太平洋に面した四国の南に位置する高知県。
高知といえば幕末の志士坂本龍馬や豪快にわらであぶったカツオのタタキが有名ですがそれだけではないんです。
世界からも注目される有名なものがあります。
それは土佐沖の深海で育つ世界を魅了する深い色合いをたたえたサンゴの輝き。
『日本のチカラ』今週は土佐沖竜宮城からの贈り物。
宝石サンゴジュエリーを世界に向けて発信するある会社の物語です。
豊かな黒潮の恵みを受ける高知県高知市。
住宅街の中にあるこちらの会社から歯医者さんで耳にするような何かを削る音が聞こえてきます。
何を作っているかというと高知県の伝統工芸サンゴ細工です。
高知県は昔からサンゴ製品の加工が盛んでその品質は日本国内のみならず世界からも注目されてきました。
一彫り一彫り慎重にサンゴの原木を削り花や動物の形に。
ここで使われているのは歯医者さんで歯を削るのとほぼ同じ道具。
かたいサンゴが美しい椿の花へと生まれ変わります。
職人や販売スタッフおよそ40人が働くこちらの会社で代表を務める川村裕夫さん。
宝石サンゴと関わって40年以上。
土佐沖で採れるサンゴに絶対の自信を持っています。
なんで中心かというと世界で一番と自負する土佐沖のサンゴ。
川村さんはそのサンゴを使って美しいジュエリーを作りました。
それは最高級の宝石サンゴにダイヤモンドや金などを贅沢に散りばめたこちらのネックレス価格はなんと最高品質を目指した驚きの高級路線。
その狙いは?
(川村さん)昔のようなお土産とかそういうのはもう脱皮しないとさらなる飛躍はないんじゃないでしょうか。
高知県では江戸時代に宝石サンゴの存在が知られるようになり明治に入ってから日本で初めて本格的な採取に乗り出しました。
ここから近代日本の宝石サンゴの歴史が始まったのです。
全国の加工業者のおよそ8割が高知に集まり県内各地でネックレス用のサンゴの珠など様々なサンゴ製品が作られてきました。
高知市内の中心商店街です。
ここには今も数軒のサンゴ販売店があります。
かつては高知のサンゴといえばお土産の代名詞にもなっていました。
しかし今では…。
(土田さん)ペギー葉山さんの『南国土佐を後にして』が流行った頃は新婚旅行ブームで家族へのお土産という事で大変お買い求め頂いたと。
その頃は出してはすぐ商品が売れていたというふうに聞いています。
その後時代の変化とともにサンゴの人気は急落。
国内での需要は大きく落ち込み加工品の生産量も減っていきました。
サンゴと聞いて皆さんが思い浮かべるのは浅瀬で見かけるサンゴ礁だと思います。
しかしこれは造礁サンゴという種類で宝石サンゴとは全く別のものです。
こちらが生きた宝石サンゴの貴重な映像。
宝石サンゴは深さ100メートル以上の深海に生息し1センチ伸びるのにも数十年の歳月を要する神秘的な生き物です。
すごくいいものがあがってくると日本近海で採れる宝石サンゴはアカサンゴモモサンゴシロサンゴの3種類。
アカサンゴの中でも特に色の濃い血赤サンゴは最高級の宝石サンゴとして珍重されています。
(川村さん)サンゴは世界中にたくさんあるんですけど川村さんが作るサンゴジュエリーに血赤サンゴは欠かせません。
土佐沖の血赤サンゴだけが持つ神秘的な真紅の輝き。
川村さんもその血赤サンゴに魅せられた一人です。
1947年高知県の山あいの村に生まれた川村さん。
中学生の時に事故に遭い車椅子が欠かせない生活になりました。
(川村さん)車椅子になった時にですね高校は出たんですけどパソコンもないし車も運転出来ないし何も出来ないっていう事だったので…。
23歳の時偶然アルバイトで始めたのがサンゴの加工でした。
(川村さん)だからこの美しいものが世の中の女性が多分好きだろうというのはねそれは感じましたね。
だから今もそれは思ってますので。
きっかけっていうのはね本当にささいな事といいますか突然にといいますか…。
そんなものじゃないでしょうかね。
以来40年以上サンゴとともに歩んできました。
そんな川村さんがある事をきっかけに高級サンゴジュエリーを作り始めました。
(川村さん)イタリアへ旅行した時にミラノでスーパーブランドがサンゴ使ってる商品があったんですよ。
それ見た時に…。
サンゴの品質はもちろん高知で培われてきた職人の技術が世界に通用するジュエリーを生み出す事を確信したのです。
その後2011年から高級サンゴジュエリーを次々と発表。
高知の小さなサンゴ工房が世界に向けて挑戦を始めました。
高知県中部にある香南市吉川町。
吉川漁港に川村さんが車でやってきました。
何が出るかは漁師さんが持ってくるまでわからないので。
建物の中では威勢のいい声が聞こえてきます。
開けます。
開票!真剣な表情の人々。
その視線の先にあるのは宝石サンゴの原木です。
ここで開かれているのは宝石サンゴの原木入札会。
高知県では明治初期からサンゴ原木の入札会が開かれています。
現在日本国内で入札会があるのは高知県だけ。
全国から加工業者が集まりお目当ての原木を落札する。
その真剣勝負です。
サンゴの入札会は独特な方法で行われます。
加工業者は投げ帳と呼ばれる帳面に希望金額を書き込み正面に座る開札人に文字どおり投げ込みます。
その中で一番高値をつけた業者が落札するという方法です。
開票!53万円!もちろん川村さんも参加し厳しい視線でサンゴを吟味しています。
(川村さん)それはもう経験がないと難しいですけどね。
開票!開票!驚くような金額で落札されていくサンゴの原木。
宝石サンゴの原木価格は年々高騰しています。
中でもアカサンゴはここ10年でおよそ10倍にも跳ね上がっています。
その関係で価格高騰の鍵を握る台湾北部の中心都市台北市です。
急激な経済成長を遂げアジア屈指の世界都市でもある台北市。
KAWAMURAの専務川村秀樹さんです。
サンゴ原木の売買や市場調査のため台湾を訪ねました。
というそういう市場があるので…。
向かったのは台北市のランドマークタワーオフィスやショッピングモールが入る世界有数の高層ビルに宝石サンゴを展示販売している場所があります。
大勢の人でにぎわっていますがそのほとんどがツアー客。
1日1000人以上の観光客が訪れます。
台湾でも宝石サンゴは竜宮の宝と呼ばれ親しまれてきました。
ここで人気のサンゴジュエリーといえば…。
中国では赤は縁起のいい色として好まれていてサンゴは昔から人気がありました。
近年中国の好景気により血赤サンゴを買い求める人が増えたのです。
店内にはこんな商品もありました。
このネックレスは血赤サンゴではなく地中海サンゴを使ったもの。
お値段は日本円にしてなんと1億円以上。
(店員)確かにこのぐらいのサイズになったら。
海外マーケットでも人気の高い土佐沖の血赤サンゴ。
日本国内での需要が減っている今新たな販売展開を考える時期になっています。
(秀樹さん)なんとかもっと高知で加工して日本で加工して中国人観光客が来てるのは日本も来てるので川村さんがあるものを見せてくれました。
うちで言うと手にしているのは高知の職人が作ったサンゴ細工を最大限に生かすデザインを。
そう考えた川村さんは総合的なデザインを国内でも一流のジュエリーデザイナーに依頼しています。
こうして作られるジュエリーはそのほとんどが一点もの。
日本の一流の職人の集大成。
それがこちらの作品です。
美しく咲き誇るバラの花は土佐沖の血赤サンゴ。
その周りにはカスミ草をイメージしたダイヤモンドを散りばめた螺鈿細工があしらわれています。
まさに日本の伝統技術をふんだんに使った作品です。
KAWAMURAのジュエリー部門の担当者谷口さんがジュエリーのデザイン加工を行っている会社を訪ねました。
日本のトップジュエリーブランドの製品を作っているこちらの工房で新たに制作するジュエリーの打ち合わせです。
高知で加工したサンゴの魅力をさらに引き出すため全体のデザイン作りに時間をかけます。
(下遠さん)この時のお話でラインでフが隠れれば…。
サンゴの珠を使った指輪を制作するところですが谷口さんは表面に見える「フ」と呼ばれる白い部分がどうしても気になります。
(下遠さん)やっぱりそういうのは…うん。
完璧隠したい?ここのこの丸いところに関して。
このちょっとこう巻きのこの流れに関してはもういいんですけど…。
(下遠さん)…となるとデザインの中でそれをこう…自然にやってもらったら。
地金見えても。
(谷口さん)いい素材といい加工先さんと理解していいものを上げてくれるデザイナーさんとでないものを…今までにないものを作り上げていけるっていうのはやりがいじゃないかなとは思いますけれども。
サンゴジュエリーのデザイナーは全国的に少なくさらにダイヤモンドなど他の宝石と組み合わせた加工となると理想どおりの作品を作る事が出来る工房は限られてきます。
こちらは血赤サンゴを使ったジュエリー。
ダイヤモンドと組み合わせミリ単位の調整をしながら美しいジュエリーに仕上げていきます。
こうやって丁寧にやって頂けると。
今までにないサンゴジュエリーを作る。
川村さんたちのその目標に世界が応えてくれました。
スイスで毎年開催される世界最大規模の宝飾と時計の見本市バーゼルワールド。
KAWAMURAは2009年から出展を続けていてサンゴジュエリーは瞬く間に話題に。
会場内で配布される新聞にも大きく取り上げられました。
その見出しはスーパーブランドのバイヤーたちから高い評価を受けました。
(川村さん)まず一番先に素材で注目されるのでそれにいいデザインとですね加工をすればそういうのはまだ見た事ないっていう事になりますので。
(川村さん)本当にいいものを作ったといっても今川村さんが取り組んでいるのが世界の誰もが認める長い時間がかかるこの道のりのため高知のサンゴ細工を受け継ぐ若い世代の育成に力を入れています。
(川村さん)この弁の角度がこれがねちょっと甘い。
角度が。
ああ…。
これと同じようにもうちょっと滑らかに。
はい。
(川村さん)みんなが同じものを目指すのでなくてそれぞれ持ってる才能をですねそれぞれが開花するような方向で育ってほしいと思ってます。
次の世代を担う職人たちにも川村さんの思いは伝わっています。
KAWAMURAでは2012年から東京のホテルニューオータニにジュエリーサロンを開設しています。
海外からのお客さんに対して日本ならではのサンゴジュエリーを知ってもらうため重要な役割を果たす店舗です。
ここに川村さんの思いがこもった超高級ジュエリーがありました。
ホテルニューオータニにあるジュエリーサロンでひときわ輝きを放つ『包む』という作品。
テーマは大切なものを心を込めて包み大切な人に贈る。
それは川村さんが40年以上ともに歩んできた宝石サンゴに伝える思いです。
ような姿が理想としてますけど。
土佐沖の竜宮城から贈られる宝石サンゴ。
世界中で輝き続ける日はそう遠くはないのかもしれません。
『日本のチカラ』次回は岡山県。
倒産のピンチから立ち直った笑顔いっぱいの建設会社です。
2015/10/04(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本のチカラ[字]
高知といえば、鰹や坂本龍馬が有名ですが、実はサンゴもすごいんです!特に深紅のサンゴは超高級ジュエリーに加工され、とんでもない値段で売られています。その秘密とは!?
詳細情報
◇番組内容
高知県が世界に誇る有名なもの。それは土佐沖の海から採れる「宝石サンゴ」です。中でも「血赤サンゴ」と呼ばれる深紅の宝石サンゴは、世界にその名をとどろかせています。その魅力を世界に伝えるため、「高級サンゴジュエリー」に挑んでいる会社に密着!ダイヤモンドや金など他の宝石とサンゴを組み合わせたジュエリーは、ひとつ1000万円を超えるものも!世界じゅうから注目されています。
◇番組内容2
高知県はサンゴ国内加工の一大生産地として、その名をとどろかせていましたが、近年、サンゴ人気が下火になり加工品の生産量は年々減少。そこで方向転換を図ります。ジュエリーとしての価値を高めるため、デザインや金属加工は一流のジュエリー工房とタッグを組み、納得のいく作品を作ることに。番組では、血赤サンゴに魅せられた男の挑戦に迫ります。宝石サンゴが世界中で輝き続ける日が、そこまで来ているのかもしれません。
◇番組内容3
全国各地の「魅力あふれる産業」を通して、地域の歴史や文化・人々の英知や営みを学び、日本の技術力・地方創生への道・温かいコミュニティー、生きるヒントを描き出す、教育ドキュメンタリー番組。
◇ナレーション
高橋 生(高知放送アナウンサー)
◇音楽
高嶋ちさ子「ブライト・フューチャー」
◇制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:高知放送
協力:文部科学省/中小企業基盤整備機構
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.minkyo.or.jp/
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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