トップページ社会ニュース一覧司法試験問題漏えい 元教授を在宅起訴
ニュース詳細

司法試験問題漏えい 元教授を在宅起訴
10月7日 15時42分

司法試験問題漏えい 元教授を在宅起訴
k10010262141_201510071808_201510071817.mp4
ことしの司法試験で問題の作成などを担当した明治大学法科大学院の元教授が教え子だった女性に試験問題を漏えいしたとして東京地検特捜部は元教授を国家公務員法の守秘義務違反の罪で在宅起訴しました。司法試験の問題漏えいを巡り刑事責任が問われるのは初めてです。
在宅起訴されたのは明治大学法科大学院の教授だった青柳幸一被告(67)です。
東京地検特捜部によりますと、青柳元教授はことし5月に行われた司法試験で試験問題の作成などを担当する「考査委員」を務めていましたが、試験前、みずからが作成に関わった憲法の論文試験や短答式と呼ばれるマークシートの試験の問題を教え子だった20代の女性に漏えいしたとして国家公務員法の守秘義務違反の罪に問われています。
青柳元教授は試験前の2月から5月にかけて自分の研究室などで女性への個別指導を繰り返していたということで、女性の論文試験の答案は元教授が作った模範解答とよく似た表現が多くほぼ完璧な内容だったほか、短答式の試験もほぼ満点だったということです。
関係者によりますと、元教授と女性は問題の漏えいを認めていますが、特捜部は女性からの漏えいの働きかけが確認できなかったことなどから、女性の刑事責任は問いませんでした。
この問題を受けて法務省は弁護士や裁判官などで作るワーキングチームを設置し原因の究明と再発防止策の検討を進めています。

明治大学「重大な事態」

明治大学は青柳元教授が在宅起訴されたことについて、「司法制度の根幹を揺るがしかねない重大な事態だと改めて受け止めています」としています。
明治大学では弁護士や大学の理事ら7人で構成する検証委員会を設置したうえで、青柳元教授の授業を受けたことがある学生に聞き取りを行うなど事実関係の調査を進めていて、年内をめどに再発防止策を含めた報告書をまとめることにしています。

法務省「再発防止を検討」

司法試験の問題作成などを担当する「考査委員」と務めていた青柳元教授が在宅起訴されたことについて法務省は「誠に遺憾であり、青柳前考査委員が起訴されたことを重く受け止めています。原因究明や再発防止のための調査、検討を行っているところであり、今後も鋭意検討を進め、信頼回復に努めて参ります」とコメントしています。

授業でも問題の一部 学生に伝える

一方、関係者によりますと、東京地検特捜部は、青柳元教授がほかにも、短答式試験の前に行われた授業の中で、問題の内容の一部を学生たちに伝えていたことを確認したということです。
NHKは複数の学生に取材し、この授業の音声記録を入手しました。
この授業は短答式試験が行われる2日前のことし5月15日、法科大学院の1年生向けに行われました。
音声記録の中で、青柳元教授は、「この『収用』というところは、ことしの司法試験の短答式に出していて、私のテキストにもちゃんと書いてある」などと述べ、試験に出していることをはっきりと伝えていました。
この論点は、「財産権」について定めた憲法29条に関するもので、実際にことしの短答式試験の第9問として出され、50点満点のうち最大で3点が配点されていました。
これについて、青柳元教授はNHKの取材に対し、弁護士を通じて、「授業の進行状況を考えれば、そのテーマは試験後に扱ったはずだが、試験が終わったと勘違いして話した可能性はあるかもしれない」などとコメントしています。

関連ニュース

k10010262141000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ