(最終回)相棒 season6 2015.10.06


(角田六郎)情報料100万円ねぇ。
(小松真琴)大金ですね。
(大木長十郎)何かいい情報ないですかね?バカ!俺ら警官だよ。
こんなのもらえるわけないだろう。
(亀山薫)あっ!また。
おうお帰り。
(杉下右京)お茶の時間ですか?ご馳走されてます。
まったく暇ですねぇ。
暇じゃないよ!ヤクの売人朝イチから大捕り物だよ。
あ…そりゃ失礼しました。
このビラは?ああこれね。
現場の近くで配ってる人がいてさあんまり一生懸命でねついもらっちゃったよ。
「2007年11月14日調布市東調布3丁目のマンションベルメゾン東調布でこの部屋に住む中津留順子が殺害されました」「当日マンション付近で不審者を目撃された方を探しています」う〜ん…「有力な情報をお寄せくださった方には謝礼金として100万円差し上げます」…。
ん?こんな殺人事件ありましたっけ?妙ですねぇ。
何です?該当する事件のデータがありません。
え…ないの?変な話ですね。
記録がないという事は事件として扱われなかったのかもしれませんねぇ。
でもこれには殺人って書いてありますよ。
うん…。
あっ行くんですか?君は好きにして構いませんよ。
いや…もちろん行きますよ!まどうせ暇だしね。
(中津留健吾)お願いします。
ご協力お願いします。
(中津留)ご協力お願いします。
ああ失礼。
ちょっとよろしいですか?あ…こちらの中津留順子さんが亡くなった件についてよろしければ少しお話を…。
(中津留)あなた方は?警視庁特命係の杉下と申します。
同じく亀山です。
警察の方…?失礼ですが中津留順子さんの…。
父親です。
お願いします。
娘の事件を捜査してください。
ストーカーを捜してください。
ストーカー?娘はストーカーに殺されたんです。
ここです。

(中津留)ここが娘の部屋です。
当時のまま残してあります。
さあ。
失礼します。
死体発見時の状況を詳しくお聞かせ願えますか。
はい…最初に発見したのは娘の勤めていたエステサロンの同僚でした。
順子が出勤してこないのを不審に思って部屋を訪ねてくれて…。
管理人さんに頼んで鍵を開けて中に入ったそうです。
つまり当時部屋は鍵がかかっていた。
ええ。
鍵よろしいですか?あ…。
でお嬢さんはどんな状態で?パジャマ姿でそこの床に倒れていたそうです。
(熊沢武明)同僚の方ですね?はいそうです。
何の目的でこちらに来られたんですか?今朝出勤したら…。
(中津留)すぐに東調布署の刑事さんたちが駆けつけたそうで…。
病死…?
(熊沢)ええ。
急性の心機能不全…いわゆる心臓発作だと思われます。
事件性はありません。
心臓発作…?男手ひとつで育ててこられたそうですね。
お悔やみ申し上げます。
(中津留の声)何にも考えられないままに通夜が済み告別式が済み…順子は白い灰になりました。
先ほどお嬢さんはストーカーに殺されたとおっしゃいました。
なぜそう思われるのでしょう?香水です。
香水…?順子に香水を贈った男がいたはずなんです。
詳しくお願いできますか。
葬式のあと高校の同級生が線香をあげに来てくれましてね。
彼女たちが教えてくれたんです。
順子は生前自分のブログを持っていたと。
(中津留順子の声)「今日部屋の郵便受けに香水のビンが入ってた。
これで三度目だ」「なんだか怖いから速攻捨てた。
っていうか誰の仕業?」
(中津留)それが死の3日前の日記でした。
香水を三度ですか…確かに気になりますよね。
どこかの男が順子に一方的に思いを寄せていたに違いないんですよ。
その男にお心当たりは?順子はエステサロンに勤めていて同僚も客も女性ばかりでした。
特定の恋人もなかったようですし…。
あ…ブログの内容は警察には話しましたか?話しましたとも。
しかし「事件の証拠にはならない。
病死は結論の出た事だ」と言われてどうにもなりませんでした。
それで1人で犯人捜しを…。
でも集まる情報は謝礼金目当てのデマばかり…。
どうかしましたか?あ…傷ですね。
タンスを動かしたのでしょうかねぇ。
模様替えしたとか…?そっちを持っていただけますか。
あはい。
はいせーの!いよっ…!亀山君。
あ何かありました?これは何でしょう?染みですか…?ええ…染みですね。
中津留さん…?どうかなさいましたか?いや何でもありません。
ただの立ちくらみです。
顔真っ青ですけどどこか具合でも悪いんですか?いいんです。
それよりその染みが順子の死に何か関係があるんですか?鑑識に来てもらいましょう。
はい。
ありがとうございます。
どうかお願いします。
中津留順子…?ええ。
去年の11月自宅マンションで変死した女性ですが。
検視なさったのがあなただと伺いました。
ええ。
病死と判断された理由は何でしょう?部屋には鍵がかかっていて死体には外傷が見当たらなかった。
病死と考えるのが妥当でしょう。
でも彼女の父親はその後娘さんがストーカーに殺されたと訴えてたんですよね?妄想ですよ。
娘さんを失ったショックのせいだ。
妄想だと断言できる根拠はおありですか?…はあ?部屋には鍵がかかっていたとはいえ外から侵入する事も可能でしたよね?無論ドアも窓も調べましたよ。
ピッキングの痕跡はありませんでした。
しかしあの部屋の鍵は簡単に合鍵が作れるタイプのものでした。
あの日誰も室内の物音を聞いていない。
彼女には男女関係のトラブルもなかった。
ストーカーが知人の中にいるとは限りませんよ。
何なんです!?こちらの判断が間違っていたと言いたいんですか?いやそういうわけじゃないんすけどね。
申し訳ありません。
ついつい細かい疑問がわいてきてしまう。
僕の悪い癖。
立派な癖ですね。
ありがとうございます。
(梅本)中津留順子さん…。
確かに私が死体検案書を書きました。
死因は心機能不全だったそうですね?ええ。
表面観察の所見です。
という事は解剖はされなかった?ええ。
担当の検視官が事件性はないと判断しましたので解剖には回されませんでした。
その判断について先生ご自身はどうお思いになりますか?警察の判断には私は言える立場にありません。
(亀山美和子)じゃあ所轄署は急性心不全で処理したんだ。
ああ。
他殺だった証拠は今のところゼロ。
(美和子)死体が残ってないんじゃ解剖して調べようもないね。
(宮部たまき)でも意外でした。
…はい?そういう遺体ってみんな解剖に回されるのかと思ってました。
すべての変死体の中で解剖に回されるのはわずか10パーセント足らずです。
(たまき)たったのそれだけ?この数字は先進国の中では最低なんですよ。
日本では現在ほとんどの変死体は表面観察によってのみ死因が判断されそのまま火葬されているのが現状ですねぇ。
今回の件23区内だったら状況は違ったかもね。
ああ…。
23区ってどういう事?東京23区には監察医制度っていうのがあるんです。
うん…。
変死体が発見された場合それが明らかに他殺もしくはその疑いがあれば司法解剖に回されます。
一方事件性がないとされた変死体の場合変死体を専門に診る監察医が行政解剖を行い死因の究明に当たります。
それが監察医制度…。
ええ。
解剖が行われて初めて他殺だとわかるケースもあるんですよ。
残念ながら。
しかしその制度の存在は東京23区を含めごく一部の地域に限られます。
ほとんどの地域では警察官が犯罪性なしと判断した死体に対しては原則として解剖はされていません。
いかなる理由で命を失ったのか…それが明らかにされる権利は死者にもあると思いますがねぇ。
(米沢守)とんでもない事実が判明しました。
(米沢)タンスの裏の染みからシアン化ナトリウムが検出されました。
シアン化ナトリウム…?別名青酸ソーダ。
致死量0.2グラムの劇薬です。
え…じゃあ順子さんはやっぱり病死したんじゃなくて…。
どうやら毒を飲んで亡くなった可能性が高そうですな。
あの刑事が死因の判断を間違えたって事ですかね。
青酸化合物による中毒死の場合一般に鮮紅色の死斑の出現および口腔内のアルカリ性腐食などの所見が見られますがそれらが出ない場合もあります。
こちらの鑑定結果を早急に捜査一課に伝えてください。
そうおっしゃると思ってすでに伝えてあります。
おっ…。
ところでシアン化ナトリウムは無色のはずですが。
(米沢)ええ。
染みの色はオレンジジュースの色素によるものでした。
なるほど。
つまり犯人はオレンジジュースのペットボトルに青酸ソーダを混入させた。
どうしてペットボトルってわかるんですか?この染みの大きさと形状からペットボトルのキャップではないかと思ったものですから。
ああ…。
そのとおりですよ。
直径28ミリ最も広く用いられてるサイズのキャップです。
つまりこういう事ですか?順子さんは毒の入ったオレンジジュースを飲んで床に倒れた。
その時にペットボトルとキャップも下に落ちる。
でキャップは床を転がってタンスの裏側に入り込んだ…。
その後何者かがこぼれたジュースを拭き取りペットボトルとキャップを回収し…。
部屋の鍵をかけて立ち去った…。
ちょっと失礼。
これがその人物の手がかりになるかもしれません。
玄関のドアの外側から耳紋が確認されました。
え…ジモン?耳に指紋の紋と書いて「耳紋」。
つまり耳の形に皮脂が付着していたわけですね。
(米沢)そのとおりです。
って事は何者かが彼女の部屋のドアに耳を押し付けた?そう推測できますねぇ。
やっぱり彼女にはストーカーが。
(電話)あっ!すいません。
(電話)
(電話)はいもしもし鑑識課です。
(内村完爾)「内村だ。
杉下がそこにいるだろう?」あ…えいや…あの…。
(内村)特命の部屋に電話したが誰も出ない。
大方そこで何か嗅ぎ回ってるんだろう。
すぐにこっちに来るように伝えろ。
杉下警部…。
申し上げにくいんですが部長からのお呼び出しです。
おや…よくここがわかりましたね。
(内村)所轄署が病死と判断した案件に首を突っ込んでるらしいな。
中津留順子さんは病死なんかじゃありません。
何者かに毒殺されたんですよ。
彼女の部屋の床から青酸ソーダが検出されました。
お前たちが何をほじくり返そうともうこの件に関しては捜査は行われない。
捜査が行われない?つまり東調布署はあくまで病死の判断を覆さないという事ですか。
(中園照生)わかっているならお前たちも速やかに手を引け!ちょっと待ってくださいよ。
現に部屋から毒が出てるんですよ。
毒はペットボトルのオレンジジュースに入ってたんですよ。
そのペットボトルはどこにあるんだ?えっ…。
毒入りのオレンジジュースを中津留順子が飲んだという証拠はあるのか?いや…それは今…。
(中園)死体もすでに存在しない以上毒殺を裏付けるものは何ひとつない。
一体どうやって立件するつもりだ?くそ…。
とにかく順子さんの交友関係を洗いましょう。
元カレとか男友達の中にストーカーがいるかもしれないし。
あそうだ。
青酸ソーダの出所も調べないと。
やみくもに手をつけても仕方ありませんよ。
じゃどうすりゃいいんですか?まず犯人がどのように順子さんに毒を飲ませたのか考えましょう。
あはい…。
(伊丹憲一)おっホホホ〜また呼び出しか?
(三浦信輔)毎度毎度よく呼び出されるネタがあるもんですね警部殿。
(芹沢慶二)手柄があったらまた回してくださいね。
ああ。
取調室空けて待ってろ!痛っ…!俺たちがいつ手柄回してもらったよ?バカ…!
(チャイム)あすいません。
はい。
お隣どこか出かけてらっしゃいますかね?ああ中津留さんね…入院したんですよ昨日。
入院…?家の前で倒れてね。
救急車呼んで大変だったんですよ。
え…?
(中津留)ビラ配りから帰ってきたら急に気分が悪くなって…。
情けない限りです。
検査したんですか?ちゃんと。
何疲れが溜まってるだけだそうです。
それよりどうでした?タンスの裏の染み調べてくれたんですよね?ええ。
あれはオレンジジュースでした。
オレンジ…?ペットボトルのキャップの跡でした。
順子のやつ子供の時分からオレンジジュースが大好きでね。
昔はよく2人でオレンジを買ってきて手作りのジュースを作ったものでした。
あの子はちっちゃい手を黄色くして一生懸命オレンジを搾ってた。
あの頃が一番かわいかった。
それからは生意気になる一方で…。
こないだ帰ってきた時もつまらない事でケンカをしてしまいました。
そのまま…永遠の別れです。
あの子は今でもオレンジジュースが好きだったんですね。
ジュースと一緒に青酸ソーダが検出されました。
青酸ソーダ…!?順子さんは毒殺された可能性が高い。
俺たちはそう考えてます。
ありがとうございます刑事さん。
これで警察も本格的に動いてくれる。
いえ…捜査をするのは2人だけです。
は…?俺と俺の上司の…2人だけです。
どういう事です?順子さんの死因について警察は病死という判断を変えません。
死体が残ってない以上彼女が毒を飲んだという事実は証明のしようがない。
それが理由です。
そんな…そんなバカな…!だけど…だけど必ず犯人は突き止めてみせます。
俺たち…たった2人ですけど順子さんを殺した奴を必ず突き止めてみせます。
だから…。
もう少し待っててください。
あなたならよかった…。
え…?順子が死んだ時来てくれた刑事さんがあなたならよかった…。
よろしくお願いします。
こちらです。
どうも。
例のオレンジジュースについて分析が完了しました。
含まれていたオレンジの品種などから見て「プラス・アップ・オレンジ」という製品のようですな。
やはりそうでしたか。
え…やはりって?順子さんのブログをプリントアウトしました。
あ…「10月28日」…。
(順子の声)「最近のお気に入りは『プラス・アップ・オレンジ』」「なんだか懐かしい味がするんだよね」「会社帰りに買って」…。
「くつろぎタイムに飲むのがマイブーム」…。
(鍵をかける音)この鍵をバッグの内ポケットに入れておいてください。
あはい。
でもそれにしても何で順子さんのカバンなんか借りるんですか?犯人がどのように犯行を成功させたのかある推測を元に検証してみようと思いましてね。
あ…。
こうか。
「プラス・アップ・オレンジ」これですね。
順子さんの勤務先から自宅までの間でこのジュースを売っている場所はここだけです。
はあ。
君も好きなものどうぞ。
ああいいんすか?じゃあ…よし。
ご馳走様です。
いただきます!あ…飲まずにバッグに入れてください。
えっ?何で…?順子さんが利用していたバス停ですね。
そこの自動販売機でジュースを買ってここからバスに乗って帰宅。
その間に犯人はジュースに毒を入れた…?おや…路線に大学がありますね。
ああ「城南大学理工学部」…。
あっ!ここの学生なら順子さんと車内で顔を合わせてたはずです。
なるほど。
いつも同じバスに乗り合わせる順子さんに一方的に恋心を抱いたとしてもおかしくありませんよ。
男女の機微に関しては相変わらず鋭いですねぇ。
いや…。
あっ!それに理工学部なら青酸ソーダも置いてあるんじゃないですかね。
ちょっと調べてみましょうか。
はい。
ところで君は自販機で何を選びましたか?え…ああお茶ですけど。
あれ?あっ…!?先ほど僕のものとすり替えたんです。
えっ…気がつきませんでした。
つまりバスの揺れと混雑を利用すれば彼女に気づかれずにペットボトルをすり替える事は可能です。
あ…もしかして…。
ええ。
犯人は彼女のジュースに毒を混ぜたのではなく…。
もともと毒の入っていたペットボトルを彼女のものとすり替えた?ええ。
彼女の行動を把握していた人物ならば可能です。
さらに…。
あれ…!?それも抜き取ったんですか?こういう推測は成り立ちませんか。
犯人はある朝彼女のバッグから鍵を抜き取った。
そして素早く型を取り鍵をバッグに戻した。
彼女に気づかれないように合鍵を作ったって事ですか?不可能ではないと思いますよ。
(三田村真司)劇薬はこの棚に保管されています。
(三田村)鍵は僕が管理を。
こちらで青酸ソーダの盗難あるいは紛失などが起きた事はありますか?まさか。
あれば警察に届けてますよ。
ですよね。
例えば実験などで劇薬が使用される場合学生はこちらを自由に開けたりする事はできるのでしょうか?ああその場合は所定の用紙で申請する事になっています。
実験には必ず教授が立ち会いますしその記録も提出が義務づけられてますよ。
ああじゃもし劇薬が減ってればすぐわかりますよね?ええ。
ここの学生の線は空振りですかね?まだ決めつける事はないと思いますよ。
(携帯電話)杉下です。
東調布署の熊沢です。
一応お伝えしておこうと思いましてね。
はい…。
そうですか…。
それはいつの事ですか?わかりました。
ありがとうございます。
東調布署の熊沢さんからでした。
ああ何か?中津留さんが亡くなりました。
え…?変死体で見つかった?ええ。
お嬢さんのマンションの前で。
すでにご遺族が遺体を引き取りました。
どういう事ですか?中津留さん入院してたはずですよ。
らしいですね。
心臓のご病気だったそうで。
え…?担当の医師に確認しました。
次の発作が起きれば助からない…そう本人には伝えていたそうです。
えぇ…?そんな状態にもかかわらずなぜ病院の外で亡くなったのでしょう?絶対安静を無視してビラを配りに行ったんですよ。

(熊沢)あれじゃ自分から命を捨てたようなものだ。
(熊沢)会議があるので私はこれで。
責任感じないんですか?責任?彼はずっとお嬢さんの事件を捜査してくれと頼んでた。
でもあんたたちは耳を貸さなかった。
だから無理したんじゃないんですか!亀山君。
中津留順子さんは病死ですよ。
熊沢さん。
そのご判断は今も変わりませんか?ええ変わりませんね。
そんなに重い病気だったのか…。
俺にはひと言も言ってくれなかったんすよ。
チッ…何でそんな無茶したんだ…。
気になりますねぇ。
え…?中津留さんが亡くなったのは順子さんのマンションの前です。
そして順子さんの時と同じ所轄署によって同じように病死と判断された。
ええ…。
偶然でしょうかね?
(中津留正一)弟の遺体をですか?ええ。
少々調べさせていただきたい事がありまして。
解剖するって言うんですか?弟の体を。
いえ解剖じゃありません。

(熊沢)いい加減にしてくれ!こっちはあんたらに付き合ってる暇はないんだ!中津留さんが亡くなる直前に元勤務先の工場に行っていた事がわかりました。
金属の加工工場です。
そこにはメッキ作業の材料としてシアン化ナトリウムが保管されてました。
別名青酸ソーダ。
順子さんが殺害されたのと同じ毒薬です。
そこからある仮説が成り立ちます。
中津留さんは病気ではなく工場で毒を手に入れそれを飲んで亡くなった。
つまり自殺だった。
しかし所轄署はその事実に気づかず彼の死を病死と判断した。
フン…デタラメにも程がある。
中津留さんのご遺体を画像診断しました。
画像診断…?ええ。
ある大学の法医学教室に依頼しまして。
その法医学教室では異状死体の死因究明にあたって試験的に医療機器を導入しています。
ご遺族の承諾を得て中津留さんのご遺体をCT撮影しました。
食道から胃にかけて激しくただれてました。
青酸化合物による腐食の可能性があります。
ご遺体を解剖すればさらに決定的な証拠が見つかると思いますよ。
あんたたち…。
中津留さんはご自分の命と引き換えに証明してみせたのかもしれません。
異状死体の死因の判断において警察がミスを犯しうるという事実を。
だから彼はあえて順子さんのマンションの前で毒を飲んだ。
順子さんの時と同じ所轄署に死因の判断をさせるために。
そして同じミスを犯させるために…。
父親の検視をしたのは私じゃない。
それに何度も言うように中津留順子は病死に間違いない!俺は現場を30年近くやっている。
その俺が判断したんだ。
30年…長いですね。
でも順子さんの人生はたった23年でした。
ああ…あと1つだけ。
中津留さんが亡くなる前に行っていた場所がもう1か所ありました。
郵便局です。
恐らく中津留さんはご自分の死の真相を書いた手紙をどなたかに送ったのではないでしょうかねぇ。
お引き取りください。
わかった。
書くよ。
頼む。
中津留さんが毒を飲んで死んだのは事実なんだ。
死因を明らかにされるのは死者の権利…。
そう訴える記事にする。
そうだな…そうしてくれ。
死者の権利の不平等ですか…。
犯人はそれに付け込んだとは考えられませんか?
(美和子)どういう事です?順子さんの勤め先のエステサロンは世田谷区。
つまり東京23区内にあります。
仮に彼女が勤務先で亡くなっていたとしたらどうでしょう?変死体は監察医制度によって解剖される…。
そして死因が特定された可能性が高い…。
しかし彼女は調布市の自宅で亡くなった。
そして解剖はされなかった。
犯人がそれを狙ってたっていうんですか?
(美和子)犯人は警察の判断ミスを…病死として扱われる事を初めから期待していた?うがち過ぎかもしれませんが。
もしそうだったら怖いですね。
犯人また同じ事繰り返すかもしれないし毒だってまだ持ってるんでしょ?そうか…。
監察医制度のない地域を狙って病死に見せかけた毒殺を繰り返す…。
ありえないとは言えませんね。
逆かもしれません。
逆…?すでに繰り返されていたとしたら。
え…?順子さんの事件が最初の犯行ではないとしたら。
余罪があるって事ですか?たまきさんそろそろお茶漬けにしてもらえますか。
(たまき)はい。
この5年間に23区以外で発見された変死者のうち事件性がないと判断された人のリストですよね?毒殺の疑いがあるものをピックアップしましょう。
はい。
まずは調布市です。
調布市…調布市…。
あ…まだ狛江市ですけど。
この方は城南大学の教授です。
城南大学ってこないだの…。
確かあのバス路線は調布市から狛江市の一部を通って世田谷区へと続いている。
死亡場所は大学の研究室ですか…。
あっ死亡日時去年の10月ですね。
順子さんが死亡した日のわずか1か月前。
「死因急性心機能不全」…。
病名も同じ…。
どうやら詳しく調べてみる必要がありそうですね。
はい。
また何か?去年の9月21日あなた青酸ソーダを使った実験を行ってますよね?鉱石から金属を抽出する実験だったそうですねぇ。
あなたは実験後規則どおり所定の用紙にその内容を記録し大学側に提出された。
でもちょっと気になる点があるんですよ。
何です?使用された青酸ソーダの量が違うんですよ。
ゼミ生のノートを見せてもらいました。
その日実験に使われた青酸ソーダは18グラムだったそうです。
しかしあなたの記録ではそれが20グラムとなっていました。
つまりあなたは実験で使われた青酸ソーダの量を2グラム多く記載したわけです。
その2グラムをあなたはこっそり自分のものにしたんじゃありませんか?ハハ…まさか。
ゼミ生が記入を間違えたんでしょう。
違う!あなたは手に入れた青酸ソーダを使って2人の人間を殺した。
1人はこの大学の室戸教授もう1人は…!ちょっとやめてください。
何を言ってるんだ?三田村さん。
室戸教授は学会の席であなたの論文を酷評なさったそうですねぇ。
それ以来あなたは教授と顔を合わせても決して口を利こうとはなさらなかった。
複数の大学関係者がそう証言していますよ。
教授は生前研究室に自分のカップを置いてたそうですね。
あなたはそれに毒を仕込んだんじゃありませんか?
(室戸繁)うっ…!
(苦しむ声)教授は心臓に持病がおありだったそうですねぇ。
その事もあり教授の死因を警察は心機能不全と判断。
ご遺体は解剖には回されませんでした。
僕は教授を殺してなどいません。
それではもう1つ。
中津留順子さんご存じですね?誰です?そんな人知りません。
あれ?おかしいなぁ。
あなた通勤の際いつも彼女と同じバスを利用してたんですよね?順子さんのマンションであなたを見かけたという方がいらっしゃいましたよ。
恐らく順子さんに三度香水を贈ったのはあなたでしょう。
しかしそれが何らかのきっかけで好意から殺意に変わったのではありませんか?彼女は仕事のあと決まった銘柄のジュースを買って帰るのが習慣だった。
それを知ってたあんたはバスの中で彼女のペットボトルをすり替えたんだ。
すり替えたボトルには青酸ソーダが入っていた。
中津留順子なんて女まったく知りません。
では耳を調べさせていただけませんか。
耳…?彼女の部屋のドアには犯人の耳紋…つまり耳の跡が残ってたんですよ。
順子さんを殺した証拠を持ち去ろうとしたのでしょうね。
恐らく犯人は順子さんの部屋へ行きドアに耳を当てて中の物音をうかがった。
その後あらかじめ用意しておいた合鍵で部屋に入り…。
ペットボトルとキャップを拾い部屋から持ち去った。
ちなみに指紋と同じように耳紋の形も千差万別だそうですよ。
あなたの耳の形を調べさせていただければ疑いも晴れるかと思いますがどうなさいますか?その…耳紋と僕の耳が一致したとしても彼女を殺した証拠にはならない。
彼女の部屋に行った事は認めるんだな!?行っただけですよ。
中に入っちゃいない。
ストーカー行為青酸ソーダこれだけ証拠が揃っていてもお認めにならない?どの証拠も決定的じゃない。
ではどのような証拠をお望みでしょう?僕が彼女に毒を盛った証拠ですよ。
つまりバスの中で彼女のジュースをすり替えた証拠ですね?それでも不十分だ。
どう不十分でしょう?そのオレンジジュースに僕が毒を入れた証拠はない!妙ですねぇ。
僕は青酸ソーダ入りのジュースとは言いましたがオレンジジュースとはひと言も言っていませんよ。
なぜ毒が入っていたのがオレンジジュースだとわかったんですか?三田村さん!!
(三田村)バスの中で彼女を見かけるようになって…僕の理想の女だと感じた。
思わずあとをつけて自宅を確かめた。
そして彼女に香水を贈った。
3回もね。
だけど使ってくれなかった。
毎日毎日バスの中で彼女に会ったよ。
だけどあの香水の香りはしなかった。
あの女…僕の気持ちを踏みにじったんだ。
踏みにじった…?僕の心を拒む奴に生きている資格などない。
お前そんな事で…この野郎!室戸教授はなぜ?あのジジイ助手としてずっと助けてやったのに…。
青酸ソーダを手に入れたのはもともと教授を殺すためだったのか!?そうだ。
あの日研究室でみんなの前で僕に言いやがったんだ。
僕の論文には独創性がないってね。
自分の頭で何ひとつ考えてないって。
それ以来いつか殺してやろうと用意していた青酸ソーダであの夜…誰もいないのを見計らってあいつの使っていたカップに青酸を入れてやったんだ。
最初は俺が殺したってバレるんじゃないか…そう思ってビクビクしてた。
(室戸)うっ…!
(苦しむ声)だけどあいつの死体を見た警察は解剖もしないで病死と判断したんだ。
殺した事にも気がつかない。
私が来た時にはもうこの状況でした。
味をしめてしまいましたか。
第2の犯行…すなわち中津留順子さんを毒殺し病死に見せかける事に成功した。
ネットであれこれ調べて確信したんだ。
監察医制度のない場所では犯行を巧みにカムフラージュすればバカな警察官が勝手に病死と判断してくれるってね!
(笑い)あなたにバカな警察官などと人を非難する権利などありませんよ!自らの犯した罪の大きさに恐れおののく日があなたには必ず来るんですよ。
(三田村の嗚咽)結局手柄が回ってきましたねぇ。
(舌打ち)痛っ…!余計な事言うな!おい来たぞ。
(伊丹)おうおう…おい。
ご苦労さん。
取調室空けて待ってたか?
(三浦)黙って渡してもらおうか。
どうも。
さあ行くぞ。

(伊丹)「室戸教授から論文を酷評されたあんたは教授の殺害を思い立ち青酸ソーダでの殺害を考えた」「はい」
(芹沢)「室戸さんが病死で処理され自分に疑いの目が向けられなかったあなたは今度はフラれた腹いせにまた青酸を使用して順子さんを殺害した」毒殺事件を立て続けに見逃していたわけか…。
はあ…。
ここはやはり謝罪会見が必要かと。
あ痛…痛い痛い…。
ゆうべ寝違えた。
は…?これ以上頭が前に下がらん。
謝罪はお前に任せる。
最初は破り捨てようと思ったんだが…。
恐縮です。
でも公にしますよ。
中津留さんの命を懸けた訴えですから。
たった5000だ…。
はい?国が司法解剖に出す予算はたったの5000体分だ。
年間15万を超す変死者のうちわずか5000人だ。
ええ。
そのために監察医制度のない地域では多くの変死体は表面観察だけで荼毘に付されてしまいます。
システムにも問題があるのにミスはすべて現場の責任。
たまったもんじゃない。
おっしゃるとおりこの国の死因究明システムは十分に機能しているとは言えません。
現場の責任を問えば済むという問題でもありません。
しかしだからこそ我々は遺体の声に全身全霊で耳を傾ける事を忘れてはいけないのでしょうね。
遺体の声か…。
ええ。
失礼する。
これから現場だ。

(中津留の声)「刑事さん。
この手紙があなたに届く頃私はもうこの世にいないはずです」「あなたたち警察は私が病気で死んだと思うでしょう」「だけど違う」「私は青酸ソーダを飲んで死んだのです」「順子の命を奪ったのと同じ毒で死んだのです」「順子は誰かに毒を飲まされて死んだのです」「なのにあなたたちが勝手に病死にしてしまった」「あなたたちには順子の声が聞こえませんか」「焼かれて真っ白い灰になった順子が悔しい悔しいと叫んでいるのが聞こえませんか」「刑事さん最後のお願いです」「順子を殺した犯人を捜してください」「今私の味方はたった2人です」「警察はこんなに大きいのに私の力になってくれるのはたった2人だけなんです」「どうかよろしくお願いします」
(ため息)それでも…やっぱり間違ってますよ。
命を捨てるなんて…間違ってますよ。
2015/10/06(火) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
[終]相棒 season6[再][字]

杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)の名コンビが難事件に挑む!

詳細情報
◇番組内容
第18話「白い声」
心不全と判断された女子大生の父親が殺人事件だと言い張る。遺体はすでに火葬済み。死人に口なし。果たして右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は事件の糸口をつかめるのか!?
◇出演者
水谷豊・寺脇康文・鈴木砂羽・高樹沙耶(益戸育江)
川原和久・大谷亮介・山中崇史・山西惇・六角精児
山本亘・上杉祥三

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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