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【防衛装備庁発足(1)】防衛装備の海外移転で中国封じ込め 太平洋の安全保障に力こぶ 民間各社も海外展開前のめり

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【防衛装備庁発足(1)】
防衛装備の海外移転で中国封じ込め 太平洋の安全保障に力こぶ 民間各社も海外展開前のめり

防衛省に防衛装備庁が設置され、看板をかける中谷元・防衛大臣(左)と渡辺秀明・防衛装備庁長官=1日、東京都新宿区の防衛省 

 アジア太平洋地域の軍事産業に詳しいIHSジェーンのアナリスト、ジョン・グレヴァット氏(タイ・バンコク在勤)はフジサンケイビジネスアイの取材に対し、「中国の軍事輸出の狙いは戦略的影響力の拡大であり、利益は二の次だ。輸出先との間で、軍事や貿易などを含めた関係強化を図る手段と位置付けており、とくにインド周辺の南アジア向けでは中国の常套手段だ」と解説する。インドネシアの高速鉄道建設計画で、同国の財政負担や、中国が実施する融資に対しインドネシア政府の保証を求めないという破格の条件で中国が日本を破り、契約を勝ち取った根底にも同様の外交戦略があるとの見方を示した。

 日本にとって今回のインドネシア高速鉄道の決定は、東南アジアの安全保障をめぐる中国包囲網形成にくさびを打ち込まれた形となった。

開発競争が激化

 防衛装備供与を介した外交戦略の重要性が増すのに伴い、装備の開発競争も激化しそうだ。

 北京のパレードでは「空母キラー」とも呼ばれる世界唯一の対艦弾道ミサイル「東風21D」が注目を集めたが、意外にも専門家の間では「空母機動部隊は1日平均で800キロは移動する。中国が陸上からこうした長射程のミサイルを命中させられるようになるには、なお時間がかかる」(元自衛隊幹部)など評価は低い。米海軍大学が定期的に海外の専門家を招き開いている中国の装備に対する評価でも「『米国に追いつくには10年以上かかる』との見方が大勢を占めている」(日本の参加者)。それでも、こうした会合では「対策を本格化する必要がある」と、慢心を戒める意見が出始めているという。

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