自分は真面目な話はできるが他愛もない話に花を添えるような話術は持ち合わせていなかった。
ただAは情熱的な人間だ。ユーモアのない僕でもいつまでも話していられた。
ウマが合う、とはまさにこのことでお互いの言っていることが素直に受け止められるような気がした。
求めるままにセックスもした。Aは背徳的行為に興奮するタイプだ。
しかしAとは付き合うことはなかった。
大学受験の都合でBとは長い時間同じ空間にいたのだけれどあまり言葉を交わしたことはなかった。
しかし受験生だった1年という時間は彼女を好きになるには十分だった。なぜ好きなのかは説明できなかった。
きっと勘違いなのだ。長い時間一緒に居たせいで好きだと思い込んでしまった。
Aと付き合わなかった理由は他にもある。
Aはルックスが良くないのだ。Bの方がいい。
Bとは話す機会もなければ話す内容だって世間話程度だ。(Bは受験に失敗して浪人中だった)
Aとは内面で通じあっているし、体も知っている。
結局Bと付き合うことになった。
よくわからないプライドが邪魔をしたのだろう。Bを選んだのではない、Bと並ぶ自分を選んだのかもしれない。(外面を気にするのは僕の良くないところだ。)
しかしAとの関係はやめられず、毎日のように電話をして夜更かしをし、たまにホテルに言ってはセックスをした。(僕とAは共に実家暮らし)
Aはそんなどっちつかずの状態に頭を悩ませていた。
よくないことだが僕はそんな状況に優越感を膨らませていた。
半年ほどそんな状況は続いた。
ある時、Cという女の子の家に泊まることがあり、セックスをしてしまった。
いや、最初からしようと思っていたのだ。考えるより先にチ○コが出た。
Cは一人暮らしで、それ以後僕はCの家に入り浸るようになった。
Bとは別れ、Aとの関係も終わりにした。
1年半ほど一緒に暮らして今に至る。
Cはルックスは良いが、頭はよくない。
結果的にここにきてAのことが恋しくなってきた。
情熱的だったあの頃に戻りたい。