関わってみて初めてわかる、テレビゲーム開発について理解していなかった5つのこと。
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ゲーム関連ニュースサイト『デストラクトイド』で編集者をしていたアンソニー・バーチ氏が、ゲーム会社『ギアボックス・ソフトウェア』に入社し、自分が開発に携わるようになって、初めてわかるようになったことがあるとして、興味深い記事を書いてくれていた。
『デストラクトイド』では、膨大な予算を費やした大作に酷評や、辛辣な批判をしていたそうだ。例えば、『アサシン・クリード』を「ガラクタ」と評し、そ の開発者を「ゲームデザインを解っていない阿呆ども」と躊躇なく罵っていたという。だがそれは、ゲーム開発の何たるかをまったく解っていないが故の無知な 批判だったと、今では後悔しているという。
1. ゲーム開発は想像していたより1000倍も大変
ゲーム開発は想像していたよりもはるかに複雑で大変な作業だった。例えば、キャラクターを作成するとしよう。以前は、1週間かそこらでキャラデザインが終わり、さっとモデリングすれば一丁上がり! こんな風に思っていたが、これは大きな間違いだった。
キャラを一体作るには、数週間かけてそのコンセプトを練り上げる。そしてハイポリのモデリングに移るのだが、これが実に精密に作られる。その出来はゲー ム内ではお目にかかれないほどだ。と言うのも、実際に登場するキャラはこれを基にしたローポリモデルだからだ。だが、これだけではただの3Dの木偶人形で ある。キャラにリグを設定して、アニメーションさせなければならない。
ここまでの話はあくまでサードパーソンゲームでのことだ。ファーストパーソンゲームならプレイヤーキャラの視点を通してプレイすることになる。これまで のモデルをそのまま流用することはできないため、プレイヤー視点での手や腕のモデリングとアニメーションが必要になる。だがこれも、各種の作業や特殊能力 用のモーションなど、際限なく続いて行く。
さらにコードやメモリーの都合での修正やら、ローカライゼーション時の声優が使えないだの、タイトなスケジュールだのと、とにかく問題が山積みだ。
2. ゲーム開発中の90%の期間がバカに見える
Borderlands 2 – Early Prototype of Krieg’s Action Skill
『ボーダーランズ2』ではクリーグというダウンロードキャラを追加した。上の動画はその開発中のクリーグの姿だ。頭もないし、アニメーションもせず、しかも他のキャラのパーツを流用してある。製品版とはほど遠い、バカみたいな姿だ。
これはただ単に可笑しいだけではなく、ゲーム開発を難しくする要因でもある。音声視覚上の情報はゲームの出来を判断するうえで非常に重要なものであるため、未完成バージョンではその品質の評価が困難になるのだ。
『ボーダーランズ』の開発は特に酷かった。知らない人のために説明すると、このゲームには体力が無くなると”Fight for Your Life” 状態に突入し、この間に敵にトドメを刺すと復活できるというシステムがあった。これは本作品の最も面白い機能でもあるのだが、開発段階ではプレイヤーを混 乱させるばかりで、ちっとも面白くなかった。と言うのも、(1)何をすべきか、(2)条件を満たしたのか、(3)条件を満たしたときの結果、を伝える視覚 情報が用意されていなかったからだ。開発者はそんな状態の中、ゲームを面白く仕上げなければならない。
3. 開発者が使う”興奮(excited)”は誇張ではない
以前はプレスリリースなどで開発者がやたらと”興奮(exciting)”という単語を使うことに辟易していた。「今度のパートナーシップには本当に興奮しています」、「新機能を紹介できることに胸が躍ります」…一体、どれほど興奮し、胸が躍ると言うのか?