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【防衛装備庁発足(1)】
防衛装備の海外移転で中国封じ込め 太平洋の安全保障に力こぶ 民間各社も海外展開前のめり
鳩山政権(09年9月~10年6月)が「対米従属からの独立」を唱え日米関係を冷え込ませた結果、後継の野田政権下で日米同盟による日本周辺の防衛体制に空白ができ、10年9月には尖閣諸島(沖縄県石垣市)で中国漁船衝突事件が発生。日本による国有化を経て日中間の緊張を生み出す端緒となった。これに続き10年11月にはメドベージェフ露大統領(現首相)が露大統領として初めて北方領土を訪問。12年8月には李明博前大統領が竹島(島根県隠岐の島町)に上陸するなど露韓がそれぞれ日本領土の実効支配を強化する動きを招いた、というわけだ。
専門家の間には、防衛装備の面での日米同盟強化を一段と加速すべきだとの声が高まっている。(佐藤健二)
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防衛装備庁 フランスの国防省装備総局(DGA)をモデルに自衛隊向け防衛装備の調達や研究開発に関連する部門を統合して設立された防衛省の外局。装備品の取得、防衛生産基盤の維持・強化、研究開発、装備や技術の海外移転を主要任務としている。ただ、フランスや韓国などの組織が担っている輸出振興は行わない。発足当初の陣容は1万人を超える英仏の組織に比べ約1800人と極めて少ない。装備ごとに専門家が開発段階から一貫して統括する「プロジェクト管理」と呼ばれる手法で合理化やセキュリティ確保を目指している。