田原藩の町奉行所まで運ばれ裁きを受ける事になる
アブソリュートポジションN315W269E515S609ポジション確認。
アブソリュートタイムB5005491年72時69分18秒。
西暦変換しますと1712年3月4日10時47分25秒。
無事タイムワープ成功しました。
コードナンバー491023。
これから記録を開始します。
沢嶋雄一。
彼はタイムスクープ社より派遣されたジャーナリストである。
あらゆる時代にタイムワープしながら時空を超えて名もなき人々を記録していくタイムスクープハンターである。
山道を進む駕籠。
その形は通常の駕籠とは少し異なっている。
前後に小者と役人が警備を固めている。
これは罪を犯した囚人を護送するための駕籠である。
裁判が行われる奉行所まで運ばれる。
今回の取材対象は江戸時代の「囚人護送」。
特別な駕籠を使って運ぶ様子を密着取材する。
しかしその途中私は想定外の出来事に遭遇する事になる
この時代の人々にとって私は時空を超えた存在となります。
彼らにとって私は宇宙人のような存在です。
彼らに接触するには細心の注意が必要です。
私自身の介在によってこの歴史が変わる事もありえるからです。
彼らに取材を許してもらうためには特殊な交渉術を用います。
それは極秘事項となっておりお見せする事はできませんが今回も無事密着取材する事に成功しました。
護送に用いられる駕籠を「唐丸駕籠」という。
網目のカゴは犯罪人の逃亡防止である。
長距離の移動に使われる事が多かった。
山道を抜け到着したのは宿場町。
目的地の奉行所までは残り約37キロ。
夜道の護送は危険なため宿で1泊する事にした
宿に到着しても容疑者は駕籠から出る事はできない。
柱に縛られ足かせがはめられたままだ。
更に口には猿ぐつわ。
舌をかんで自殺しないようにするためである。
1泊2日この状態のまま駕籠の中で過ごす。
食事の時も囚人は外に出る事は許されない。
また排せつも駕籠の中でする事になる。
そのため底板には大小便用の落とし穴が開けられている
夜が明けるとすぐに彼らは出発した
あの〜ちょっと…。
私は護送の様子を詳細に記録するべく駕籠にマイクロカメラを装着させてもらう事にした
松吉に科せられた容疑は殺人だった。
7日前旅籠の女郎お梅が殺害された。
奉行所は同じ店で働く奉公人松吉を犯人と断定。
松吉はお梅とひそかに恋仲となっていて別れ話のもつれから殺人に及んだとの推測だった
その場で役人に身柄を拘束されたという
奉行所まであと10キロとなった山道
そこで駕籠が止められた
どうやら警備の役人勘右衛門がもよおしたらしい。
用を足すため脇の茂みに入っていく。
今回駕籠を運んでいる担ぎ手は偶然にも前に取材した事のある駕籠かき俊平と留吉であった。
ふだんは通常の駕籠かきとして働く二人だが護送要員として宿場の宿役人から依頼を受けたのだという
あれ?なあ俊平。
うん…。
そうか?まあいいや。
みたいですね。
いやだから何もありませんって。
えっ?あっ…はい。
そうですよね…。
それは思いも寄らない容疑者からの突然の告白だった。
何が真実なのかまだ私には分からない
いや〜待たせたな。
はい。
奉行所に無事到着
道中なんぞ故障はございませんでしたか?
唐丸駕籠が奉行所の役人に引き取られていく。
容疑者はこのまま厳しい取り調べを受けるという
気をつけ戻られよ。
はい。
俊平と留吉の護送任務はこれで終了となる。
だが何か釈然としない気持ちが残る俊平。
その時だった!
(古橋ミナミ)沢嶋さん。
はい。
こちら沢嶋。
今回の取材対象者ですが引き続きの調査をお願いします。
何かあったんですか?はい。
4日後に重要な出来事が起こっています。
4日後?はい。
分かりました。
じゃあ4日後にタイムワープをお願いします。
了解。
駕籠〜。
駕籠〜。
宿屋の前で客引きをする俊平と留吉
そこに現れたのは古着屋だった
町で仕入れたという着物を広げてみせる。
そこには…
だったらなかなか落ちねえぜ。
(2人)玉よし!?
着物を手に入れた場所は松吉が殺人を犯したとされる旅籠だった
ちょっといいですか?ええ。
うわ〜ついてんな結構な。
俊平がある事に気付く
明らかに不自然な血痕
居ても立ってもいられない俊平
どうでもよかねえよ。
留吉は事件の調査は駕籠かきの仕事ではないと主張。
2人が対立する
だから今行こうって言ってんじゃねえかよ!あてならここにあるだろって言ってるんだよ!
そしてついに…
だったらもう誘わねえよ!行け!行け!好きにしろ!勝手にするよ。
いくらですか?勝手にしろよ。
勝手にするっつってんだろ!ありがとうございます!見せ物じゃねえぞ。
おい!
俊平は一人問題の旅籠に向かった
一緒のお部屋で?ちょいとそういうのは…そういう事じゃなくて。
旦那。
それはちょっとご勘弁願いたいです。
いやちょっとお願いします。
よそをあたってもらえますか?そういうのやってないんで。
いやあ申し訳ないです。
今まいりますんで。
客を装い部屋に入る俊平。
待つ事5分
お待たせしましたか?どうぞごひいきに。
そうじゃないんだ。
そのままでいいんだ。
血痕のついた着物を見た途端おさよの表情がこわばった
よく見てほしいんだ。
変だと思わねえかい?何でもいいんだ。
そして…
書き置きは亡くなったお梅の遺書である。
そこには劣悪な職場環境と雇い主の不誠実を訴え耐えられず死ぬ決心をしたのだとつづられていた
これは紛れもない冤罪事件。
店の主人は劣悪な労働環境が世間に知られるのを恐れ奉公人の松吉に罪をなすりつけていた
決定的証拠をつかんだ俊平がついに…
しかたがないんです。
店の主人を恐れてかなかなか首を縦に振らないおさよ
おさよさん!行こう。
俊平は必死に懇願する。
そしてとうとう…
辺りを警戒しながら店からの脱出を試みる。
裁きは八つ時。
午後2時ごろ。
それまでに奉行所に証拠を出さなければならない。
だがその時だった!
たまにはいいじゃないですか。
おさよ。
それで今日のところは免じてやるぜ。
大概にしろ!
全ては筒抜けだった
やめろ!おさよさん!
そして…。
お梅の遺書が引き裂かれた
連れていけ!
しかしその瞬間!
留吉だった
あんた危ねえからどいてろ!
騒ぎを聞きつけて集まる野次馬
ぼんやりしてねえで早く捜し出せ!
店の評判を落としたくないのか男たちが逃げていく
ぜいたく言ってんじゃねえ。
おい俊平。
バラバラになったお梅の遺書を探す俊平
だがどこにも見当たらない。
その時…!
おさよさん!
おさよが全て拾い集めていた。
しかしこのままでは証拠として提出できない
裁きの時間が迫る!俊平は近くの茶屋に飛び込んだ
すまねえ。
困ったな。
何もないんですか?ちょっと待って下せえ!
そこにいたのは一人の僧侶
ちょっとでもいいんです!ちょっとでもいいんです。
お願いします!
僅かに残る握り飯を譲ってもらう事に
ちょっとちょっと!
米粒を接着剤に遺書を復元しようというのだ
そこじゃねえだろ!ばかお前!字が読めねえんだよ俺は。
まるでパズルのような難しい作業
だんだん読めるように…。
どこだ?これどこだ?
復元は困難を極めた
彼らの必死な姿に心を動かされたのかいつの間にか僧侶も協力に乗り出す。
そして…
よし!なるほど…。
行こう!いや別に。
助かりました。
急いで行きなされ。
急ごう!ありがとうございます!
3人は奉行所を目指して走りに走った
ごめんくだせえ!お役人の方どなたかいないですかい?
何とか間に合った
お梅の遺書を受け取る役人
お願いします!
これで事件が再審査される可能性が大きくなった
これで松吉助かる…。
しばし奉行所からの返答を待つ。
果たして松吉の運命は?奉行所から出てくる駕籠。
なんとその中には松吉の姿が…!
下がれ下がれ!証文は?ここに間違いなく書き置きが…!
貼り付けた遺書が全て剥がれている
そういうわけじゃねえです!
一体どういう事なのか?
駕籠に取り付けていたマイクロカメラにその理由が記録されていた
お願いします!
証文を受け取った役人が屋敷に戻っていく。
その時…
落ちていく紙切れ。
米粒が乾燥し接着が弱くなってしまった
ばかな事を申すな!下がれ下がれ!行列の邪魔だ。
さあ行ってくれ!
一度決まった判決は覆せない
どういうこった!
3人はもはやどうする事もできなかった。
絶望感に包まれる
現れたのは米粒を譲ってくれたあの僧侶
自分が情けねえ…。
死罪になっちまいました。
その時海雲が思わぬ事を口にする
それは処刑されかけた罪人を公然と救うたった一つの方法
そうだな。
急ごうぜ。
袈裟がけにより罪人の処刑が中止された例は記録にも残っている。
袈裟がけは罪人への最後の慈悲であり人間救済の含みがあった
かくして松吉を救う最後の手段袈裟がけが決行される事になった。
袈裟は罪人がまさに斬られようとするその瞬間にかけなくてはならない。
時間にして僅か数十秒。
生きるか死ぬかはこの瞬間にかかっている。
果たして袈裟がけは成功するのか?
ごめん!ごめん!
野次馬をかき分け最前列に場所を確保する。
駕籠から出される松吉
ついに松吉が処刑場へ
狙いを定める海雲。
果たして袈裟は…?
勢いがつき過ぎた。
無情にも後ろの壁の上に落下した。
失敗!
これも運命なのか。
もはやどうする事もできなかった
刀を抜く執行人。
…がその時だった!
(一同)あっ?かかった!かかったぜ!待て待て!
立ち会いの役人たちは仏法の精神に敬意を表し処刑の中止を受け入れる事にした。
松吉は処刑を免れた
それでよいか?今袈裟がけが成功しまして松吉さんの刑が取り消されました。
成し得たり!成し得たり!ありがとうございます!でどうすんだ?いいだろそれぐらい!
(海雲)そなた…はい。
ではまいるか。
はい。
ごめんくださいませ。
(俊平)道中気をつけて。
(留吉)気をつけなすって。
(海雲)まいろう。
袈裟がけを施した僧侶は松吉の身元を引き受けた。
勇気を持って行動を起こした俊平留吉そしておさよ。
彼らの行動が一人の命を救う事につながった。
それはいくつかの偶然が積み重なった奇跡である。
だが名もなき人たちの思いが交差して生まれた結果である事は間違いない
そうですね。
行こうぜ。
歴史をつくる一人一人の人間の営み。
その偉大なる姿をこれからも記録していく。
私はタイムスクープハンターなのだから
以上コードナンバー491023アウトします。
(警告音)あれ?応答願います!本部!古橋さん!どうされました!?ニューロ粒子トラブルです!沢嶋さんタイムワープ待って下さい!もう間に合いません!タイムクラックのようです!ここはどこなんですか!?本部!?沢嶋さん!2015/10/07(水) 01:30〜02:00
NHK総合1・神戸
タイムスクープハンター セレクション「護送密着!最期の6日間」[字]
「タイムスクープハンターセレクション」取材対象は江戸時代、囚人を護送する駕籠かき。えん罪で捕まった男を助けようと奮闘するが、裁判結果は死罪。救出できるのか?
詳細情報
番組内容
沢嶋雄一は江戸時代へタイムワープをした。今回の取材対象は囚人を護送する駕籠(かご)かき。駿河の国、山道を犯罪人(松吉)を運ぶかごが行く。かごを担ぐのは俊平と留吉。奉公人・松吉の容疑は店の女性を刃物で刺し殺した殺人。奉行所まで無事に護送は行われたが、俊平は松吉の真摯な態度に心を動かされる。事件を調べ始めた結果、えん罪の証拠があがった。しかし、判決は死罪。命を救う最後の手段とは?
出演者
【出演】要潤,杏
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドラマ – 国内ドラマ
バラエティ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:9042(0x2352)