若村麻由美が仲間由紀恵をビンタ…舞台「放浪記」14日開幕
女優・森光子さん(享年92)の代表作を仲間由紀恵(35)が引き継いで上演される舞台「放浪記」(東京・日比谷シアタークリエで14日開幕)に初参加する若村麻由美(48)が取材に応じた。若村は仲間演じる女流作家・林芙美子のライバル作家・日夏京子役。劇中では主人公の“裏切り行為”が許せず、ビンタする衝撃的な場面もある。難しい役にどんな思いで向き合っているのか、聞いた。
自分が作家として生き延びるため、方法を選ばず、悪評とも戦った林芙美子。葬儀で川端康成が「死は一切の罪悪を消滅させます。どうか、故人を許してもらいたい」と弔辞を読んだのは有名な話だ。
舞台で芙美子と日夏は恋愛、作家活動にライバル関係。2人のどちらかの小説が掲載されるチャンスで、芙美子は日夏に預かった原稿を締め切り後、出版社に届ける。当然、芙美子の原稿が使われ、その後の成功へ。出版パーティーで再会する2人。日夏は芙美子の頬を平手打ちし、筆を絶つと明かす。54年続く「放浪記」の名場面のひとつだ。
「ものすごく緊張しますね。人をビンタするのって。ドラマなどでも何度かありましたが、やっぱり良いものではない。気が重くなりますし、どう演じれば良いのか。仲間さんとも話していますが、難しい場面で悩みますね」
これまで浜木綿子、八千草薫、奈良岡朋子らが演じてきた。実は「日夏京子」は脚本の菊田一夫氏が考えた架空の人物。元女優でもあったこの女性が、主人公の次の大役だ。
「菊田先生は芙美子の人生をより浮き彫りにするため、対照的な女性をつくってライバルに置いたと思う。ともに恋に仕事に貪欲。当時としては過激ですよね」。林芙美子という人物を「なりふり構わず、すべてさらけ出し『書く』ことで『生きる』ことを証明した人。恵まれて育った日夏には、そこまでの強さがなかった。逆にそこまでやるなら、辞めてやるという潔さの方が勝ってしまうような」と捉えている。
初演から半世紀余りたち女性の生き方、働き方も様変わり。役の受け取られ方も変化する。「少しずつ人生の夢を諦め、ほどほどの幸せを自分の人生と受け入れていく。いま平成に生きる女性に“日夏的”な人ってたくさんいるんじゃないでしょうか」
「放浪記」が愛され続けてきた理由を考え、さらに「いま上演する意味」も大切にしたいという。
「芙美子の姿が日本そのものにも思えて。戦後、泥だらけにがむしゃらに立ち上がってきた。マネできないくらいのたくましい生き方が、いま見る人にも元気を与えてくれるのではないでしょうか」(内野 小百美)