10.
「ほら、もう朝」
いつもの声で目が覚める。
「悠太、朝」
「もうちょっとだけ……」
「もうちょっと? ……はい、もうちょっと経った。起きる」
「も〜……」
伸びをした悠太は渋々起き上がった。
骨折した指は治り、もう夜中に痛みで起こされることもない。
「温かいうちにご飯食べるの」
「……朝ご飯いらなーい」
「え!? 絶対食べんのよ!」
「……ふぁーい」
スタスタと部屋から出て行く母の後ろ姿を見送ってから悠太はベッドを降りた。
三学期になってから寝起きであまりグズらなくなったのは大きな進歩である。
寒さに身を縮ませながら学生服に着替えて一階に降り、焼き魚をつつく父と化粧を頑張る母が陣取るテーブルにつく。
「おはよ。お父さん、今日遅いんだ?」
「これでも早いよ。……ん? あぁ、もう遅れるわ」
手早く朝食を掻き込んだ父は歯みがきも程々に玄関に立った。そこに母が近寄り、襟元やネクタイのチェックをして鞄を手渡す。
悠太は、その息が合った両親の様子を、ご飯を食べながら何気なく眺めた。
「お父さん、いってらっしゃーい」
「おーう」
父を見送って戻ってきた母は、少し前のめりになりながらマスカラを塗り始める。
「仲いいね」
「……なにがよ、馬鹿」
ほら、ちょっと困るとすぐ「馬鹿」である。
悠太は魚をつつきながらテレビのチャンネルを変えた。
冬休み前と変わらない、いつもの朝。いつもの母と子。違うのは、薄赤い口紅にモヤモヤとした魅力を感じるくらいだろうか。
それは、隼人が結衣に告白すると聞いた時のような、よく解らないモヤモヤ感と似ていた。
11.
それから数日後の土曜日である。
中学二年生の悠太は、母とはまた違うタイプの熟女と対していた。
結衣の家、結衣のお母さん。
昼下がりにたまたま近所で顔を合わせ、おやつをご馳走してもらえる幸運にありつけたのだ。
小さい頃から良くしてもらっている結衣のおばさんは、優しくて綺麗で、子供の頃から好きな女性である。
「悠太クン、彼女は出来た? 悠太クンはモテるでしょう?」
「うん、出来てませーん」
悠太は元気良く答えた。結衣のおばさんは悠太と会うといつもモテるモテると言う。挨拶のようなものだ。
本日テーブルに出されたのはフルーツケーキとショートケーキの二本立てで、おばさんと巡り会えた事を悠太は感謝した。
そのおばさんは正面のソファーに座り、ケーキを頬張る悠太のことを見つめている。
白と黒の上下。フリルのついた胸元は大胆に開き、花柄がプリントされた膝丈のスカートはゆったりとソファーに垂れ下がる。脚を組んだ姿はエレガントで、それでいていつもよりセクシーにも見える。
悠太はちょっぴりドキドキしながらケーキを突っついた。
「うーん、美味しい。このケーキ」
「フフ、そう?」
なんだか妙な感じである。まるで観察されているかのようだ。
そこで悠太はようやく、隼人の件以降おばさんとまともに話したのは今日が初めてだったということに気が付いた。
「あっ!」
「んー?」
「えと……おばさん、ごめんなさい。あの、隼人くんのこと」
「え? ああ。いいのよ、そんなこと。悠太クンは関係ないじゃない」
「そ、そう?」
単純な悠太はこのやり取りだけで胸のつかえがおりた気がした。
早苗は、そんな悠太を、意味ありげな笑みを浮かべて見つめる。脚を組み替えるとスカートの裾が大胆にめくれ、ムッチリとした太ももまで露わになった。
「ねえ、悠太クンはうちの結衣のこと、どう思ってるの?」
「結衣?」
「うん、好き?」
「ぶっ……す、好きって……」
いきなりな質問に悠太は噴き出す。
「な、なんでそんなこと聞くの、おばさん」
「だって隼人くんが結衣のこと好きなら、悠太クンはどうなのかなーと思って」
「い、いや、結衣は年上だし」
「いいじゃない、年上。悠太クンは年上が嫌い? おばさんね、うちの子はきっと悠太クンのことを好きだと思うんだけどな。骨折った時もすんごく心配してたし」
顔を覗き込んで聞かれ、悠太は噛んでいたケーキをゴクリと飲み込んだ。こんな状況でもなんと美味なホイップクリームであろうか。
(ゆ、結衣が僕を、すんごく……?)
親が言うことだから冗談半分だろうとはいえ、なんだか嬉しい発言だ。
再びケーキにフォークを刺しながら、横髪を掻き上げる仕草が艶めかしいおばさんに答えた。
「そ、そりゃ年上嫌いじゃないけど……む、無理だよ。そんな」
「無理って何が?」
悠太の目を見据えて早苗は聞く。
「んーと、告白してもってこと……かな? とにかく無理だよ」
すると早苗は口に手を当てて笑った。
「素直に告白してみたら割と簡単にOKもらえちゃうことだってあるんだよ。もちろん隼人くんみたいな事しちゃイケないけど」
「……そうなのかなぁ」
悠太は苺をフォークでつついた。なんとも落ち着かない話の流れである。
やっぱり母なんかとは違い多少気を遣いつつ喋るから、押されてしまうのは仕方ない。でも、今日はやけに結衣のおばさんが色っぽく見える。まるで迫ってきてるみたいだ。
(これってやっぱり、お母さんにエッチなこと手伝ってもらったから意識しちゃうのかなあ……)
ダメだダメだと自分を戒める中学二年生の前で、両手で顎を包み込んだ早苗は言った。
「もしもね」
「うん?」
「結衣に告白してダメだったら、悠太クン、私に頼んでみるってのはどう?」
「ブッ……!」
悠太は苺を盛大に噴き出した。
「た、頼むって?」
「やらせてくれる女ランキング、だっけ? 悠太くんのそれには、おばさんは入ってないの?」
「ングッ!」
慌ててテーブルから拾った苺を飲み込んだ悠太は、みるみる自分の顔が紅潮していくのを感じた。その「おばさんに頼んでみれば?」というセリフは、そのまま自分が隼人に言った言葉なのである。
「あああ、ごめんなさい!」
やっぱり根に持たれているんだと思った悠太は慌てて謝った。
「え? うぅん、なにも怒ってないよ? 隼人くんはそのランキングでうちの子が一番だったわけよね?」
「う、うん。そう言ってた」
「で、断られたときの二号が私なんでしょ?」
「ごごご、ごめんなさい!」
「ンフ、いいのよ。男の子なんだからそんな話するの当たり前じゃない。……まあ、私のことはともかく」
早苗は快活に笑って、また脚を組み直した。
「あのね、これは隼人くんにも言ったんだけど、結果はともかく告白したってのは偉いと思うんだ。男らしいなって。隼人くんや悠太くんの年頃なら告白の一つくらいしなきゃだよね」
そう言って早苗は悠太を見つめた。これじゃまるで自分にも告白しろと煽っているかのようだ。
(こ、告白……告白って……)
確かに隼人は『やらせてくれそうな女ランキング』なんて話を持ち出して、一番やりたい女に告白した。結果失敗に終わったが、その行動力はまぁ男らしかったと思う。
(もしも今言ったら、もしもおばさんに告白してみたら、イケるのかな。どうなのかな。ヤら……せてくれたりするかな?)
優しくて綺麗で良い匂いがして、なんでもOKしてくれそうなおばさんである。
「どう思う?」
「えっ!? ……あ、ああ、うん、確かに隼人くん、男らしかったかも」
「そうでしょ」
「うん」
自分の娘が襲われそうになったというのに、結衣のママは「よしよし」といった感じで微笑んだ。
早苗は同年代の母と比べても華奢で、だからこそ女らしさを感じさせる女性である。声のトーンも高く若々しい。
(告白……告白したら……)
本気で緊張し始めた悠太の脳裏に、その時突如として母にしてもらった手淫の光景が浮かんだ。
(……あんなことしてくれるのかな……)
自分の部屋で行われたあの行為。
それをしてくれた母。
まるで早苗からのプレッシャーから逃れるように、その時の興奮が頭の中を駆け巡る。
(……告白……)
今まで意識してこなかったこと、期待なんてしてこなかったこと。気付けば心の中でみるみる想いが募っていく。
「……だから悠太クンもさ、もし結衣のことが好きだったら思い切って告白してみたらいいのよ。ウフフ、私でもいいけれど」
冗談とも本気ともつかない事を言って、美人のおばさんは目を細めて笑った。
引き攣りながら悠太も笑った。
(……やらせてくれる女より、一番やりたい女か……。うん、そうだよね)
我に返ってケーキを頬張りながら、中学二年生はモヤモヤの原因がまた少し分かったような気がした。
12.
夕焼けに黄色く染まる町で悠太は一人佇んでいた。
「ちょっと。アンタ何してんの」
仕事や学校帰りの人で賑わう駅前。そこで自分を見付けて声を掛けてきたのは、仕事帰りの母久美子である。
「んー、近くに来たから」
「来たからどうしたの」
「お母さん帰ってくるかなと思って」
「そりゃあ帰ってくるよ」
魂胆を探ろうとする目付きで息子を見る母は、すぐに襟元の隙間に気付いて手を伸ばした。子供の着こなしや防寒が気になるのは母親の常だ。
直されている間、スーツの胸元から流れてくる香水の匂いに悠太の鼻はくすぐられる。
「じゃあ、買い物行くけど来る」
「うん、行く」
「何か欲しい物あるんでしょ」
「あー、うん、そんなとこ!」
歩き出した母に遅れないよう、悠太もピッタリ並んで付いていく。
母親と二人、連れ添って歩くなんていつぶりだろう。
外で見る母の制服姿は中々様になっていて、コツコツというヒールの音を聞いていると、まるで自分の背中も硬く張ってしまいそうな気分になる。
通りゆく人たちの中には老人から若者まで色んな女性が居るが、我が母はその中でも割と目立ってる、イケてる方じゃないか。そう感じたのがちょっとした発見のように思えて、なんだか気分が良かった。だから買い物中もそんな母の姿を事あるごとに観察してしまった。
「なんなの、ジロジロ服ばっかり見て。何かついてる?」
「なにもー」
「変な子」
息子の視線や行動に目ざといのも母親の常である。が、「見るな」とまでは言わない。
コートを羽織ったスーツの胸。ヒップライン。出てたら女らしいと思える場所がふんわりと広がって強調されている。
特にスカートは、キュッと締まったウェストから急激に左右と後方に張り出して釣り鐘のようなラインを描き落ちてゆく、女らしさを強調した作り。それが歩くたびに伸縮して脚回りのラインを浮き立たせるのがとても魅力的だった。もっとも、お尻周りを見るときはそのパワフルさに内心恥ずかしさを覚えたが……。
他にも、厚めのストッキングでシェイプされたおみ足。これは先入観抜きで美脚と言えるものだと思う。多分。おそらく。
こうしてゆっくりと買い物を済ませた二人は、夕焼けの街を家路に就いた。
「あんなお菓子だけで良かったの」
「ん?」
ヒール込みで同じくらいの背丈だが、母の方が若干歩くのが速い。
悠太は遅れないように足を速める。
「買って欲しい物があったんじゃないの」
「あー、うん。あれじゃないんだ」
「あれじゃないって、なに」
コツコツとアスファルトを鳴らす母が警戒モードに入ったのが判った。
ゲームソフトを買ってとねだる前のピリピリ感である。
「うーん、何というか……言いにくくて」
「何が言いにくいの。言いな。聞くだけは聞いてあげるから」
溜息混じりの声で母は問い詰める。わざわざ駅で待ち伏せていたことが気になるのだろう。
どうせなら早い方が良いと決意して来た悠太だったが、いざその段になると早くも決心の柱が折れそうになっていた。
「……あー、やっぱいいや。うん。やめとくね。なんでもない」
「もう、なに。いいから言いなって。またゲーム?」
「いやー、そうじゃなくて……」
ごまかそうとしたが、母はなんとしても聞きだそうとする気勢だ。しばらく逡巡した悠太は、こういう事は勢いだと意を決した。
「あ、あのね、今日結衣のお母さんにケーキ食べさせてもらったんだ」
「あぁ、そう。おうちで?」
「うん。結衣の家で。でね、その時……その」
口籠もる悠太に母の表情が曇る。
「あんた、なんか……なんか言われたんじゃないんでしょ?」
「ん? あ、例の隼人くんの事とかちょっとね。で、でね」
「うん」
「んーと」
「なに。怒られた?」
「あ、いや、それは」
「じゃあ、なに」
「んと、セ…セ……したいなって思っちゃって」
「セ?」
「セ…セックス。してみたくなっちゃって……」
「はぁ!? ちょっとアンタ、何言って……!
久美子は息子の口を塞がんばかりの勢いで周りの様子を窺った。
「だから……その、んと、お母さん……させてくれないかなーと。初めての……セックス」
「それ、それが早苗さんと何の関係があんの?」
「何の関係もないけど?」
「ちょっと、なによそれ……」
もはや話の筋も何もなかったが、悠太にとって初めての一大告白だった。口にした言葉通り、セックスさせてくれとお母さんにお願いしに来たのだ。
言いたいことをとりあえず言った中学生は、決意も決心も見事浄化して、居たたまれなくなって逃げだしたい気持ちになった。
告白された側のお母さんは唖然とした表情を浮かべるだけだ。
コツコツ、コツコツ。
まるで時間が止まったかのような空気が母子を支配する。
母久美子は押し黙ったまま足を止めようとしない。
さしずめ悠太は、被告席に座った罪人のような気分だった。
(……そりゃ分かってるんだけど)
いくらオナニーの手伝いをしてもらったとはいえ、常識的に言っちゃダメなことを言ったのは分かってる。
(……でも、お母さんが良かったんだもん……)
結衣の家で結衣の母早苗に女を感じ、どことなく初体験のチャンスかも知れないと意識したとき、怖じ気とともに自然とそんな感覚が肌を襲ったのだ。
(だって、お母さんがいいんだもん……。いけないのは分かってるけど……)
そうなると居ても立ってもいられなかった。
そして後先考えないのは子供の特権とばかりに告白してしまった。
だが、その母は黙ったまま歩を進める。
コツコツ、コツコツ。
……そりゃあ分かる。子供から「セックスさせて」だなんてお願いされてしまったら困るのは分かる。もしかしたら今、異常な子供として自分は映っているかも知れない。
そんな恐怖が渦を巻いた。
「あああ、ごめんなさい! やっぱり無かったことで……嘘、嘘だからっ!」
オナニーの手伝いなんかじゃない。お母さんを女と見なすって事を言っちゃった。お母さんと対等になりたいって言っちゃった!
早く謝らないと捨てられちゃうっ……!
だが、まっすぐ真正面を向いた久美子は凛とした声で悠太を押し止めた。
「待って」
この時、久美子も考えていたのだ。
誰しもに訪れるであろう初体験という区切り。そんな年代に差し掛かった可愛い下の子。
普通なら有り得ないお願いだし、実の親子でセックスなんて背筋が凍るような話である。それは身に沁みて分かる。
だが、悠太の告白を聞いた瞬間、久美子の全身の血管は膨張し、久しく味わっていない高揚感が体を持ち上げた。
真面目なこの子がこんなお願いをしてくるなんて相当な決意だったに違いない。その気持ちを思っただけで居たたまれなくてすぐにでも抱きしめてやりたくなる。
もちろん現実の話としてセックスは無理。考えるまでもなくタブー中のタブーだし、そもそも赤ん坊から育てている自分としては、物理的に無理ではないかという気さえする。
だけど、それでもさせてあげたいと思った。上の子と違って体の弱い悠太を自分が導いてやりたいと思った。
まだまだ幼い我が子は、恥ずかしさや決意、そんなテンパった感情をすべて押し込めた表情をしている。
ダメなことと知りながら、そんな顔で私に縋ってきたのだ。私を選んでくれたのだ。
それを見て心を動かされない女が居ようものか。ましてや幼少時のことが心配で、自慰の手伝いまでしてしまった母なのに。
言葉にすればそんな心情が次々と胸の中を流れ、即座にどこかのスイッチが入っていた。
(あそこまでして私がさせてあげなきゃ、誰がさせてあげるってのよ。結衣ちゃん、早苗さん……? ダメ……ありえない!)
戸惑いはすでに義務感に代わり、溢れ出るようなやる気が身体を満たしていく。この頼ってもらえる嬉しさは、母親にしか解らないものかも知れない。
(私が必要なのよ。この子にはお母さんの私が)
しかし、それと同時に芽生える不安と緊張。こんな年端も行かない子を相手に女を晒すことを考えたら、恥ずかしさは息子以上かも知れない。
だが捨てられた子犬のような目をする子供を見て、これ以上与し易い相手が居るだろうか、とも思う。
アスファルトを鳴らすヒールの音が少しだけゆっくりになる。
「……ごめんなさい」
弱気の詰まった言葉を悠太が投げた。
表情だけは気怠げな母は、しっかりと前を向いて歩きながら答える。
「だから待って。今考えてるから。えっと、あれは十四日だから……」
「いや、もういいから……うん」
「待ってって。お母さんがさせたげるから」
「いや……」「……」「ええっ!?」
オーバーアクションで悠太は驚いた。
「でも、アンタはいいの? 初体験の相手がお母さんだなんて誰にも言えないよ」
「えっ、いいの!?」
「アンタはいいの?」
「う、うん。もちろん……! でもいいの?」
「こんなおばあさんでもいいならね。初めてだし、試してみるのもいいでしょ」
「わっ、ホントに!? ホント!?」
感情を抑えた自分の言葉で喜ぶ息子を見て、全身、特にへその下辺りから母性本能が募った。
逆説的だけれど、タブーなお願いだからこそ母親である自分が手を引いて叶えてやらないといけないと思った。そして子供の頃に怪我をしたチンチンを男にしてやりたいと思った。
黄金色に輝く寂れた町を、どこにでもいる普通の親子が歩いていく。
セックスをしようかどうしようか、そんな会話を繰り広げる親子である。好きだとか愛してるとか、そんな浮ついた言葉はない。
「やり方わかるかな」
「教えてあげるって」
「う、うん」
だが二人はしっかりとした親子の絆で約束したのだった。
13.
それからはドキドキの毎日だった。
頭が浮かれて集中力も薄れ、日課の予習も疎かになるほどだった。
嬉し恥ずかし初体験である。周りのみんながマダのことを出来ちゃうのである。射精の意味が詰まった行為を出来ちゃうのである! お母さん相手にだけど。
ということは女のあそこも見れちゃうということである。悠太は、性行為そのものよりもまずは女体、具体的には女性器に対しての羨望を募らせた。
女の、女たる場所を見たい。
それが母のものだと考えると気分の悪さを感じなくもなかったが、チ○コと対になるもの、大人のソレを見たい。人体の秘密を知りたいという欲求はなにより直情的だった。
こうなると悠太の内面にも明確な変化が生じた。
この年頃の男の子にとって目の上のたんこぶである怖いお母さん。その中年女性がもの凄く魅力的に映るようになったのである。
例えばお風呂から音が聞こえるだけで。スウェットを盛り上げる胸を見るだけで。重そうなお尻を見るだけで。少し前まではお母さん、それだけでしかなかったおばさんにドキドキするのだ。
もちろん母のスタイルは同い年の女子とは良い意味でも悪い意味でも違う。でも、それはこの歳の男子じゃ決して手の届かない大人の体――そう思えば、逆に優越感を覚えさせてくれた。
そして魅力を感じ出すと次は嫉妬を覚え始めた。
夜寝る前になると「もしかしてお父さんと……」とか「会社で知らないおっさんと仲良く……」とか考えて焦燥感混じりのドンヨリとした気分になるアレである。エディプスコンプレックスであろうか。
とはいえ、とにかく日々のワクワク度合いは凄かった。
学校での嫌なことなんかすぐに吹っ飛び、生きる活力を得たような気分になった。
敏感で忙しい年頃なのである。
しかし肝心の母からはなかなかお誘いが掛からなかった。
だけど父との兼ね合いやら場所的な問題やら色んな障害があるのは分かっていたから、性急に求めたりはしなかった。
待たされても不安にならなかったのは、やっぱりそれがお母さんだったからだ。
一応、告白をした日の深夜に母は部屋へ訪ねてきてくれた。
悠太としては「言ったその日に初体験!?」とチ○コ込みで緊張したのだが、久しぶりにオナニーの手伝いをしに来てくれただけだった。
その時、「色々あるから待ってて」と母は言った。
その色々をそれとなく聞くと、それには日時の調整以外に女性のヘルス的な意味合いがあるらしく、「子供は知らなくていい」のだそうだったが、それでもしつこく聞くと「初めてで着けさせるわけにはいかないから」との答えだった。
射精はナマで、中で敢行させるのだそうだ。フェラチオ中の母は、それが当たり前だからというように言ってのけた。
出しても良い、ではなく、出させてやる。
もちろん悠太からすれば異論などは無かったが、しかし結果というものがあることを考えると、やはりセックスという行為は凄いことなんだという畏怖を感じたのも事実だった。
でもでも相手は大人中の大人、お母さん。任せっきりにしておけばいいのだ。
……ホントに?
その後は数日おきに気遣いの言葉を掛けてくれた。
「アレだけどもうちょっと待って。ね」「ごめん、もうちょっと」「んもう。早くお父さん…(なにやら聞こえない父への愚痴)…ねえ?」
悠太よりも焦っているかのような素振りから伝わるのは、「絶対にお母さんがやらせてあげるから」という押し付けに似た強い意志。
しかし、それに対する悠太は、時間が経てば経つほど、期待すればするほど、してしまったらそれで終わりじゃん……? という寂しさを覚えることも多くなっていた。
まったくめんどくさい年頃なのである。
14.
それから一ヶ月ほどが過ぎたある日。
「あー、もうすぐ卒業だよ。ダルいなぁ」
悠太と幼馴染みの和真は、一学年上で同じく幼馴染みの隼人と学校で会い、休み時間中に話をしていた。
卒業間近の隼人は寂しさが募るのか、悠太達と会うたびに高校生になることが嫌だとこぼす。
「てか隼人くん、その前に受験があるじゃん」
「そうなんだよな。また帰ったら勉強だよ」
「隼人くんどこ受験するんだっけ――」「俺は一応――」「ああ、あそこの制服いいよね。女子のが――」
溜息混じりのたわいのない会話である。
「あっ、そうだ。隼人くんちのフランソワ、どうだった?」
悠太がふと思い出して隼人に聞いた。結衣告白時の騒動は三人の間ではもう単なる笑い話になっている。
ちなみにフランソワとは隼人家のメス猫のことで、出産が近づいていたのだ。
「あぁ……生まれたよ」
また溜息を吐きながら隼人は答えた。
「そか。良かったじゃん。フランソワは無事?」「生まれたんだぁ。何匹?」
「四匹」
「いいなぁ、子猫可愛いよねぇ」
「まあなぁ……」
だが明らかに嬉しそうではない隼人に理由を問うと、
「もらってくれる家探さんといかんし、そうなるとフランソワは落ち込むし、一匹か二匹はウチで飼うって言ってんだけど猫は早く死んだりもするしなぁ……。オヤジもそれで凄いショック受けるクセに、すぐまた飼いたがるし」
と言う。
気持ちは分かる悠太はしんみりと頷いた。
「ああ、分かる分かる……。お父さん猫好きだもんね」
「……いろいろ気を付けてても、どっかでオス猫に捕まっちまうんだよな」
「それって、やられちゃうってこと?」
幼馴染みの和真はそう聞いて「ねえ、そいえばさ」と続けた。
「猫とか犬って一回やられたら絶対妊娠しちゃうものなのかな」
「交尾したら大体そうなんじゃね?」
よく分からんけど、と隼人は答えた。
「じゃあ人間は交尾したら?」
「そりゃお前……」
こうやって大好きな話題への突入である。三人は顔を寄せ合って続けた。
「なんか保健体育で習ったんだけど、出来る日と出来ない日があるって!」
「生理ってのが関係あるんだってね」
「そうそう、体育休むヤツな」
三人はニヤニヤ笑う。
「やるときは絶対ゴム着けろってしつこいほど言ってたよな」
「でも、100%の避妊って無いらしいじゃん」
「らしいな」
悠太はゴクリと唾を飲み込んだ。
「コンドーム使っても何%だかの確率で妊娠するとか教科書に載ってた」
「うん。他にも方法があったよね。ペッサリーとかピルとか。見た? 色々あってなんかスゴかった」
「AVとかでやってる外に出すってのは全然避妊にならないらしいな」
「だってね」
「ふぅん……」
(じゃあ、お母さんが言ってた中に出すってのは……?)
避妊率何%なのだろう。そう考えた悠太は、それを許す母久美子の女性的な大きさをまた実感する一方、やはり心配になった。
年がかなりいってようが母も女性なのである。なのに精子を出させようとしてるのである。
子宮に。そう、中には子宮があるのだ!
「そう言えば、排卵日? とかなんか言ってたな」
「なんか関係あるんだってね。難しいよね」
たまごとか!
なんだかリアルな話である。
「でもさ、子供を産むために変化するってなんかエロイよね、女って」
「ほんとだよな」
二人、それに悠太は、周りにいる成長途上の女子中学生を見ながら頷き合った。
「てゆうか生理とか避妊とか妊娠とか、女って大変だよね」
「だから女の方がしっかりしてたりすんだよ。意外と」
悠太は頷きながらまた唾を飲み込んだ。
15.
「おっすー」
馴染みのある声に振り返ると、制服の女子高生がこちらに駆けてくるところだった。
「オッスー。あれ、チャリは?」
「パンクしちゃって。はぁ、疲れるわ、もぉ」
その女子高生、幼馴染みの結衣は悠太に追いつくと、大げさに膝を抱えて息を整えて見せた。
「そっか。大変だね」
「うん。ホント大変。足攣りそう」
「大げさな」
膝上20cmのスカートの上から太ももを擦る結衣を、笑いながら悠太は眺める。当然ながら走ってくる時のパタパタはためくスカート、そして覗いた太ももを見逃してはいない。敏感で目ざとい年頃である。
二人とも今が学校帰りだ。
「手はもう大丈夫?」
「うん。まだ握力は戻りきってないけどね。ほとんど治ったよ」
「そっか。力まだなんだ。でも良かった」
まるで自分の事のように言ってくれる結衣に対し、悠太はちょっとはにかんで頷いた。
(あぁ、そういえばなんか久しぶりだなあ、結衣と話すの。色々あったからなぁ……)
二人はいつものように身の回りのことなどを話しながら帰り道を同じくした。
やはり結衣は可愛く、しょうもないことを話しているだけでも悠太の気持ちはウキウキとしてくる。
二つ年上の高校生、めっきりと大人びてきた十六歳である。
しかし、ほんの少し前と比べて、自分が受ける印象が違っている事にも気付いた。
「美和ちゃんってのがいてね、その子がぁ……」
「うんうん」
「またダイエットするって言っててね、それで……」
陽気で明るく、どんな話でも合わせてくれ、趣味も合う。黒髪のおかっぱ、健康的なぶっとい足を持ったお姉さんである。
しかし――。
「あたしらみんな無理って言ってるんだけどね……」
しかし、いざ初体験が約束された状況で結衣をセックスと結びつけてみると、どうも想像ができないのである。
性と結びつかないと言えばいいのか、「まだ無理」という感がするのだ。高校生と言えばもう早くもない年代。だけど、あまりにも結衣とは近すぎるせいか、まだ同年代の子供同士という意識が大きいのである。
この前隼人達と話した女のメカニズム的な事なんてとんでもない。結衣はまだまだ子供!
その一方で、母は結びつくのである。今や母親だからこそ性やセックスと結びつく気までする。これは普通の感覚なら逆だろうと思うのだが、今の悠太はそう思うのである。
思えば不思議な話だった。
「でね、でね……」
「あ、そだ、結衣。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「んー?」
悠太は改まって聞いてみた。
「結衣ってカレシ出来た?」
「おーっと。それはまたいきなりだね、悠太クン」
「いやー、高校入って大分経つし、どうなのかなーと思って。出来た?」
「えー、そういうのはまだ――」
「出来た?」
「まだって言ってんでしょが」
脇腹にパンチを入れられケラケラと笑った悠太は、以前感じていたモヤモヤが少なくなっていることに気付いた。
(そうだよね、だから隼人くん告白したんだもんね。当たり前のこと聞いちゃった)
こうして幼馴染みは、無駄に長い前振りだよねと話しながら見慣れた路地を家路に就いたのだった。
16.
「あれ、どっか行ってたの」
悠太が外出から戻って玄関に入ったとき、ちょうど母が仕事から帰ってきた。
「うん。ちょっと本買いに」
「そ」
手には長ネギが覗いた買い物袋。疲れてるだろうに、帰ってきて早々に夕食の準備だ。
足早に手を洗った悠太は、玄関でコートを脱ぐ母の後ろ姿を見つめた。
「なに?」
「あ、いや。お母さんって凄いんだなって思ってたとこ」
「なによそれ」
照れたのか、コートを脱いだ母は顔を背ける。
「あ、そだ、お母さん。アレ……まだ焦らなくていいから。任せるから。うん、ホント」
「……アレ?」
そこで久美子は、階段を登ろうとする悠太を呼び止めた。
「そうだ、悠太。今日しようと思うけど」
「ん?」
「今日」
「ん?」
階段の途中で悠太は考える。
「なにを?」
「だから、アレ!」
「……えっ、今日!?」
振り向きざまに思わず段を踏み外しそうになった。
「うん。お父さん今日はすごく遅くなるらしくて、雪が降るかも知れないから近くのホテル泊まるって。……あと、時期もいいし」
「そ、そっか。そう。そうなんだ? ふーん。へー、そう?」
油断して余裕までこいてたところ突如のセックス通達である。当然ながら心臓は飛び出しそうになる。
「そ、そしたら今日はうち、二人だけ?」
「そりゃあそうよ。今日は嫌?」
悠太は首を振った。
「じゃあご飯できたらすぐ降りてくんのよ」
「ほ、ホントにいいの? して……」
「うん。させたげる」
そして仕事帰りの母は、ライトブラウンの髪をなびかせて台所に消えていく。
短いやり取りだったけど、「アンタにはさせたげるから」そんな気持ちがダイレクトに伝わってくる声色だった。
(うー、とうとう……!!)
嬉しいやら緊張するやらでその場から動けなくなった中学二年生は、やがて下半身の岬にある灯台が急速な尿意を伝えているのを感じ、慌ててトイレへ駆け込んだのである。
17.
寒い寒い真冬の夜十時。コンコンと部屋のドアが鳴る。
「は、はーい」
部屋の主が返事をすると、ゆっくりとドアが開いて間も無く閉まった。
「……寒っ」
手をすり合わせながら入って来た母久美子は部屋の中央で身を縮めた。いつものピンクのパジャマ姿、髪は結わずに下ろしている。
一方、その息子である悠太は学習机の椅子に座り、たまった唾を飲み込むのに苦労していた。
ここは我が家。
ご飯、テレビ、お風呂のあと。
なんという日常の延長線だろう。
とうとう初体験である。合体である。この人と……。
「勉強してたの」
「ん? あ、いや、ううん」
母に言われ、慌てて悠太は椅子から立ち上がった。
なぜ約束の時間に机で座っていたのか覚えていない。というか、夜ご飯に何を食べたのかも思い出せない。
……ど、どうすればいいんだろう……。
悠太の頭の中ではその言葉ばかりがリフレインしていた。
二人が突っ立った部屋。
母親は、息子と目を合わせずに部屋の中を眺めたりしている。その母からは心地好い石鹸の香りが漂ってくる。
自分からは感じないのに、なぜ他人の石鹸の香りはこんなに良い匂いと思うのだろう。
改めてそんな一人の女性を目の前にすると、やはり中学二年生にとっては手に余りそうなほど大きな存在に感じられる。しかも相手はでかいでかい、実の母なのである。
「……じゃあ脱ごうか。悠太も脱いで」
タイミングが掴めない、どうインしていいか分からない空気の中で母が口火を切った。
悠太は震えながら「うん」と頷く。
目の前で母がパジャマのボタンを外し始める。三つ目のボタンが外れた時に隙間が覗け、ブラジャーをしていないことが分かった。
裸がすぐそこである。当然である。脱がなきゃ出来ないのだから。
悠太はまた震えながら口を開いた。
「お、お母さん」
「ん」
「おしっこ」
「行っといで」
どうしても尿意が襲うのである。
だがそこは母親、子供のトイレ関係への指示は優先かつ迅速だ。トイレへ向かおうとドアを開けた悠太が一瞬振り返ると、母は上を脱ぎ終わってズボンに手を掛けていた。
(とうとう……うー、とうとう!)
逃げるように部屋を出て、母に剥いてもらったチンチンで放尿して、真冬の寒さにぶるっと一振り。窓から外の様子は窺えないが、もしかしたら雪が降り始めているのかも知れない。
「うー、さぶい……」
呟きながら足早に部屋へ戻ると電気が一つ落とされていて、母はベッドの上で横向きになり、掛け布団の中へ足先だけを入れて待っていた。
乳房は丸出し。そしてパジャマのズボンも脱いでいる。あるのは脚の付け根を覆うローライズなベージュの布だけ。いわゆるパンツだけ。
「電気消したきた」
「あっ? ……あ、いや、消したよ」
「緊張してるの?」
「ん……うん」
悠太は裸の大人を前にして素直に頷いた。
「おいで」
掛け布団を足元から手繰り寄せた母は、上になった手を大きく開いて悠太を手招きした。
その胸の中に導き入れるような姿に一瞬見とれた悠太は、怖ず怖ずと「脱いで?」と聞いた。
「うん。脱いじゃいな」
「お母さんは?」
「お母さんも脱ぐから」
それはすなわちパンツということである。
「わ、分かった。チンチンも出す?」
「それ出さなきゃ意味ない」
言われるままパジャマとパンツを脱ぎ捨てた悠太は、飛び込むようにベッドへと潜った。
自分の布団なのに他人の敷地のような感覚。温かくてちと小っ恥ずかしい、母の胸元である。
「もっとこっちおいで」
もともと大きくはないベッドなので密着感は強かったが、更に身体を寄せると鼻と鼻が触れ合うくらいになった。表面温度が交わり合ってお互いの体を温める。
悠太は、裸で身を寄せ合う感触を初めて味わいながら、布団の中で母の体に対し、他人ではないという親密感を抱いた。そしてそれ故の『触れがたさ』も肌で感じた。
やっぱり近すぎるのだ。磁石で言えば同極なのだ。
だが、ほんのりメイクされた母の顔は、同じように見えて今日は違う。セックスする相手。ここに来て躊躇ってる場合じゃない。
「……お母さん、おっぱい触っていい?」
「うん」
二人だけのベッドの中で、悠太はボリュームのある乳房に手を伸ばした。
人差し指と中指の間にコリッとした乳首を挟んで、ポムッと揉む。
「キャッ! 冷たっ。ちょっと!」
母は甲高い悲鳴を上げた。
そうなのである。なぜか手が猛烈に冷たかったので温めて欲しかったのだ。
「なんかね、冷たいの」
冷えているのは手だけではなかった。
今日の主役であるはずの下半身のドリルも両横綱(菓子)を小さくした程度におさまり、まだ冬眠したままだった。
子供部屋は寒いのである。
すると母は「もう、貸してみ」と悠太の左手を持ち、それを両手で挟んで火をおこすように擦り合わせ、それから自分の胸にあてがった。
温かい。柔らかい。
そして補完するように背中に手が回ると、悠太の体は人肌の温もりで包み込まれた。
ほんの少しだけ汗を感じる、うっとりするような、雪山だとヤバそうな温もりだ。
(ちょっと緊張するけど……なんか、うん……いいな……)
そんな温められる卵の状態でどれくらい経ってからだろうか、悠太の素っ裸の腰を撫でながら母は言った。
「……じゃあ、脱がないと」
悠太は一転、緊張を高める。
危うく寝るところだったが、とうとうである。とうとう下を……パンツ脱いじゃうということだ。出ちゃうのである、オマ○コが。
「う、うん」
悠太は消えかかりそうな声で頷いた。
もっとも、脱ぐこと自体は久美子が布団の中で身を丸めてスルスルッと脱ぎ、ベージュのそれを敷き布団の下に押し込んでおしまいだったのだが、しかし!
全裸の女性と向き合った。それは頭が痛くなるほど興奮するシチュエーションだった。
とうとう裸でコンタクトを取るのである。
「み、見てもいい? お母さん、裸」
「……うん」
衝動を抑えられず聞くと、母は目の前で頷いてくれた。布団を足元までめくる間、「綺麗じゃないけど」などと何やら言い訳めいて言っていたが、そんなことは耳に入らない。
「わぁ……」
母の体を見下ろして悠太はドキンとした。目茶苦茶ドキンとした。
母は顔を横に背けている。そのすぐ下にある丸出しのオッパイは両側に垂れ、重そうに球体が歪んでいる。そこから微妙にくびれたウエストライン、丸々とした腰回り、そして逞しい太もも。
一番目を吸い付けられる脚の付け根にはいわゆるヘアがこんもりと生え揃い、その黒さに目つぶしされたような感覚を覚える。
裸である。エッチな本なんかで見るヘアヌードと同じシルエットが今、目の前にある。ナマで裸を見た男になったのだ!
「見てもいい!? アソコ!」
ここまで来たら我慢できず、悠太は間髪入れずに聞いた。ねだればいいんだ、お母さんなんだからと。
「ん、まあ見たいなら。……でも昔見たでしょ」
見てない見てない。
「見てた。お風呂で」
いや、今日はそんなレベルじゃないじゃん!
震えながら悠太は細いようで太い母の脚の間に入り、何度か大きく呼吸をした。そして、まるで未開の地を探索するようにジワジワと顔を近づけていく。母の開脚により、視界は開け――。
「……」
現れたのは長い亀裂。探検隊は実在したクレヴァスの前で息を飲んだ。
(わぁ……)
悠太は瞬きも忘れてそこに見入った。
ヘアの下には当然ながらチ○コは無く、あるのはくすんだ肉の割れ目。とうとうその形を目にしたのである。オマ○コを見たのである。
正直、第一印象は「あぁ……見ちゃった」であった。
とうとう見たのだ、女を、オマ○コを。
だが、それ以上にお母さんのそこを見てしまったという衝撃の方が大きかった。自分のお母さんを辱めるような局部を見てしまった、という罪悪感が一番に襲ったのである。
親に言われたことがあるだろう。バッグの中とか部屋の引き出しの中とかは絶対に見ちゃいけないと。その究極を見てしまったのだ。だから目を背けなくちゃいけないような、でももっと見たいような、そんな葛藤を抱えた初対面だった。
しかし、いくら心に憚りの心情が芽生えようとも、そこから目を逸らせるものではない。
悠太はためらいを好奇心で跳ね飛ばし、「もっと見ていい? 触っていい?」と聞いてみた。
「ん」
顔を背けたままの母は短くOKを出す。
吸い付くようなもち肌の太ももを押し退け、さらに秘境へ近づく。連れて割れ目も少しずつ中を露わにしていく。
「中見ていい?」
「まあ、ちょっとだけなら」
鼻先が触れるほど近づいて、お風呂のお湯の匂いがするくらい近づいて、両手の親指でそっとクレヴァスを開く。すると幾重かの花弁の向こうに、皮膚をめくったかのような薄ピンクの世界が広がった。
それはまさに女性器の色。図書室で読んだ漫画の「からだのひみつ」、あれのモロ版。
悠太はとうとう人体の行き止まり、内部構造の神秘に触れられた気がした。
「汚いからあんまり見ないのよ」
そんなこと言われても無理である。
凝視したまましばらく茫然自失を彷徨っていた悠太は「んと……お母さん、んと、どこ?」と聞いていた。
といっても何がどこなのか自分でも聞いている意味が判らなかったのだが、母は手を回して「ここ」とだけ言い、割れ目内の下部にあるモワモワとした孔を指し示した。
(これ……ほんとだ……穴だ……)
ここが……全ての根源たる場所……。
悠太は、混乱と興奮のるつぼの中、まるでそのぬめった穴が自分の物であるような、なんだか不思議な感慨を覚えた。
「あ、穴があるよ」
「そりゃあそうよ」
「ちっちゃいんだぁ……」
「生まれたとこ馬鹿にしないの」
馬鹿にしたつもりはないが、そうなのである。女の秘密を知った上に、自分の秘密も知ったのである。出生の秘密というのか、そんな秘所を見ちゃったのである。
今まさにベッドの上で母子の保健体育が行われていた。
呆然としながらも心の整理をつけようとする悠太がふと我に返って視線を上げると、顔を起こした母が少し心配そうに様子を窺っていた。その母の太ももはM字の形にまで開かれ、それは母の日常からは到底考えられないような、はしたない格好だ。
「お母さん……」
悠太は目の前のオマ○コを見ながら放心した声で呼び掛けた。
「なに?」
「おしっこはどこから出るの」
「……」
「オシッコはどこから出るの」
「……」
「おしっこ」
「……」
「おしっこ?」
「……」
「おしっこ??」
「……」
母は強情であった。
だが悠太は当たりを付けといた。試しにその小さな穴をツンツンしてみたらペシッと手を叩かれたから間違いないだろう。
おしっことなるともう一つ連想する場所、なんとなく目に留まった場所もあったのだが、さすがにそれを聞くわけにはいかない。
「……もういいね」
そう言って久美子は太ももを閉じ、息子を脚の間から閉め出した。
心残りを覚えつつ、少しゲッソリした悠太が「すごいね」と単純な感想を述べると、「すごいって、女はみんなこうなのよ。同級生の子たちだってみんな一緒。そりゃ歳とかもあるけど」と母は返した。それには知っとかなきゃいけないのよ、という教育心と、お母さんだけが変なんじゃない、という抗議が籠もっているように聞こえた。
そりゃそうなのだろうが、しかしショックである。このショックは、世の中には男と女が居るという大現実を知ったショックなのだ。
まだ大して時間も経ってないのに、二人の間に小休止の空気が流れた。
母の足元に正座した悠太は、もう腹八分目を越えてゲップが出そうだったのだが、母の視線がチラッと股間へ注がれたのに気付いた。
……いつの間にか立っている。冬眠から目覚め、見事なまでにそそり立っている。亀頭なんて甘食みたいな形になっている!
それを目視した悠太は、もう何度も母に見せた勃起だというのにうら恥ずかしい気分を覚えた。それはどうしてかというと、母の性器を見た結果本能的にこうなったからだ。恥ずかしかったのは、この歳にしてアソコを見せ、息子を勃起させた久美子も同じだった。
ごく自然に久美子の手が悠太の太ももに触れる。
「入れるとこは分かったよね」
「うん」
悠太は唾を飲み込みながら頷いた。
「入れたら後は腰振ったりするんだけど、出来る?」
「分かんない……。うまく振れるかな?」
「それはやってみないと」
久美子は体を起こして正座の格好になり、足首を横に出した女座りをして悠太を誘った。
「おいで。舐めたげる」
「えっ? ……う、うん」
少し乱れた髪にドキンとしつつ、入れ違いに寝転がろうとした悠太だったが、母は「いいから、ここ来て。ここ」と目の前に誘った。そして、片腕を尻に回し、もう片方の手で天井を向いたチ○コを下げて、まるで口同士のように亀頭へとキスをした。
寒さをグッと和らげてくれるような吐息が股間に掛かる。間もなくして薄くグロスの塗られた唇へチ○コが含まれると、あのゾワッした快感が全身を走った。
舐めてるところは見せたがらない母だったのに、仁王立ち体勢での見下ろしフェラである。当然、チンチンが顔に突っ込まれちゃってるとこも、口唇のきつい締め付けも、髪の毛もおっぱいもハの字型に開いた太もももその付け根に生えたおけけも、チ○ポ越しにみーんな見下ろしである。
ちゅぽ……ちゅぽっ……。
そんないやらしい音がするおしゃぶりで体の芯まで温められ、下品なくらい出された舌で竿のサイドに唾を付けられ、寒いため丸まったハリネズミみたいになってたポチ袋も舐められ。
顔を股間に差し込んでまでベロを届かせようとする母を見ていると、まるで自分が偉くなったようだ。
「く、咥えてる、お母さん」
「……ん」
だから? とでも言うような母の長いまつげを見ると、なにより大切に思われていることを切実に感じた。
それに加えてこのフェラは、気持ちよくしてくれるだけじゃなく、セックス前の清めの儀式のようにも思えた。
ここまでしてくれるのは、僕が子供だから……。
そう感じた悠太は、そこで急に心配事を思い出した。この前、隼人たちとしたアノ話である。
悠太はフェラチオをされたまま母に問い掛けた。
「あの、お母さん。あのね」
咥えたままの熟母は、チラッと悠太の顔を仰ぎ見てから、ゆっっっっくりと口を離す。
「なに?」
「コンドームは着けるの? 僕」
「着けない」
「そか」
まるで自分の服装の事のように言い切る母に、思わず悠太は頷いてしまった。
「……いやいや! そうじゃなくてね。着けないとヤバいよね? んと、避妊て言うのしないと」
「いいから」
即却下という風に答えて、母は反り立ったチ○コの裏を舌でなぞる。
「でもね、お母さん。100%の避妊なんてないんだよ。知ってた? 学校で習うんだよ」
「大丈夫だからアンタは心配しない」
まったく聞き耳持ってない。しかし悠太も中学生なりの気遣いがあるのである。
「でも、その、もしお母さんが……なんて事になったらね、その……僕」
「……んもう、頭でっかちな子ねえ」
母は溜息のような声を漏らし、少しだけうな垂れながら続けた。
「大丈夫だから。そのために待たせたんじゃない」
その気怠げで子供は黙って言うこと聞きなという顔貌はまさに子供の頃からのそのまんまの母で、悠太はそのまま押し流されそうになった。セックスをお願いしたとき「着けさせるわけにはいかない」と勝手に決めてたスーツ姿の母を思い出す。
「でも、和真や隼人くんだってマズいって言ってたし……」
本当にしてもいいものなのか分からず、悠太は友達の名前を出した。
すると母は息子の太ももを抱き寄せ、枕元へ押し倒してから顔を寄せた。
「だから、他の子は関係ない。お母さんと悠太のことなんだから。いい?」
「……はぁい」
悠太は同意し、素直に頷いた。
別に出したくなかった訳じゃない。出す所なんて特に意識してなくて、ただお母さんが心配だっただけなのだ。
向かい合って寝そべった体勢で悠太は母の目を見つめた。
「お母さん」
「ん?」
「出来ちゃったらごめんなさい」
直後、母は珍しく噴き出し、「はいはい。分かった。心配なんな、悠太は」とあやすように言った。
「いいからお母さんに出しなね」
「うん」
これで一気に興奮が高まる。
なんというか、おしめをしてもらってのお漏らしというか、母に抱かれた安心感を覚えるような勧告である。
(わーい、お母さんの中に出しちゃお。うん。出しちゃお。僕の精子、中に付けるんだ……なんかすごいや)
息苦しさから解放されたような気分だった。
だが一方で、セックスが目の前に迫ってくると、上手く出来るかという不安も大きくなり始めた。
剥きたての亀頭はパンパン。準備は万端のハズである。しかし母の逞しい太もも、大人の股間と釣り合うだろうか。物理的にも、感覚的にも。
そんな不安を抱えていたのは久美子も同じだった。
母親として、遥か年上の女として、この子を無事導いてあげなくちゃいけない。でも気持ち良くしてあげられるだろうか。この子はまだ子供で、私はもうオバサンなのだ。
誰よりも絆の強い相手だから、上手くいかないことが怖い。
そんな気持ちが伝染したのか、二人は自然と手を重ねる。
それで十分だった。
「……じゃあ、しよっか。悠太」
「……うん」
二人はいつもとあまり変わらぬテンションで頷き合った。
「布団は掛ける?」
「んー、どうしよう。掛けない方がいいかも」
セックスしている姿も見たかった悠太がそう答えると、久美子は「寒いからよく抱き付くのよ」と返した。
「うん!」
(大丈夫。失敗したっていいや。お母さんが上手くさせてくれるし!)
真冬の子供部屋で、とうとうセックスである。
裸出した脚の間に立ち、立派な一個の女性を見下ろすと、悠太はなんだか自分を鏡で見てるような気分だった。
そんな息子を前にして母は大股開きをする。門を露わにする。片側の足が窓に当たっても構わないほどに。
「じゃあ悠太。位置合わせて」
全身を固くしながら、唾液で艶光りしたチ○コの先をさっき見た膣の辺りに向ける。少し開いたお母さんのクレヴァスが濡れてるのを確認! お母さんのエッチ汁確認よし!
「い、入れちゃえばいいんだよね」
「うん。入れて腰振らなきゃダメよ」
「え、振ってお母さん大丈夫?」
「なんでよ。なに言ってんの」
何かしらプライドでも傷つけたのか、この期に及んで「馬鹿?」という風に母は言った。
「じゃあ……入れるね」
「うん。おいで。もし出そうになったら我慢しなくていいから。ね」
母の股の先に座った悠太は、オシッコの穴をドリルと見立てて陰唇にくっつけ、侵入を開始した。
亀頭より大きな口。そこに先っぽが半分ほど埋まったところで一度深呼吸し、ええいママよ! と腰を押す。するとすんなり、思い掛けずすんなりと心地好い締め付けが悠太を捕らえ、中への道を示してくれる。
眼下で己がどんどん消えていく。母のオマ○コに吸い込まれて行く。
悠太は興奮の絶頂で母に覆い被さった。
「そう、全部入れなね」
耳元で響く母の声に従い、悠太は匍匐前進のように腰を突き出す。
チ○ポの根元から先っぽまで感じる柔らかい締め付け、そして体液感。
親子だけの、親子しか知らない筆下ろしが今行われたのだ。
「ああ、悠太……」
感極まったような母の声が響いた。
しばらくそのままの体勢で感触を確かめていると、耳元で「動いてごらん」と優しく言われた。
覆い被さったまま頑張って腰を動かしてみる。
「焦らなくていいから、ゆっくりでいいから」
しかし、どうしても不器用な動きになる。それでも膣壁の摩擦が伝える快感は猛烈で、悠太は細かな律動をムキになって繰り返した。
「落ち着いて、ね」
「え、止まった方がいい?」
「うぅん。やっぱりそのままでいい」
まだ始まって間もないというのに二人の呼吸は荒くなっていた。声も自然と大きくなる。
「お母さん、僕、ちゃんと出来てる!?」
「うん。大丈夫。……大丈夫」
ヘタだろうと、幼稚であろうと、立派なセックスである。不器用でもちゃんとした『交尾』なのである。久美子はそれを全身で同意してやりたかった。
「気持ちいい?」
母は男を主張する息子に聞いた。
「う、うん。すごい気持ちいい!」
息子は女を主張する母に答えた。
喘ぎ声もよがり声も上げたりはしないが、久美子も母親だけが味わえる喜びに酔いしれた。
その時、勢いがつきすぎたチ○ポがスルっと膣から抜け出た。
「あ!」「あっ!」
悠太は慌てて手を伸ばし、縮れたヘアの下、する前よりずっとヌメっているクレヴァスに勃起を差し込む。
久美子も協力して内股をさらに開く。
息の合った再会を果たした二人は、またセックスを再開する。
「お……お母さん、もうすぐ出るよ? 多分、すぐ……!」
「うん、出しなね、悠太!」
短時間かも知れないが十分である。久美子は、身体を離したために外していた両手を悠太の背中に回した。
悠太のラストスパートが始まる。
「あっ……出そう……出るっ、イクっ! あっ!!」
「うん……悠太っ」
そして爆発が始まった。
ビクンッ、ビクンッ、ビクンッ。
若々しすぎるポンプが勢いよく樹液をぶちまける。母の体内に、無防備な子宮口に、自分が元いた場所に。何度も、何度も。
金縛りにあったように静止した二人は、その至高の感覚をただ黙って共有したのだった。
18.
「終わった……出したぁ……お母さん、出したぁ」
チ○コを母から引き抜き、ゴールした快感に打ち震える悠太は、感動しながら肩を揺らして荒い息を吐いた。
「うん。出したね」
寝たままの母は、はしたなく脚を開いて頷いた。
「……もう、お母さん、アンタ離れるんじゃないかと思って」
それはイク時に、ということだろうか。心配させて、と言うように口を尖らせた母は、すぐに安心した表情を浮かべて目尻を下げた。
交わっていた場所に目を遣ると、年季の入った母の性器からはドクドクと体液がこぼれ落ちている。まるでこれが女の仕事というみたいに、お母さんはおもらししている。
僕があれをした。やったんだ。やっちゃったんだ。
「童貞じゃなくなっちゃった。……ウヒ、ウヒヒ。どうしよう。イヒヒ」
「そう。ちゃんとしたんだから。自信持つのよ」
ようやく脚を閉じて起き上がった母は、乱れた髪を掻き上げながら悠太に近づき、不意にほっぺへキスをした。
「わ、こちょばい」
「黙る」
続けて何度も、ほっぺの奥、耳元にも。
悠太からしたら恥ずかしいばかりだったが、その間負けじとおっぱいをW揉みしたりする。
セックスした女性からの熱烈歓迎ムード。
悠太はそんな久美子が、今や母ではなく一人の女として見えるようになっていた。久美子の方も、童貞を卒業した息子は、もう一人の男だと認識するに至っていた。
かというと、そんなことはなく!!!!
悠太は今、中出しした熟女を困るくらい『お母さん』と思えてしまっていた。久美子にしても、筆下ろしをしてやった悠太は『自分の息子』だという認識を更に強くしていた。
相姦を果たして母子を再認識する。なんという不思議な感覚だろう。無論、二人に後悔など微塵も無い。
こうして初体験は終わった。
ついに終わってしまった。セックスをさせてもらった。
となると感動する反面、悠太は、セックス前の期間に感じていた『やっちゃったらそれで終わり』という寂しさにジワジワと心を浸食された。
「拭かないと」
気付くと母がティッシュを持ってチ○コへと手を伸ばしている。
それよりもお母さんのアソコ拭かなきゃじゃ? と思いつつ、悠太は両手を背についてヌレヌレの茸を任せる。
「あ〜あ……終わっちゃった」
呟きがこぼれた。
もちろん、こんな寂しさをそのまま口に出せるはずがない。
「うん?」
「……やっちゃったなぁって」
「アンタ、したくなかったの?」
怪訝そうな顔をする母に、悠太は「あ、うぅん」と首を振った。
「違う。んとね、んと……終わったなあって」
「なに、後悔してるの」
別に怒ったりするわけではなく母は聞いてくる。
「違っ……えと、えと、もう出来ないんだなぁって……うん。しちゃったから……そう思って」
すると母は、優しくチ○ポを拭きながらごくごく平静に答えた。
「したいなら、もう一回する?」
「ええっ!?」
悠太は驚いた。
ゴールするまで、すなわち一回だけ手を携えて走ってくれるだけと思っていたからだ。
「い、いいの? もう一回なんて」
「いいよ。どうして?」
小首を傾げて聞き返す母に悠太は思わず抱き付きそうになった。この気怠げなローテンションがこんなに心強く思えたことはない。
もう一度セックス。お母さんとセックス。したい。絶対したい!
「いや、一度やっちゃったらもうダメかなあと思って、やっぱり」
「まあね。本当はいけないんだろうけど、でもいい。……ただし」
あの押し付けがましい、いつもの声で母は言う。
「今回のことは絶対内緒にすること。いい? もしバレたら新聞載るから。いい?」
なんか例えが古いなと思いつつ悠太は何度も頷いた。
となると復活を待って二回戦である。
また緊張を高めつつ、先ほどを思い出してシミュレーションする悠太は、一度お風呂に行ってくると告げた母に確認した。
「また出せばいいから」
「中に、いいの?」
「うん」
すんなりである。二発目である。なんと懐の深い母の体だろう。
加えて「またさっきと同じようにやればいいよね?」と確認すると、母は「他の体勢でしてみてもいいけど」と提案してきた。
「体勢?」
「色々あるでしょ」
だがそれ以上は言い過ぎだと思ったのか、逸らすように黙る。
「……後ろからとか?」
怖ず怖ずと悠太が言ってみると、母は「まあ、それが一般的かな」と答えた。
「じゃあそれで。いい?」
「分かった。……じゃあお風呂行くから。アンタも入る?」
「え! 髪洗う?」
「なんでまた洗うの。ご飯のあと洗ったんでしょ」
「じゃあ行こうかな……」
「じゃあおいで」
素っ裸のまま部屋を出ようとした時、先導するママは立ち止まって釘を刺した。
「お風呂場ではしないからね。アンタ風邪ひくから」
「ひかないし。僕強いし!」
こうして悠太は母の尻に導かれるようにして真冬の廊下へ出たのだった。
19.
さて、その二回戦を書くのが決してめんどくさいわけではないが、今回はケツを中心にカッコでお送りしよう!
(うわ、お尻でっか! バックになるとケツってこんなに大きく見えるんだなぁ)
(四つんばい、恥ずかしくないかな? お母さん、普通になってくれたけど……)
(すべすべでいい触り心地。ハート形なのがエッチだなあ……)
(肛門見ちゃった! お母さんのお尻の穴見ちゃった! だって丸見えなんだもん)
(チ○コ入ってる……。僕のちゃんと入ってる。はまってる!)
(でも、やっぱり全然うまく突けないよぉ……。すっごいお尻は安定感あるのに……)
(上手にパンパンして、AVみたいに声出させて、お母さん気持ちよくさせたげたいのにな……)
(でもでも、めちゃんこ興奮する。気持ちいいっ……!)
「イク。イクね!」
「うん。そのままよ」
(お、お母さん、そんなにお尻引っ付けてこなくても! 出してるから、出してるから。気持ちいいよっ……!!)
と、こんな感じの二回戦だったのである。
そして夜が明けた――。
20.
悠太が寒い手をこすって台所に入ると、味噌の香りと湯気が出迎えてくれた。
「おはよ」
「あ。起きてきたの?」
紫のエプロンを着けた母が手を止めてこちらを見た。昨日の今日なので恥ずかしさは否めず、悠太はハニかんでテーブルの椅子に座る。
「ちょっと待って。すぐ出来るから。ここで食べるの」
「うん。ここでもいいかな」
「ん」
満足気に母は頷く。
悠太は、膝上スカートを盛り上げるお尻を見つめた。それは、昨日自分のものとした尻である。
「お母さん」
「んー?」
「あのねえ」
「ん?」
「あ、やっぱ後でいいや」
「なによそれ」
ご飯がテーブルに届くのを待つ。
そしてようやく手に持っていた物を母の前に差し出す。
「お母さん、これ忘れてた」
それはベージュのショーツ。昨夜、母が敷き布団の中に突っ込んだものである。
「ちょ、ちょっと!」
らしくなく動揺した母はそれを奪い去ろうとしたが、悠太は間一髪後ろ手に隠すのに成功した。
「ちょっと、こら!」
「エヘヘ」
テーブルを挟んでの追いかけっこである。中学生は、母と対角になるポジションを崩さずに要求を突き付けた。
「返すからチンチン舐めてくれる?」
「馬鹿。もう、返しな!」
そこで悠太は大人しくショーツを返した。元々ちょっとした照れ隠しのおちゃらけである。
そんな悠太の手から下着を引ったくった母は、ブツブツと言いながら寝室に消えた。
もっとも、もうしっかり検閲されたローライズな薄布である。やっぱりなんというか、繊維の編み方というか、そんなのが違うね!
心地好い下半身の痺れを感じながら悠太は味噌汁をすすった。
「ほら」
「……ん?」
ふと気付くと、戻ってきた母がテーブルの側に立って椅子を引いている。
「立って」
「なに?」
「ほら、立って。してあげるから」
よく分からず悠太が椅子から降りると、手慣れた手つきでベルトが解かれ、ブリーフとズボンがズドンと下ろされ、母は台所の床に膝をつき、オシッコを済ませたばかりの半立ちチ○ポはメイク前の唇に吸い込まれる。
「ああっ、ごめんなさい、お母さん……」
怒らせてムキにさせてしまったと思った悠太は、たじろぎながら謝った。
だが久美子は答えず、頬を窄めて朝起きの息子をマッサージする。
「あ、あの……」
「言いなね」
「……ぇ?」
「もし、して欲しかったら言いなね」
そのまるで『学校でいる用具が無くなったら言うのよ』と教えて聞かせるようなセリフに悠太はびっくりした。
「いいの?」
「うん」
「やった!」
「その代わり、誰も居ない時よ」
母親の年齢ほどの母親を股ぐらに従え、中学二年生は喜んだ。
普段のエプロンがとんでもなくエロく見える。
つい調子に乗って両手で頭をホールドしてみるが、以前と違って怒られない。髪の中に手を差し込んで頭蓋骨の形を確かめてみても大丈夫である。
「……して欲しかったの?」
一瞬口を離し、囁きかけるように母が聞いてきた。
「うん」
素直に頷く。すると母もほんのりと微笑む。
なんだかはっきりと違う朝なのである。
「お母さん、ほっぺ凹んでるのがなんかエッチい」
しゃぶられている悠太がそう言うと、エプロン姿の母は上目遣いでチ○ポから口を離し、オシッコが出る穴一ミリの距離で答えた。
「そりゃ吸ってるんだから当たり前じゃない」
「え、そうなの?」
「そうよ。気持ち良くないの?」
「あ、いや、凄い気持ちいい」
(そうか! 舐めるだけじゃなくて吸ってたのか。知らなかった。任せきりだから)
母が口内で行っていたテクを知り、また一つ賢くなった気がした悠太は、快感の中で思わず口にしてしまった。
「お母さん、やっぱコロとは違うね」
……しまった! またコロの話出しちゃった!
しかし、チ○ポ型に拡がった母の唇は特に怒った言葉を放つわけでもなく、何ストロークかしてからふっと口を離し、「……同じでしょ」とつぶやいただけだった。
(同じなの? そうなの……?)
意外な言葉に戸惑う悠太は、まるで排泄を促される子犬のように亀頭を舐められた。
そんな新しい朝である。
21.
ようやく暖かい日が混じり始めた春休みの土曜。
悠太家には二人の女性が訪れていた。
近所に住む幼馴染み結衣と、そのお母さん。
日帰り旅行で買ってきたという有名なケーキ屋さんのスウィーツを手に来てくれたのだ。
迎えたのは悠太と母久美子である。
「美味しい、悠太クン?」
「うん! ウマウマ!」
「そう」
結衣の母早苗は満面の笑みを浮かべた。飾りっ気のない久美子と比べ、いつ会ってもお洒落なおばさんである。
「ほら、またこぼしてる」
「……あ、うん」
横から母が手を伸ばしてくるが、結衣がニヤニヤ見ている手前、決まりが悪い。
落ちたスポンジを拾いながら久美子は早苗に礼を言う。
「ほんといつもありがとうね、早苗さん」
「うぅん、悠太クンにケーキ食べてもらうのが楽しみで楽しみで、いっつも買ってくるのよ。ね、結衣?」
「知ーらない」
そんなやり取りを聞きながら悠太は、ケーキに乗ってる人形を食べようかどうしようかを悩んでいた。
ああいう人形や、字が書かれた看板みたいなチョコは食べて良いものなのか毎回考える。食べてもなんか違和感あるし。
「あっ、そういえば悠太クン」
「ん?」
「彼女出来た?」
「まだー」「まだー」
同じくケーキを頬張っていた結衣がなぜかハモった。
「そんな、この子に彼女なんかまだ早いって」
母も横から口を挟む。
「なんでー? モテるのに」
「モテないよぉ。モテない。この子はモテない。お兄さんの方はともかく」
問答無用気味にそんなに否定されると、いくら悠太でも面白くないのである。
「そんなことないよね、結衣? 結衣だって悠太クンのこと好きだもんね」
「ちょーっと! なに適当に言うの!」
「ウフフ」
そんな感じで遊ばれる悠太は、ケーキの人形をフォークの上に乗せて一口にパクッとした。
うん。やっぱり変な味だ。
「でも将来は間違いなくモテるわよぉ。保証したげる」
「それはないから。まだまだ子供だし、まずは朝一人で起きれるようにならないと」
そう言って久美子が悠太の頭をポンポンと叩くと、大人二人、そして結衣は笑った。
それからは悠太をほっぽり出して女三人の雑談タイムである。
まったく、もうすぐ中学三年生になろうというのに、未だ自分だけ子供扱い。ケーキは美味しいけど、ちょっとムカついちゃうのである。
22.
結衣親子が帰ったリビングで、悠太はむくれながらテレビを見ていた。
そこへ洗濯物を取り込んだ母が戻ってくる。
当然ながら顔を背けて無視である。
「……どうしたのよ?」
しばらく無言で通したが、
「……だってさ、お母さんさ、あんなに馬鹿にしてさ……」
とつぶやく。
お母さんとはもう何度もいたした悠太くん、プライドが育っちゃったのである。
洗濯物を床に広げた久美子はしばらくそれを畳んでいたが、やがて立ち上がって悠太の側に座った。
「はいはい。舐めればいい?」
「……」
なんと軽々しい言い方であろうか! だが、数秒我慢しただけで悠太は陥落する。
「はい、じゃあ出しなね」
「いっぱい舐めさせてやるから」
強がって言った悠太にしばらく黙っていた母は、やがて薄笑いを浮かべて答えた。
「なに言ってんだか。5分もあれば落ち着かせられるのに」
それは聞き捨てならないセリフである。5分ぽっちでイカせるということか!
「15分の間違いでしょ?」
「馬鹿ねえ、悠太なんて本気出したら3〜4分くらいじゃない、いつも」
ムッカー! である。
「じゃ、じゃあ勝負しようよ! 5分もつかもたないか!」
しかし、そうは言ったものの、時間なんか計ったことのない悠太は少々不安であった。何より母のフェラチオは上手く、気持ちよく、だから大好きなのである。
「はいはい。勝負ね」
久美子はいなすような余裕で頷いた。
「も、もし5分以上もったら……顔に掛けていい? いいよね!?」
「いいよ、もしももったらね。持つわけないのに……」
顔射の経験はまだない悠太である。
グレーのゆったりとしたチュニックを着た久美子は、それを脱ぎもせずに受けて立った。
(か、掛けてやるんだからな!? 顔に!)
昼下がりのリビングで濃厚な口淫が始まる。
悠太がテレビの前に立ち、母が座って舐める体勢だ。
愛情と年季の籠もったお母さんのフェラチオ。そりゃあ気持ちよかった。めちゃくちゃ気持ちよかった。しかも早く出しちゃダメとなると逆に催しちゃうのだ。
だが、悠太は激しい吸引をなんとか5分凌ぎきった。
「ほ、ほら、どお? もったよ、ほら。時計!」
「……ほんとね。もつんだ」
舌を密着させたまま、見下ろされたまま、母は感心したように大きく頷いた。
誇らしい瞬間だった。
そこからは、
「……うん、スゴい」
「……元気いっぱいじゃない」
「……お母さん間違ってた」
なんて母の誉めそやすセリフに存分に気分を高められ、悠太は初めての顔射を果たしたのだった。
それは髪にまでたくさん掛かるいつもながらの多量の射出で、特段焦るわけでもなく目をつぶってそれを受けきった熟母は、
「全部出した?」
事を確認したあと、
「口に持ってきて」
とチ○コを要求し、それをパピコのように吸ってから顔にべったり白濁液を付けて洗面所に入っていった。
そして洗顔を済ませ、頭にタオルを巻いて戻ってくる。
「お母さん。何か言うことは?」
「……ん。お母さん負けました」
顔をテカらせた母は、溜息を吐きながら子供に謝る。
それを聞いて悠太も謝る。
「ご、ごめんね、やり過ぎたかも……ごめんなさい」
「……もう、馬鹿ね」
スッピンの久美子は我が子を強く抱きしめた。
このフェラは、わざと挑発してわざと負けて、ちょっと拗ねちゃった駄々っ子を立ててやろうという久美子なりの配慮だったのである。
それを知ってか知らずか、顔に掛けて男の子っぽく喜んでた悠太が可愛くてたまらない。
「お母さん、明日またセックスしていーい?」
「うん。お父さんが家出てからね」
そんな二人を洗濯物の清潔な香りが包み込んでいく。
もうすぐ春真っ盛り。
抱き合った親子は、このままずっとお互いが乳離れ出来ないことを願うのだった。