ゆとり世代の定義、範囲については諸説あり明確ではない。
ゆとり教育の期間中に学校教育を受けた世代は1987年4月2日生まれ~2004年4月1日生まれ(1987年度~2003年度生まれ、現在11~28歳)である。
また初等教育および中等教育 (中学校および高等学校またはそれに準ずる中高一貫校に代表される中等教育学校等における教育) においてゆとり教育を受けた世代に対し、一定の共通した特性を持つとして設けられる世代区分として狭義では、1987年4月2日~1996年4月1日に生まれた者 (1987年度〜1995年度生まれ、現在19~28歳) と定義する人もいる。
小学校では2011年、中学校では2012年、高校では2013年にゆとり教育を見直した学習指導要領が本格的に実施された。
世代の範囲
「ゆとり」の語源自体はおそらく、日本教職員組合(日教組)が1977年に学校5日制を提起し1980年から適用された学習指導要領において「ゆとりと充実を」と言うスローガンの元授業時数の削減が行なわれた"ゆとりカリキュラム"であり、その意味では70年代生まれの世代にもゆとり世代が含まれると言える。
だが、よくゆとり世代と呼ばれるのはこのゆとりカリキュラムとは別の、1999年に全部改正され、施行された2002年度以降に入学した小中学校を対象とした学習指導要領のカリキュラムを受けた者を指す。小学生は1995年4月2日生まれ以降から、中学生は1989年4月2日以降が被学習指導要領対象者となる。
しかし施行された2002年度時にすでに中学生であった1987年4月2日~1989年4月1日生まれの者は、移行措置として中学入学時からすでに「ゆとり教育」が始まっている。 高校教科書の内容の変更及び指導内容削減も1987年4月2日生まれからであり、1987年4月1日以前に生まれた者は2002年の施行以降も旧カリキュラムで学習した。2006年度の大学入学者選抜大学センター試験(センター試験)においても内容を削減・廃止・分割し、総合的に難易度を下げた事により、当該年度の試験を受ける中では最少年齢である1987年4月2日生まれ以降がマスコミからゆとり第一世代と呼ばれるようになった。このマスコミ説のほかに、1993年以降をゆとり第一世代とする文部省説(こちらは根拠不明、移行措置の年度に小学校に入学した世代だからだろうか? )が存在する。
いわゆる「ゆとり教育」は恒常的な政策ではなく一過性のものとなってしまったたために、今後は「団塊の世代」「バブル世代」のように終生「ゆとり世代」と呼ばれる可能性が高い。
ゆとり世代の今
上述の1987年度~2004年度をゆとり世代と仮定すると、現在の28歳から11歳が、狭義での1987年度~1995年度をゆとり世代と仮定すると、現在の28歳から19歳が該当する。
すなわち、年長のうちで4年制大学に浪人せずに入学したものは社会人6年目となる。高卒で就職したものや短大・専門学校に進学したものはすでに社会人になって相当年経過しているものもいる。
ゆとり世代年代
後述のようなレポートや調査を除けば、統計などでゆとり世代という枠組みで抽出したデータをのせることは多くない。ましてや世論調査などでそのようなデータを出すことなど、それ自体無意味よろしく無視されている。
特徴
明確な定義は定まっていないが主に
1失敗を恐れる
2打たれ弱い
3現実的で夢を見ない
4ルールは順守する
などが特徴として挙げられる。もちろん全ての人に当てはまるわけではない。
他にも物怖じしない、デジタルネイティブでありIT分野に強い、態度がでかい、自分の夢にばかり拘る、空気を読むのが得意、仕事よりプライベートを優先する、優秀な人間とそうでない人間の二極化が激しい、なども(要するに使う人間によって都合良く)挙げられる。
友人とは当たり障りのない会話が多く、また携帯電話のメールがコミュニケーションツールとして重要なものになっている。自分自身を表現することが苦手と意識する者や叱られることに慣れていない者がおおいという声がある一方で、ゆとり世代の新入社員のコミュニケーション能力は総じて高くそのような心配は杞憂との声もある。(“「ゆとり世代」への心配は杞憂?【労務行政研究所】 新入社員のコミュニケーション力高評価”)
モデルの加賀美セイラは自身のブログにて「最近、ゆとり教育のせいか、夢がない、尊敬する人がいないって人が増えてて寂しくなる‥」と投稿し、モデルプレス
はこれを「“ゆとり世代”の無気力に言及」したものと紹介している
(同記事ニコニコニュース版
)。
ゆとり世代の文化
ゆとり世代(初期)が小学生だったころはプレイステーションの興隆期に相当し、多くの家庭にプレステが普及していた。一方で初代ポケットモンスターのヒットをはじめとした携帯機 (特に通信交流型) の中興も経験しており、「『屋外で』『友達同士で』遊ぶにもゲーム機」という感覚が子供のときから常識となっていた世代でもある。Windows95の発売に端を発するパーソナルコンピュータの家庭普及や、携帯電話によるインターネット接続の発展も、ゆとり世代の趣味に影響を与えている。
また、小学生の頃からいわゆるJ-POPが巷に溢れている中で育っており、従来のCDやカラオケだけでなく、着うた (着メロは既に前世代のメディアとなりつつあった) や音ゲー (特に太鼓の達人; BEMANIシリーズにはヒットチャート系の楽曲が少なかった) といった新しい形の音楽消費財を若い時期から手にしてきた世代でもある。
ゆとり世代とメディア
パソコンや携帯といった情報端末、パソコン通信やインターネットといった通信インフラ環境など、情報化社会に幼少時から浸透している最初期の世代であり、ゆとり教育の内容よりもこちらの影響を指摘するものもいる。
BPOの調査 (「テレビがないと困る」半数 16~24歳調査・若年層のテレビ視聴時間が減少傾向に--BPOまとめ
) にて、おおよそゆとり世代に近い年代におけるメディア利用についてのデータが公表された。テレビよりもインターネットによるメディアの重要度が上回り、テレビの視聴時間は減っているという。
一方で東大で5年ごとに行っている「日本人の情報行動」調査においては、「10代」 (この調査では13〜69歳を対象にはパソコン利用時間の割合が減っているとしている (10代、パソコン離れ…ネットは携帯で 東大教授ら調査)。
ゆとり世代と就職
ゆとり第一世代であるとされる1987年生まれは、大学に入学し順当に学年進行していれば2010年卒の就活生となる。彼らに対して独特の対応方法が展開されていたり (採用担当必見! モンスターか新時代の旗手か、”ゆとり世代”2010年卒のつかみ方(1)) 、実際に対応した採用担当の声があがってきたりしている (2010年卒就活生に「ゆとり世代を感じた」人事担当者5割超
) 。
「電話が取れない」「メモが取れない」という声があるという一方で、育成する側もバブル崩壊後の長期における採用見送りにより後輩を指導する経験がなかったため、対応に余計に苦労しているという。また、企業が即戦力ばかり求め、人材を育成するゆとりを持ち合わせていないという状況にある。
「ゆとり世代」は「存在」するか「幻影」か
以上の分析について、従来の「最近の若者」論と何ら変わらない内容にただ「ゆとり世代」の看板を付け替えただけに過ぎないという意見がある一方、実際に接した側から「いや、今までのそれとは違う。」という声もある。
ネット上で精神的に幼い人や低レベルなコメントをする人に対する蔑称として「ゆとり」という言葉が使われることがある。
近年は少なくなったが、年齢の低い人に対して「ガキ」という意味で「ゆとり」という言葉が用いられることもある。
関連動画
関連コミュニティ
関連ニュース
関連項目
- バブル世代
- ゆとりホイホイ
- 1988年度生まれ世代(ゆとり第二学年)
外部リンク
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読み:ユトリセダイ
初版作成日: 09/10/23 09:29 ◆ 最終更新日: 15/10/08 04:42
編集内容についての説明/コメント: 特徴2、3箇所を微修正。一面的な見方、バイアスのかかった見方を極力減らし多角的かつ両論併記に。
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