児童虐待:最多8万8931件…面前DVなど通報対象増加
毎日新聞 2015年10月08日 13時07分(最終更新 10月08日 14時33分)
2014年度に全国207カ所の児童相談所(児相)が対応した児童虐待件数は、前年度比20.5%増の8万8931件(速報値)だったことが8日、厚生労働省のまとめで分かった。統計を取り始めた1990年度から24年連続で増え、初めて8万件を超えた。
対応件数の増加について厚労省は、13年8月にきょうだいが虐待された子どもも「心理的虐待」を受けたと判断して児相が対応するようにしたことや、親が子どもの前で配偶者に暴力を振るう「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」も警察が虐待として児相に通報するようになったことが主な要因とみている。厚労省は「増加件数としてはこれまでで一番多く、重く受け止めている。軽微な通報も増え、初期のうちに対応できるようになったともいえる」と説明している。
都道府県別で最多は大阪府で1万3738件(前年度比3022件増)。次いで神奈川県1万190件(同352件増)▽東京都7814件(同2400件増)▽埼玉県6893件(同1760件増)。
児相の所長が虐待から子どもを守るために親権停止(最長2年)を家庭裁判所に申し立てたケースは前年度と同じ23件。うち17件が認められた。障害がある子どもを親が登校させなかったり、信仰上の理由で親が子どもに輸血をさせなかったりした例があった。
また、厚労省の専門委員会は、13年度に虐待で死亡した36人(心中を除く)の分析結果も公表。被害者の年齢は0歳が16人(44%)で最も多く、加害者は母親が最多で16人(44%)。36人の死亡例を担当した児相職員が受け持った虐待や相談などの業務は、年間平均109件に上っていた。
命にかかわる重症例(心中未遂除く)は13年4、5月のまとめで18人おり、うち11人が0歳だった。【古関俊樹、黒田阿紗子】