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【防衛装備庁発足(1)】
防衛装備の海外移転で中国封じ込め 太平洋の安全保障に力こぶ 民間各社も海外展開前のめり
防衛省の外局、防衛装備庁が1日発足した。これを機に防衛装備の国際化に向けた政府と関連産業の取り組みが一段と加速する。政府は、急速な軍事力拡大を背景に海洋進出を急ぐ中国の脅威に対応し、欧米やアジアの親密国への防衛装備輸出や技術移転を通して結びつきを強め、安全保障体制の強化につなげる考えだ。国内の防衛各社も政府の政策に呼応し本格的な海外事業展開に向け動き出した。
進む枠組みづくり
「装備の技術的優位確保、海外との装備技術協力、国内防衛生産技術基盤維持など課題は多い。関係省庁や産業界からの期待に全力で応えたい」
防衛装備国際化の司令塔を担う防衛装備庁の渡辺秀明長官(前防衛省技術研究本部長)は1日、こう決意を語った。
産業界も「防衛生産・技術基盤の維持・強化に向けリーダーシップを発揮してもらいたい」(経団連)と新組織に期待をかけている。
すでに安倍晋三政権は昨春、武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」の制定を機に防衛装備国際化への取り組みを本格化。日本の防衛装備や技術を相手国に移転する場合の枠組み協定の締結国は米、英、仏、オーストラリアの4カ国に達した。このほか、インドやフィリピン、マレーシア、インドネシアとも事務レベル協議を行っている。