少年による凶悪犯罪が増えている――。そう感じている人が増えていることが、内閣府の調査結果でわかった。
内閣府が9月19日に公表した「少年非行に関する世論調査」によると、少年による重大な事件が増えていると感じる人は78.6%で、前回調査(2010年)より3ポイント増えた。
どのような社会環境が問題かについては、「スマートフォンやインターネットなどの普及により、簡単に暴力や性、自殺その他少年に有害な情報を手に入れられる」が69.8%(前回比22.5ポイント増)で最も高かった。調査結果について、少年事件に取り組む弁護士はどう見ているのだろうか。星野学弁護士に聞いた。
●少年犯罪は減少傾向にある
「現実には、少年犯罪は減少傾向にあります。それは『子どもの数の減少』という意味ではなく『発生率』も減少傾向にあります。
また、戦後からの統計によれば、少年による殺人、強姦、放火などの重大犯罪も減少傾向にあります」
星野弁護士はこのように述べる。ではなぜ、「少年犯罪は増えている」「少年犯罪は凶悪化している」と考える人が増えているのだろうか。
「それは、私たちが少年犯罪に関する『情報』に接する機会や頻度(回数)が増えたことなどがその理由ではないでしょうか。
各種メディアは、少年による重大な犯罪を、センセーショナルな事件として繰り返し取り上げます。その情報に接した私たちは、少年の犯罪に『なぜ?』『どうして?』と疑問を抱きます。
そして、繰り返し接した情報と疑問を抱いた情報は記憶に残りやすいので、私たちは凶悪な少年犯罪が増加しているという印象を抱くのではないでしょうか」
●「スマホ・ネットが悪影響」は本当か?
インターネットやスマートフォンが悪影響を与えているという意見についてはどうだろうか。
「インターネットがない時代と比較しても、少年犯罪と少年による重大犯罪が減少傾向にあることからすると、インターネットの普及で有害な情報の入手が容易になったことを指摘するのは、あまり説得力がないように思えます。
当然ですが、犯罪は社会にとって大きな不利益でありながら『ゼロ』にできないという難しい問題を抱えています。そして、実際の被害者にとっては、犯罪件数が多い少ないは関係がありません。
犯罪を『ゼロ』に近づけるためには、イメージではなく、客観的な事実を冷静に分析する必要があるでしょう。
また、インターネットやスマートフォン等のテクノロジーの普及という原因をあげることで、自分たちと犯罪が無関係であると安心するのではなく、各人が身近な少年の健全な育成のために責任を果たしてゆくべきなのではないでしょうか」
星野弁護士はこのように述べていた。
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