(久条麗子)この1年で随分うまくなったわね。
(狩矢和美)麗子さんのお陰です。
私花嫁修業って名前の付く事大嫌いだったから。
なのにお花が生けられるようになって母なんか喜んじゃって。
そうお母様が。
あの時ですよね私がここの京流の生け花展の取材をしてた時に「お華やりませんか?」って麗子さんに勧められて。
そうだったわね。
ホント自分でも変わったと思います。
今ではカメラのファインダー越しにほんの少しですけど花の気持ちがわかるっていうか何か感じるんですよね。
花の心…ね。
つらい時いつも私の心を救ってくれたのは花だったわ。
(西川鳳)今まで散々反抗しておいて急に家元を継がせてくれだと?だったらちゃんと稽古にも出て修業をしろ。
(西川和彦)お父さん僕結婚したいんです。
何?結婚だと?あの女とまだ付き合ってるのか。
私は絶対に許さんと言ったはずだ!お父さん。
あんな女にそそのかされて…お前は!
(咳込み)お父さん!お父さん!?お父さん!・
(和彦)麗子さん!麗子さん父が…。
家元が…!?お父さん!家元!?大丈夫ですか?ああ…。
今日のお茶会大丈夫ですか?ああ。
今期の持ち回りの例会はうちが招待しているんだ。
私が出席しない訳にはいかないだろう。
いいかお前も出席するんだぞ!はい。
本日はお招きいただきましてありがとうございます。
新流の山野華子
古川流の古川すみれ
北流の北川秀円
東流の東郷流風とその夫人悠子
(小川麻衣子)今日はお茶会にお招きいただきありがとうございます。
家元ばかりがお集まりのこのような席に私にまで声をかけていただいて光栄ですわ。
いいえ。
本日はお忙しい中わざわざお越しいただいてありがとうございます。
和美さん紹介するわ。
初めまして狩矢和美です。
東流の小川麻衣子です。
京流の看板の久条麗子さんと東流の看板の小川麻衣子さんという事はお二人はライバル同士ですよね。
和美さん。
世間の皆さんはそうおっしゃいますけど…。
ねえ?あなた久条麗子さんのお弟子さんなんですって?はい。
…といってもまだ1年未満ですけど。
あんな人のところ辞めてうちに来ない?えっ?あの人猫被ってるけどお腹の中じゃ何考えてるんだか。
あの…。
ふふっ。
それで?私に取材って何かしら?あっはい。
あの実は今回ブライダル雑誌の取材で花嫁修業の1つとしての華道という事で取材させていただいてます。
ブライダル雑誌ねぇ。
ずばり小川麻衣子さんご自身の結婚の予定は?あるわよもちろん。
そうなんですか?お相手は?それはまだ内証。
でも華道のお仕事と結婚の両立って難しくないですか?ふふっ難しい事なんかないわよ。
結婚は私にとってステイタスアップの1つ。
夢を叶える手段でもあるわね。
結婚がステイタスアップの1つで夢を叶えるための手段?そうよ。
考え方次第じゃないかしら。
あっそうだ。
これも書いていただけるかしら?私ね今度またニューヨークで個展を開く事になってるの。
すごいですね。
ふふふっ。
前にも一度やった事があるんだけど評判がよくってね。
向こうからもう一度やらないかって言ってきてるのよ。
あちらで個展を開くのって大変な事なのよ。
海外進出ですね。
いつかは自分の流派を持つくらいになってその活動を海外にまで広めるつもり。
《小川麻衣子。
東流家元の一番弟子》《結婚願望もありしかも相当な野心家ね》・
(東郷流風)汚い手を使うな!大体ね次のサミットの会場に展示する生け花は東流のうちに決まっていたんだよ。
ええっ!それを何であんたのところが!?いいか持ち回りの順というルールがあるんだよ。
次はうちなんだよ!その件についてはすぐに辞退しなさいよ。
そうは言われましてもねぇ。
私のほうから言い出した事ではなく今回も先方がぜひ京流でいきたいとおっしゃいましてね。
この泥棒猫。
お前は泥棒猫だ!・
(弟子)おやめください!おやめください!おやめください!おやめください…。
《何だか華道界ってドロドロなのね》うわぁ豪華。
おいしそう。
(山野華子)あら?京流のお家元はどうされたのかしら?家元は心臓に持病をお持ちです。
みんなに言ってすぐに捜してください。
はい。
(ざわめき)皆様申し訳ございません。
ただいま捜してまいります。
お食事はどうぞお始めになってください。
(麗子)家元?家元!家元!西川さん!西川さん。
家元。
家元!家元!家元!
(麗子)家元?家元?家元!家元!何だ?鍵がかかってる。
えっ…?ここの鍵は?鍵は家元がお持ちです。
他には?いえ家元だけがこの茶室の鍵を持ってるんです。
じゃあどうすんだ?家元が中に…発作で倒れてるんじゃ?西川さん西川さん!家元!いるんですか?家元!う〜んダメだな。
壊すしかないな。
いいですか?ええお願いします。
西川さん!あっ…!?西川さんが…死んでる…。
京流の家元が…!?
(パトカーのサイレン)
(橋口)茶室の出入り口は襖ですが中から鍵がかかっていたようです。
(狩矢)何?変だな。
茶室に鍵か?はい。
死んだ西川は時折生け花の構想を練るためにここの茶室にこもる事がありその時精神集中できるように鍵をつけたようです。
そういう事か。
あっちの出入り口も鍵がかかってるな。
(橋口)警部これは?この鍵は?もしかしてこの部屋の鍵…。
この鍵は東郷流風が力いっぱい引き開けた時に初めて壊れたと久条麗子と小川麻衣子の2人が証言しています。
密室か…。
遺書とかそういった自殺をほのめかすようなものはないか探す必要があるな。
そうですね。
確かに密室だけど…。
おっ?よりによってこんな茶会の日に自殺なんて変じゃない?しかもお客様を迎える時の家元の顔はにこやかだったし。
・和美!お前何だってこんなとこにいる…。
出て行きなさい。
えっ?捜査の邪魔だ邪魔なんだ仕事の邪魔なんだ!お前はないつもこうやって事件に首を突っ込んで…。
そうかわかった。
お前日曜日だっていうのに夏目君にふられたのか?大体なお前性格がワガママ過ぎるんだ。
夏目君だって嫌になる!私は仕事なの!せっかく麗子さんが取材の許可とってくれて雅の世界撮ってたのに…。
大体日曜はデートって何時代の話よ?夏目君だって仕事なの。
それから私はワガママなんかじゃありません。
もし私がワガママだとしたらそれはお父さんからの遺伝よ!何!?お父さんの遺伝?だってお母さんワガママじゃないもん。
まったくああ言えばこう言う…。
恨まれるような事ないですか?いえ…。
西川さんに最後に会われたのはいつですか?いや…その…茶会の始まった時の…。
(東郷悠子)いいえ。
ねえ。
茶会のメンバーが1人足りない。
警部。
うん?死んだ西川の息子和彦の姿が見当たりません。
何?重要参考人としてすぐに捜せ。
はい。
(山野美野里)狩矢企画変更!「華道界雅の世界」あれやめてな「お茶会密室殺人事件華道界に渦巻く欲望」「真犯人を追う!」これ!これで行こう!社長忘れてません?これは20代女性をターゲットにしたブライダル雑誌用の企画なんですよ。
花嫁修業の1つとしての華道界を特集しようって。
かまへんかまへん!そっちは何か適当にそや「ブライダル・ダイエット」とかそんなん載せといたらよろしい。
美しい花にはトゲがある。
その花の雅の世界を操る華道界の裏側にはトゲトゲが…。
いやドロドロのほうがいいかな。
うんドロドロだ!あっこれや。
絶対行けるで!なっなっなっ!よちよち…うふふっ!よちよち…早く大きくなってね。
珍しいですねぇ社長が植物育てるなんて。
(細川)これですよ。
やっぱり食べるためですね。
当ったり前やないの。
昔から言うやないの花より団子って。
西川和彦さんですね?はい。
少しお話をお伺いしたいんですが。
(カメラのシャッター音)
(夏目利彦)よし。
昨日…ほら例の消えた息子西川和彦が警察に連れていかれるところキャッチできた。
貴重な情報サンキュ!うん!夏目君の役に立ててよかったわ。
お礼におごるからさもう何でも頼んでいいぞ。
ホント!うれしい!じゃあええと…あぶり餅とあぶり餅と…。
何頼んでもいいってここあぶり餅しかないじゃない!いやだから好きなだけ食べてもいいよって。
お越しやす。
あっすいません。
ええ〜あぶり餅を2人前。
はい。
それにしても和彦はどういうつもりなんだろう。
父親が死んだ現場から消えて一体どこに行ったんだ?まあ警察は現時点では和彦を第一容疑者においてるだろうな。
和彦さんとお父さんの家元はあんまりうまくいってないって聞いたけど…。
いやうまくいってないどころか犬猿の仲だったようだ。
犬猿の仲?どうして?うん。
実は和彦は西川の愛人の子で本妻が亡くなった後あの家に引き取られたんだ。
愛人の子だったの…。
その時和彦は高校生だったんだが西川にとってはたった一人の血を分けた息子で京流を継がせるために華道の勉強もさせた。
だが彼が大学生の時実の母親が亡くなって様子が変わった。
和彦さんのお母さんが亡くなって?どうして?母親の葬儀の時西川が意外にも冷たくひっそりとさせた事が和彦には解せなかった。
それから和彦は父親に反抗し始めやがて華道の稽古も一切やめてしまって大学を卒業した後芸術雑誌のライターになったんだ。
といってもそれは父親の強力なコネでさ和彦は父親には反抗したい。
だが父親の傘の下から抜け出せない…。
まあ本人もジレンマだったろうな。
そうだったんだ…。
(パトカーのサイレン)なぜ現場からいなくなったんです?わかりません。
気が付いたら車を走らせてたんです。
鴨川から鞍馬へ鞍馬から貴船へ比叡から琵琶湖へと…。
夢中で車を運転し続けて疲れ果ててそれで家に帰って来ました。
現場から逃げ出した理由はわからないとおっしゃるんですね。
ショックだったんです。
ものすごくショックで何が何だかわからなくなった。
父が死ぬなんて…あんな死に方をするなんて…。
鑑識からの報告だと西川の死亡推定時刻は死体発見の数十分前。
青酸性の毒物が転がっていたおうすの茶碗から検出されている。
だがその茶碗には西川の指紋しか付いていなかった。
茶室は密室。
遺書はなし。
関係者への聞き込みでは西川は特に自殺に値するようなトラブルらしき事は抱えていなかったようです。
死んだ夜にはあるレストランに予約をとって親しい友人と食事をする約束までしています。
まあつまり西川には自殺する理由も素振りも何もなかったって事だ。
茶碗の指紋もどうもおかしい。
まあ普通なら誰かしらの指紋が付いていてしかるべきなのに西川のものしか検出されなかった。
それ自体が非常に不自然だ。
恐らく茶碗に毒を塗った何者かがあらかじめあらゆる指紋を拭き取っていたとも考えられる。
これは密室問題を除けば殺人事件とみていいだろう。
それから息子の和彦だが本人は父親殺しの犯行を否認しているが…。
あの場にいたすべての人間に西川を殺すチャンスはあったはずだ。
関係者達の西川をめぐるトラブル怨恨関係を洗う必要がある。
西川さん!特に第一発見者の東郷流風小川麻衣子久条麗子この3人の身辺は徹底的に洗ってほしい。
(一同)はい。
いいですか。
新聞社放送局などマスコミ関係には今回の事についてはまだ何もわかってないのですからどんな問い合わせがあってもうかつに答えてはいけません。
(一同)はい。
ですが久条先生今月のうち主催の展覧会や家元のスケジュールについては…。
それらについてはこちらが落ち着き次第数日中に私が直接連絡いたします。
はい。
お願いします。
(一同)はい。
和美さんお待たせしてごめんなさい。
いえ。
すいませんお取り込み中のところ。
全国のうちの流派から家元の後継についての問い合わせが来ているの。
お悔やみの言葉もそこそこに…。
家元を誰が継ぐか…ですね?警察は家元の死について私を疑ってるわ。
和彦さんの事も。
麗子さんを疑うなんてありえないですよ。
でも和彦さんは疑われても仕方がありませんね。
大体どうしてあの日現場から逃げ出したりしたのかしら?本人はショックのあまり…って言ってるわ。
そういう人なの。
弱い人なの。
そんな弱い人に華道の家元なんか継げますか?和彦さんはただ弱いだけじゃないのよ。
和彦さんは家元の愛人の子だって聞きました。
高校生の頃この家に引き取られて来たって。
(麗子)そう。
私が和彦さんと初めて会ったのは彼が17歳私が19の時だった。
私とどこか似てる…そう思ったの。
私の両親は私が中学2年の時に離婚した。
その後すぐに母は亡くなって私は再婚してしまった父の元に引き取られた。
・
(笑い声)よし食べようか。
さあいっぱい食べてあったまろう。
(麗子)でも新しい家庭に私の居場所はなかったわ。
私は華道を勉強したいそう思った。
それで中学を卒業すると同時にその家を出てこの京流に住み込みで入門したの。
すごいそうだったんですか。
すごくなんかないわ。
私は華の事しか知らない…。
そうすると和彦さんがこの家に引き取られて来てからずっと一緒だったって事ですよね。
ええ。
だからそうね弟みたいな…。
あの…でやっぱり家元と和彦さんはそんなに仲が悪かったんですか?和彦さん私にもよく言ってたわ。
俺は親父の跡を継ぐ気はない。
きれいなのは表向きだけのこんな世界に縛られたくないって。
一人息子の和彦さんが跡を継がないとなるとどうなるんですか?家元があんなふうに亡くなってしまっていざ次はとなるとやっぱり和彦さんしかいないのよ。
でも華道を途中で放り出してるんでしょ?ええ。
しばらくは修業もしなくちゃいけないし大変だと思うけど私が陰から支えていきたいと思ってる。
だから和彦さんさえ心を決めてくれれば…。
和彦さん。
感じ悪い。
事情聴取だったんですよね?ええ。
きっととても疲れてるのね。
それにしたってねぇ…。
ごめんなさいね和美さん。
ああいえ。
あっそうだ。
もう1つ訊きたい事があったんです。
あのお茶会の日東流の家元がこちらの家元に随分怒って噛み付いてましたけど何があったんですか?実はうちの家元がルール違反をしたの。
ルール違反?ええ。
次の国際環境サミットで展示する生け花の権利をうちの家元が強引に奪ったの。
本来なら持ち回りで東流の番だったのに。
それであんなに怒ってたんですね。
それは怒りますよね普通。
でもどうしてそんな事?不況続きでどこの流派も凌ぎを削り始めて…。
家元は和彦さんとうまくいってないしお弟子さんの数は減り始めて…必死だったのね。
それだったら東流のほうも必死だったんじゃないですか?あの時の東流の家元の剣幕は普通じゃなかった。
それこそ殺意すらあったんじゃ…。
そうよあの勢いは京流の家元を殺しかねない…。
和美さんやめて。
そういうふうに内幕をスキャンダルにしないで。
スキャンダルって…麗子さん人が1人殺されてるんですよ。
その殺された人と激しく言い争っていた人がいる。
麗子さんこの事警察には?いいえ。
どうして?そんな事が明るみに出たら面白おかしく書き立てられるだけだわ。
私は守りたいの。
それはうちの流派だけじゃなくて他の流派も。
華の世界をもっともっと広めていきたい。
そうなるように流派を超えて力を合わせて頑張っていこう。
そう思っていた矢先にこんな事件が起きてしまったの。
夏目君…?
(2人)ははは…!あっ!ちょっと…。
(車のクラクション)おい何してんねん!早く行かんかいコラ!もう…。
そうか…。
そら心配やな狩矢。
心配なんかしてません。
ムカついてるんです!そうかて狩矢。
夏目君が会うてた娘ってあんたより若うてピチピチしてんねやろ?そうですけど?やっぱりな…。
何ですか?花も女も新鮮なほどええっちゅうこっちゃ。
社長に言われたくありません!何言うてんの!?私はいつでもフレッシュ!もぎたてのパパイヤ!なあ細川。
社長もぎたてのパパイヤって青臭くて食べられませんけど。
アホ!それくらいフレッシュや言うてんや!熟れるまで待ってね!ヘヘヘ…。
(渡辺薫)じゃあ2杯。
2杯。
(2人)ははは…!
(電話の呼び出し音)「はい夏目です。
ただいま電話に出る事ができません」「発信音の後にお名前とご用件をお話しください」もう…何やってんのよ。
夏目君たら…。
・ただいま。
ねえお父さん。
ああ?東郷と西川がトラブルになってたって話当然知ってるわよね?何だ疲れて帰って来たってのにまた事件の話か。
お前にな捜査の話をする訳にはいかないんだよ。
母さんメシ。
(狩矢澄江)はいはい支度できてますよ。
何よメシメシって…。
せっかくこっちから情報教えてあげようと思ってるのに。
あっそう。
サミットの展示の権利の事か?ルール違反だって西川が非難されていた話なら聞いてるよ。
東郷と西川は茶会の日激しく言い争ってたわ。
もちろん京流のお弟子さん達はその事を警察には誰一人言わなかったでしょうけど。
何だ?これはあの日の出来事なのか?そうよ。
私取材でそこにいたんだもの。
(咳払い)まあたまには役に立つな。
あら…!?お父さんは?何かまた出かけてった。
もう和美ったら。
せめて食事の後にしてくれればよかったのに。
もう…。
わぁおいしそう〜。
東郷さんあなたは西川さんを恨んでいたんじゃないんですか?恨む?いや大げさですね。
そりゃあまあ確かにサミットの事で私も少しはカーッとなりましたけどね。
でもね刑事さん。
まさかそれで人を殺すほど私はバカじゃありませんよ。
いやサミットじゃなく別の件で…。
別の件…?その女性はあなたの奥様悠子さん。
そしてその男のほうは殺された西川さんです。
あなたはこの報告を聞いておっしゃったそうですね。
「あの男ぶっ殺してやる」って。
まあ仕事も奥様も両方取られてしまった訳ですから。
この不倫の事であなたは相当西川さんを恨みに思っていたんじゃないんですか?私はやってない…。
いや今度の事では夏目君本当にありがとう。
興信所からのリーク西川の不倫の…。
(咳払い)不倫の写真。
いやぁまさかこんな形で君に捜査に協力してもらえるなんて。
あっいえ。
いや僕のほうこそお父さんのお役に立てて光栄です。
あっすみません。
またお父さんだなんて。
いやいやいいんだよお父さんで。
それよりさあのうちの和美とはその後うまくいってるのかな?はい。
まあお互い忙しい身ですけど何とか。
何とかって…。
もしかしたらさ君の押しが足りないんじゃないの?押し…ですか?そう。
お互いの気持ちをしっかり語り合ってね近い将来について相談すると。
いや君は男なんだからさ男のほうからバシッと切り出すというか…。
だから押しだよ押し。
はあ…。
いや…でもまあいつもこういうところでお茶飲んでパタパタっと仕事に戻るっていう感じなんで。
(ため息)パタパタじゃ…。
そうだ!比叡山。
夏目君ね今度和美を連れ出して比叡山にドライブに行きなさい。
比叡山にドライブですか?そう。
和美はね子供の頃から比叡山が大好きでね何かというと比叡山に連れてけ連れてけ…。
そうだよ。
あそこなら静かだしきっと将来について語り合える。
和美のヤツ喜ぶぞ〜。
ははは…!あっはあ…。
・
(薫)家元。
奥様がお見えになりました。
何ですか?ご用って…。
キャー!バカ者めが!家元やめてください!家元おやめください!家元奥様に暴力はいけませんわ。
どうだ?今夜久しぶりに2人で食事でもして…。
ふふふ…。
(携帯電話)はい。
今夜?わかった。
承知した。
うっ…!うわっ!あっああ…!東郷か…。
散歩中の通行人が発見したそうです。
死因は鋭利な刃物で刺された事による失血死です。
何てこった!西川殺しの容疑者として取り調べようとした矢先に当の本人が殺されるとはな。
あなた…。
家元…。
この2つの事件は殺害方法こそ違うがどちらも華道の家元である事から何かしらの関係があると見ていい。
失礼ですがサングラスを取っていただけませんか?そのアザどうなさいました?主人に…殴られました。
ご主人に?それはご主人が殺された日の事ですね?ご主人はどうして奥さんに暴力を?それは…。
あなたと京流の家元西川さんとの不倫の事が原因じゃないんですか?そうです。
でも私じゃありません。
夫を殺したのは私じゃありません。
昨日東郷さんが屋敷で家元夫人と言い争っていたのはご存知ですか?いいえ知りませんわ。
では家元夫人の不倫についてはご存知でしたか?存じません。
そうですか…。
東郷さんが出かけられる前何か気付かれた事はありませんか?例えば誰かに呼び出されたようだったとか。
知りませんわ。
私家元に会っておりませんもの。
東郷の妻悠子は夫が殺された日に殴られている。
そして東郷が殺された時刻のアリバイはない。
だが悠子は殺害を否定している。
小川麻衣子も知らないの一点張りです。
家元夫人の不倫の事も東郷が誰に会いに行ったかも。
(ため息)口の堅い世界か…。
警部東郷悠子は京流家元の西川と不倫関係にあった。
それを恨みに思っていた東郷が西川を殺しそしてその東郷を妻の悠子が殺した…。
そう考えられませんか?
(ため息)東流の家元が殺されて社長には嫌味言われて夏目君は誰かさんと楽しそうにやってるし私一人バカみたい!だから取材だってば!東流家元の事を聞き出したくてさ。
彼女は東流の弟子なんだって弟子!ほらそのお陰で東流家元夫人と京流家元の不倫の話が聞き出せたりしたんだから。
東流のお弟子さんはあんなにたくさんいるのに何でよりによってあんなすっごい若い娘な訳?そりゃやっぱり同じ話聞くなら目の保養ができたほうが…。
あっ違う。
そうじゃない。
最低!だからそのあの…。
おだてりゃ何でもしゃべってくれそうだったから。
もう知らない!いや知らないってちょっと…。
相対する華道の家元が2人も立て続けに殺された…。
一体何のためだと思う?誰かが得をするため?う〜ん…2人が死んで得をする人間は誰だ?得をするために殺したのかな?怨恨とか?う〜ん…その場合は2人を恨んでいた人間。
うん…。
でも動機の事はひとまずおいといてこの密室の謎を解けば犯人像が浮かび上がると思うの。
うん…誰が密室を作ったかだな。
ここの茶室はあの殺された京流の家元の茶室とほとんど同じ造りなの。
ほら見て。
う〜んなるほど。
鍵は京流の家元のそばにあった。
だから中から鍵をかけたと考えられる。
でも鍵をかけたまま外に出る方法なんて…。
襖を外せないのか?これ。
鍵をかけたままでは襖は外せないわ。
う〜ん…となると襖を破って出てくる…。
でも襖は破けてなかった。
紙と木だけでできているのに鉄筋コンクリートの入れ物と同じくらい完璧な密室だわ。
ああ密室はお手上げか…。
おまけに西川を殺す動機が強くあった東郷までも殺された。
ああ…何だかやな感じ!うん?どうした?華道界のドロドロが今回の事件を生んでいるような気がするの。
何だか落ち着かないな…。
よし!じゃあ気分を変えるために和美をこれからとびっきりの場所に連れて行ってやるよ。
ホント!?うん。
何でここなの!?何でってこれはその和美が比叡山好きだって…。
あれ?好きじゃなかったの?お父さんでしょ!?ここが好きなのはお父さんで私じゃないわよ!もう…大体子供の頃からどこか連れてけっていうとここばっかりなんだもん。
何だそうだったのか。
やられた…。
私は動物園とか植物園とかもっと…。
夏目君!うん?あの2人!はい。
和彦さんと麻衣子さんどうして2人が…?おい和美行くぞ!やっと私達結婚できるのね。
和彦さんの奥さんになれるのね。
うんそうだね。
もう僕達の邪魔をする者は誰もいなくなった。
ロミオとジュリエットだったのか。
京流の家元の息子とライバルの東流の看板小川麻衣子。
ちょっとおい…!私心配だわ。
麗子さんの事?あの人私達の事絶対に許さない。
関係ないよ。
僕が家元になるんだから。
誰にも反対なんかさせやしない。
私和彦さんの事信じていいのね?ああ。
あの2人の事を誰も知らないのかなぁ。
ねえこれ似合うかなぁ?あっ高い。
ダメダメ…。
2人の事は知ってたわ。
えっ?麗子さん知ってたんですか?ええ。
この事亡くなった京流の家元もご存知だったんですか?家元もご存知でした。
だったら京流の家元は2人の事に反対してたんじゃないですか?小川麻衣子さんのほうは東流を裏切って京流に入ろうとしていたのかしら?あの人はただ家元夫人の座が欲しいだけなのよ。
家元夫人の座?家元は猛反対してらしたわ。
和彦さんが麻衣子さんと付き合っている。
一緒になろうとまで思っている事を知って京流の家元は和彦さんには継がせない。
遺言書も書き換えるっておっしゃっていた。
遺言を書き換える?ええ。
お前なんかには絶対に家元は継がせないからな。
お父さん待ってください。
僕はこの京流を継いでもっと発展させたいんです。
わかってください!だったらあの女と…。
あの小川麻衣子とはきっぱりと別れるんだ。
いいか?お前が遊びで誰と付き合おうが構わん。
だがなこの京流の家元夫人となると話は別だ。
何で東流の弟子なんかを。
私は絶対に許さん!とにかくもうお前にはこの京流の家元は継がせない。
遺言も書き換えるからな。
家元お待ちください。
家元のお気持ちはわかります。
でも遺言をそのように書き換えてしまっては…。
和彦さんもまだ小川麻衣子さんと結婚なさった訳ではありませんし。
せめてもう少し時間をかけて。
ダメだ!あの女と一緒になると言うなら和彦には家元は継がせない!そうして家元は遺言を書き換える前に亡くなってしまったわ。
遺言を書き換える前に殺された…。
《茶会の後休憩になった時麻衣子さんはいなかった》《そして和彦さんも…》家元!西川さん!《京流の家元がいなくなって捜しに行く時その一陣に麻衣子さんは加わっていた》《そして和彦さんはいなかった》《和彦さんは勝手知ったる自分の家の茶室》《密室を作る事は可能だったんじゃないかしら?》麗子さんもう一度茶室を見せていただけますか。
ええいいわよ。
事件の後畳を取り替えたの。
これは?こんな花初めて見たけど…。
林檎の花。
林檎…?林檎ってこんな花が咲くんですね。
家元がお好きだったの。
夜久野に行った時農家の人に頼んで少し枝をいただいたの。
不思議ですね…。
この部屋で人が1人殺されたっていうのにこの花があるだけで何だか癒される気がする。
ええ。
花はいつも癒してくれるの。
傷ついた心やつらい思いを癒してくれる。
四季折々に花はいつも人の心を癒してくれるの。
花だけが…。
私今日限りここを出て行きます。
東流を辞めさせていただきます。
まあよくもぬけぬけと。
恩を仇で返すっていうのはこの事ね。
今みたいにうちが一番大変な時に。
私が東流を辞めたいと思っていたのは前々からです。
むしろ今が一番のチャンスってところかしらね。
うちを出て京流の息子と結婚するつもりなんでしょ?東郷はそんな結婚は絶対に許さない。
ずっとそう言ってたのよ!でしたわね。
でもそのお家元ももうお亡くなりになった訳ですから。
この恩知らず!私が何も知らないとでも思ってるの!?あんたは色仕掛けで家元に取り入ってそれで今の座までのし上がっておいて。
手を出してきたのは家元のほうです。
あれは完全なセクハラ。
訴えたっていいぐらいだわ。
でも今さらそんな事したってね…。
それに家元が弟子に手が早いの奥様だってご存知でしょ?それは…。
ねえ奥様…。
そういう事に関して奥様何もおっしゃれないんじゃないんですか?何ですって!?奥様そう興奮なさらないで。
そうじゃなくても弟子の中には奥様が家元を殺したんじゃないかって疑っている者もいるんですから。
これからの東流をまとめていくのにそれじゃまずいんじゃありません?ふふふ…。
とにかく私はここを出て行きます。
このままここにいたんじゃ私のイメージまで悪くなるわ。
ごきげんよう。
薫!はい奥様!塩をまきなさい!あの女が出て行った後塩をまいて!おっ!小川麻衣子だわ。
あれ?あの人…!この前取材した渡辺薫だ。
何やってんだ?夏目さーん!薫ちゃんの好きなもの何でも頼んでいいからね。
いいんですか?じゃあ抹茶パフェ!薫ちゃんの好きなもの何でも頼んでいいからね。
ああ和美もほら好きなの頼みなよ。
コーヒーください。
はい。
いやこの前はホント助かったよ。
薫ちゃんが家元の事話してくれたお陰でさ…。
ありがとね。
私夏目さんのためだったら何でもしゃべっちゃう!ふふ…。
ははは…!
(咳払い)それでやっぱり小川麻衣子は出て行ったの?ここだけの話ですけど。
麻衣子さんは家元の逆鱗に触れてましたから。
絶対向こうには行かせないって。
向こうってのは?京流の事だと思いますけど。
やっぱり…。
そんな事したら華道界にいられなくしてやるって。
東流は京流ほどではないですけどそれでもこの世界では力があります。
うちの家元がそこまでおっしゃったら麻衣子さんは逆らえません。
失礼致します。
抹茶のパフェになります。
いただきまーす。
あっどうぞどうぞ。
そうか。
東郷は2人の結婚を絶対に許さなかったんだな。
そりゃそうでしょ。
だって自分の妻の不倫相手が西川で。
その西川の息子と麻衣子さんが結婚すれば結局は自分のところの看板である小川麻衣子を京流にとられる事になるんだもの。
盗人に追い銭ってやつか。
でも早速麻衣子さんは東流を離れるようです。
もう東流もダメですね…。
あの悠子奥様じゃ東流は仕切れないし。
私も考えないと…。
おいしい!えっおいしい?ああよかった。
社会部記者って忙しくて大変なお仕事だと思ったけどこういう楽しいお仕事だったんだ?じゃないってば!私お先に失礼します。
ちょっと和美…!ははは…。
ははは…。
ふふふ…。
小川麻衣子さん東流を出て行ったそうです。
麻衣子さんと和彦さんの結婚は京流の家元も東流の家元も2人共が猛反対してたんですよね。
そう。
当然よ。
その家元が2人共殺された。
もう結婚に反対する人はいなくなったって事ですね。
たとえ家元が亡くなられても私は2人の結婚に反対よ。
麗子さんが?あの人は家元夫人の座を狙っているだけですもの。
和彦さんは騙されてるのよ。
家元夫人の座…そうかもしれませんね。
残念だと思ってるの。
あの人は本当に実力のある人だからそんな事をしなくてもいずれ本当に独立する事だって可能なのに。
麻衣子さんの野心ははたから見ててもすごい。
だから…。
・
(タイヤのきしむ音)危ない!
(カメラのシャッター音)麗子さん大丈夫!?小川麻衣子…麻衣子さんが麗子さんを狙って?和美さんやめて。
証拠もないのにそんな事を軽々しく言わないで。
何でもかんでも華道界のスキャンダルにしないで。
でも…現に今!仮にそうだったとしても…脅しよ。
そんなの怖くない。
私は絶対に許さない。
あの人が東流を辞めてうちに入ってくるなんて。
うちの家元は和彦さんしかいないの。
花粉…そんなものが。
はい。
ガイシャの傷口にほんの少しだけ花粉が付いてました。
恐らくホシのナイフにもともと付着していたのではないかと。
花粉か。
まあガイシャ自身が華道の家元なんだから何の不思議もないが…。
もともとナイフに付いていたとなるとホシもその関係者って事か。
ただその花粉が日常的に生け花で使うようなものではなくて…。
しかも曼殊院天満宮にもその植物はないんです。
一体何の花粉だこれ?
(監視課員)はい。
その花粉を分析したところ…。
これはカンガルーポーというお花です。
とても珍しい花でしょう?今日初めてご覧になる方もいらっしゃると思いますが今日はこの花を中心に作っていきましょう。
さあいつものように私が最初に生けますから皆さんしっかり見ててくださいね。
まず花器の長さの2つ分。
そこでカンガルーポーを切ります。
これを中心に添えて…。
大胆にしなやかにちょっと後ろのほう…。
和美の言うとおり久条麗子を襲ったのは恐らく小川麻衣子だろうな。
彼女にとって今や京流の久条麗子が一番邪魔なはずだ。
殺そうとしてるなんて…。
まあ今のところはただの脅しだろう。
でももしも麻衣子が2つの殺人の犯人だとしたら…。
次は麗子さんかも。
ああもうこれ以上何も起こらなければいいけど。
(少女)割れちゃった…。
ああ割れちゃったねぇ。
すいません。
はい。
ありがとう!ああ…!うん?どうした?夏目君密室の謎!外から鍵をかけて。
夏目君ガス出して。
ああ。
あっ…。
ああ。
おっ。
鍵が部屋に残って密室になったよ。
風船を使ったトリック。
京流の家元を殺して密室を作り得た人物…。
一番動機が強いのは小川麻衣子。
それとも遺言を書き換えられるのを恐れていた和彦さん?2人の結婚に猛反対していたもう1人は東郷だ。
東郷は小川麻衣子に華道界にいられなくしてやるとまで言って脅していた。
小川麻衣子にはすごい野望がある。
そしてどんな手を使ってもその夢を叶える。
麗子さんを車で脅したりまでして…。
京流の家元夫人を狙っていた小川麻衣子か。
そして西川和彦。
2人は共犯だったんじゃない?共犯?それもあるな。
2人の利害は一致してるし。
(携帯電話)はい夏目です。
わかりました。
じゃあ今すぐ。
和美ごめん。
俺社に戻んないと。
うん。
この事はまだ断定できないんだから。
勝手に動くんじゃないぞ。
いいか?フライングなし!《やっぱりそうだわ。
きっとこの2人が…》《和彦さんから真実を聞いて自首を勧められるのは麗子さんしかいない》この企画絶対いけますって!「恋愛ダイエット」!ほらっ昔から女は恋をするときれいになるって言いますやろ!何を隠そうこの私もね。
なっ?ああ…。
はあ…。
何生返事してんの!このスカタン!恋愛とダイエット!この2つは女性に根強い人気があるんですよ!社長!失礼します。
私麗子さんに会いに西川邸へ行ってきます。
西川邸?ああ…。
しっかりと真実をつかんでくるんやで。
行ってきます。
行ってらっしゃい!私東流を辞めてきたわ。
和彦さんとの結婚も進めてる。
そんな事絶対に許さない。
あんな脅しも怖くないわ。
あなたの魂胆はわかってるの。
そんな事を言ってられるのも今のうちね。
あなたが許すも許さないも私が和彦さんと結婚したらあなたには京流から出て行ってもらうわ。
私を追い出す気?ふふ…。
だって…あなたは邪魔だわ。
それとも自分で出てってくれるかしら?ねっ?
(麻衣子の笑い声)麗子さん出かけられたんですか?はい東流の小川麻衣子さんがいらっしゃって2人でお出かけになりました。
小川麻衣子さんと!?はい。
それで麗子さんと麻衣子さんはどこへ出かけたんですか?確か…稲荷という言葉を聞いたような。
稲荷?このへんで稲荷っていったら…。
もしかして伏見稲荷?《小川麻衣子は東流を辞め和彦さんと結婚して京流の家元夫人の座を狙っている》《でも麗子さんは小川麻衣子と和彦さんの結婚に反対している》《小川麻衣子にとって麗子さんは邪魔な存在》
(タイヤのきしむ音)《麗子さんが危ない!》どこ行くんだ!そんな…嘘だろ?《麗子さん…》
(麗子)はあ…喉渇いた。
これ。
よかったら。
ああ…ありがとう。
・ダメ!麗子さん!そんなもの飲んではいけない!麗子さんそんなもの飲んじゃダメ!何言ってんの!あんた!和美さん…。
和美!夏目君どないしたん?社長和美どこ行きました?和美やったら西川邸行ったけど。
西川邸に!?麗子に会いに行ったんだな。
わかりましたすいません!ちょっ…!けったいな人やなぁ。
早くその人から離れて。
何なのよ!あんたは!和美さんに近づかないで。
麗子さん…。
動かないで!麗子さん?麗子さんどうして?
(麗子)さあ!ここから落ちなさい!早く!ああっ!麗子さん何言ってるの!?動かないで!うっ…。
西川と東郷を殺したあなたは私を殺そうとした。
そこへ私を助けに来た和美さんともみ合い彼女を刺した拍子にあなたはここから突き落とされた。
そういう事にするの。
あなたは和彦さんを愛してなんかいない。
あなたの目的はただ1つ。
和彦さんと結婚して京流の家元夫人になる事。
そうして京流の実権を握るつもり。
私は…!あなたは私を殺そうとした。
(タイヤのきしむ音)危ない!私が邪魔だったのね。
ごめんなさい!久条さん許して!ごめんなさい!お願いよ!許して!京流の家元を殺したのはあなた。
でもどうして家元を?和彦さんのため?そうよ。
私は和彦さんを家元にしてあげたかった。
それを私が支えるというのが私の夢で生きがいなんですもの。
茶室の密室を考えたのも麗子さんあなただったのね。
そうよ。
(麗子)お茶会の後私は家元を茶室にもう一度呼び出したわ。
大切な相談があると言ってお茶をたてて。
家元。
どうぞ和彦さん許してください。
遺言を書き換えるなんておっしゃらないでください。
京流の家元は和彦さんに継がせてあげてください。
ダメだ。
あいつにはもう愛想が尽きた。
せっかく引き取って私の跡取りにさせようと思っていたが…ハッ。
所詮はあの女の子だったな。
うっ…!あっ…。
東郷流風を殺したのもあなただったのね?でもなぜ?どうして東流の家元まで殺さなければならなかったの?私の母はあの男に殺されたの。
殺された?東郷流風が麗子さんのお母さんを殺したというの?それについては俺から説明する。
15年前久条麗子の母親岡雅子は自殺したんだ。
自殺?麗子さんのお母さんが自殺したというの?当時岡雅子は東郷と不倫関係にありその事が原因で離婚した。
ところがその後東郷に捨てられそして自殺…。
麗子さんのお母さんが自殺…。
来ないで!
(麗子)十六年前母は東流の生け花教室に通っていたわ。
その教室で母は東郷の目に留まり…。
(岡雅子)あっ先生。
お願いします。
ここなんですけどうまくいかないんです。
はい。
(麗子)そして東郷と恋に落ちてしまった。
(麗子)でも母は東郷の何人もいる愛人の1人に過ぎなかった。
(麗子)それなのに母は東郷とのその恋に一途にのめり込んでしまい東郷との一筋の恋をとおすために離婚までして…。
東郷のほうには母と一緒になる気なんてこれっぽっちもなかったのに。
(麗子)母は結局東郷に捨てられてそして自ら命を絶った。
(麗子)中学2年生の時だったわ。
母は白い花が好きだった。
生前の母は清楚で純粋で…。
母にとって東郷との事は浮気なんかじゃなかった。
(麗子)本気だった。
京流の一番弟子の久条麗子さんが私に一体何の用ですかな?家元。
岡雅子という女性知ってますか?岡雅子?さあ…どこかで聞いたような。
誰だねそれは?16年前あなたの弟子だった女性。
あなたに見初められて恋に落ちた。
弟子ねぇ。
見初めたとか恋だとか…。
ふふっそんな女はいくらでもいるからね。
うん?ふんっ!うっ…。
ううっ…!ふんっ!母の恨み。
ううっ!ああ…。
16年前あなたに捨てられた母の恨み!許せなかった。
母をもてあそび死に追いやった男。
あんな男のために母は死んだ。
哀れな母…。
例の遺体の花粉と同じ種類の林檎です。
東郷の傷口に付着してた花粉の出どころはここだったか。
(杉本)この林檎の花は久条麗子が持ってきたそうです。
久条麗子が?彼女今どこにいるんだ?・
(橋口)警部!警部のお嬢さんがここに来られて久条麗子を捜しに伏見稲荷へ出かけたそうです。
和美が?あのバカが!
(パトカーのサイレン)《和美…》久条さんお願い…。
助けて。
いいえ。
あなたには死んでもらうわ。
あっ!私が何をしたって言うの!!あなたは!和彦さんを誘惑して京流の家元夫人になろうとした。
あなたみたいな女和彦さんの前からこの世から消えるといい!キャッうっ!キャア!?麻衣子さん!動かないで!麗子さん…。
(パトカーのサイレン)警部!ああっ!
(和彦)やめろ!キャッあっ!ああっ!!ああ!和彦さん!?あっ!ああ!うっ…ああっ!ああ…。
和彦さんどうしてここに?もうやめるんだ…。
これ以上人を…。
和彦さん。
和美!和美大丈夫か?うん。
夏目君。
和美。
ごめんなさい。
和彦さんごめんなさい。
ああ…ごめんなさい。
知ってたんだ俺。
あんたが犯人だって事。
このまま黙っていようかと思ったけどでも…。
もうあんたにこれ以上人殺しをしてほしくなかった。
(嗚咽)
(ため息)幸い小川麻衣子は脳震盪ですんだ。
もう少しでもう1人の犠牲者が出るとこだった。
和彦さんは…。
警部さん和彦さんは大丈夫なんですか?彼は全治一週間のケガだ。
ああ…よかった。
和彦さんにもしもの事があったら私…。
なぜだ?なぜあなたは西川和彦を?京流の家元の息子だというだけで?私達似てるんです。
私も母を亡くし和彦さんもお母様を亡くして…。
私が19の時でした。
和彦さんが京流の家に引き取られてきたのは。
彼はまだ高校生だった。
私も中学を卒業したと同時に京流の家に住み込みで入門しました。
誰も知らない西川の広いお屋敷にたった1人来た和彦さんに会った時自分と同じだと感じたのです。
私は和彦さんを京流の家元にするためなら何でもできるそう思ってました。
そうして私は彼を支えたい。
ずっとそばにいて彼を支えて一緒に華の世界を作っていきたい。
そしていつかきっと東流を東郷流風を見返してやりたい…。
そう思ってました。
(ため息)和彦君はあなたの犯罪を知っていて誰にも言わなかった。
誰にも言わずにあなたを守ろうとした。
なぜだかわかりますか?いいえ…。
彼はあなたの事をずっと姉のように思ってきた。
姉のように…。
彼もまた西川の家に1人で入ってきてあなたに会った時以来ずっとあなたを大切に思っていたんだ。
本当のお姉さんだったら私こんなに苦しまずにすんだ…。
あなたは女性として彼を愛していたんですね。
和彦さん…。
結婚はやめにした。
これからしっかり修業して家元になる。
僕は京流を守っていくよ。
きれい…。
和彦さん。
きれいに生けたね。
おっなかなかきれいに生けたな。
えっ?ふふ…。
和美は?デートに行ってますよ夏目君と。
はははっ!ああ比叡山に行ったか。
へえ〜。
いいえ大阪ですよ。
お弁当を持って。
バカ言っちゃいけないよ。
比叡山だよ。
何言ってんだよ。
ははっ…よしよし。
和美植物を育てるのに必要なものって何だか知ってる?植物を育てるのに必要なもの?うん。
それって土でしょ。
あと水。
うん。
それから?あっお日様。
おお。
それから?えっまだあるの?ある。
風だよ。
風?そう。
土や水や太陽だけじゃダメなんだ。
植物が育つには風も必要なんだよ。
植物だけじゃないぞ。
人間にだって風は必要なんだ。
風ねぇ。
うん。
知らなかったな〜。
それにしてもやっぱりお花はいいわねぇ。
ははっ俺はやっぱり花より和美かな。
うれしい!それって花より美しい私って事?ううん。
じゃなくて団子。
へへっ。
ああ〜お腹減ったな。
早く弁当食べよう。
なっ。
もうあげないから!ちょっと何で〜。
和美!
讃岐うどんで知られる
ここに1日たった6時間の営業ながら2015/10/06(火) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
山村美紗サスペンス 花の棺[再][字]
京都名門の華道家元、不倫の連続殺人!赤い風船と密室トリック…女たちの華麗なバトル!!
詳細情報
◇番組内容
好評狩矢父娘シリーズ第6弾!華道の華やかな世界を舞台に女の闘いが繰り広げられる!和美と夏目のカップルはトリックを見破られるか?
◇出演者
藤谷美紀、田村亮、原田龍二、山村紅葉、中野良子、秋本奈緒美、国生さゆり、竜川剛、石原聡 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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