厚生労働省は7日、2013年度の国民医療費が前年度より2.2%増えて40兆610億円になったと発表した。確定値ベースの国民医療費が40兆円を超えたのは初めて。一方で財源別にみると、自己負担が軽い高齢者が増えたことなどを受け、患者の窓口負担の比率は0.1ポイント減り11.8%だった。窓口負担の比率は下がり続けており、その分を現役世代や公費の負担で補い続けている。
患者の窓口負担の額は4兆7076億円。前年より497億円増えたものの、全体の伸びより増え幅が小さかったため負担比率は減った。このほかの主な項目では、税財源など公費負担が15兆5319億円、労使で支払う保険料負担が19兆5218億円だった。
サラリーマンの自己負担が現行の3割になった2003年度の窓口負担比率は14.8%だった。10年後の今回はこれより3ポイント低く、10年間で最低だった。実額でも国民医療費の総額が03年度から約8.5兆円増えたのに、窓口負担は327億円しか増えていない。
窓口負担が抑え込まれている最大の理由は、高齢者の増加だ。窓口負担は原則、就学後から70歳未満が3割、70~74歳が2割、75歳以上が1割で年長者ほど負担が減る。入院や手術などで医療費がかさんだ場合の自己負担の上限を定めた高額療養費制度でも、70歳以上は優遇されている。このため高齢化が進むと、医療費全体に占める窓口負担の比率が減る構図だ。
政府は6月にまとめた経済財政運営の基本方針(骨太の方針)で、高齢者の自己負担や高額療養費制度の見直しを提言。現預金など資産を持つ人の負担引き上げも検討するよう求めた。ただ痛みを伴う改革には与党内からも抵抗が強く、現役世代の負担を抑える機運は高まっていない。
厚生労働省