ライフハッカー編集部 - Android,Androidアプリ,Microsoft Office,Word,コミュニケーション,スタディ,スマートフォン,ツール,仕事術,語学 09:00 PM
通訳ロボットはビジネス会話をサポートできるほど進化した
最新技術と製品を一堂に集めて体感する場を提供するCEATECH JAPAN 2015が開催中です。今回はその中から、株式会社みらい翻訳の「多言語・オーダーメイド機械翻訳サービス」の展示をご紹介します。この展示からは、「日本語を音声認識し、自然な外国語に翻訳してくれる」サービスの実用化がいよいよだなという感じを受けました。
日本語でしゃべったら、高精度で英語に翻訳してくれるサービスを心待ちにしている人は多いかと思いますが、日本語からの機械翻訳は不自然になったり、意味が通らないことが多いというのが現状だと思います。翻訳の精度をどのように改善していくかが課題だったわけです。このサービスでは、翻訳の精度が従来のサービスよりも改善されているようです。
機械翻訳の性能 | どの程度の文章ならスムーズに訳せるのか?
Word・Outlookなどで利用できる機械翻訳アドインが展示されていました。特許翻訳などのかなり専門的なビジネス翻訳を行えるとのことなので、その性能を確認してみました。
原文 | 翻訳 |
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David様 | David |
ご報告ありがとうございます。 | Thank you for your report. |
デザインについて検討いただけたら嬉しいです。 | I am happy if you could consider the design. |
私たちはこの件であなたのフィードバックが必要であればお願いします。 | We appreciate you feedback if you need this matter. |
この場合私たちは再びあなたに詳しく説明します。 | In this case we will explain the details to you again. |
他に何か問題があれば至急お知らせください。あなたが質問をするならば私たちに連絡してください。 | If you have any other problems please let me know as soon as possible. Please contact us if you have any questions. |
敬具 | Best regards. |
ジミー | Jimmy |
これは展示用に用意されていた翻訳例ですが、原文がやや不自然と感じる方が多いと思います。日本語では省略される主語をはっきり書くことで、英語への翻訳をスムーズにしているように思われます。しかし、英語への翻訳自体は非常に正確です。主語を明確にするなどして「翻訳しやすい原文が書ける」なら、かなり綺麗な英文メールを送れるでしょう。
日本語から他言語への翻訳には、日本語の翻訳に強いNICT(情報通信研究機構)のエンジンを採用しています。この翻訳エンジンはアジア系の言語全般の翻訳に強く、翻訳が難しい言語の1つとされるタイ語にも対応しています。欧米系の言語の場合は、SYSTRANの翻訳エンジンに切り替えることで、あらゆる言語で精度の高い翻訳を得られるようにしているとのことでした。
また、用語集や過去の訳例などを読み込ませることで、精度をさらに上げられるそうです。特許関連の専門的な文章がかなり正確に翻訳されていました。
翻訳ロボット「みらいくん」 | 日常会話をスムーズに通訳
ロボット「みらいくん」は、このサービスを搭載したロボットで、音声を認識すると別言語に翻訳してくれます。周囲がうるさくて音声認識が機能しないといった場面もありましたが、静かな環境では音声認識率は80%ほどということです。日常会話はスムーズに翻訳できている印象でした。
将来的には、外国人旅行客と日本人従業員の間に立って、通訳を行うというように、旅行産業やビジネスシーンでの利用を想定しているようです。みらい翻訳プラットフォームはAPIでの利用が可能なので、人工知能が発展してくれば、認識した言語に合わせて自律的に受け答えができるロボットに利用されたりするかもしれませんね。
個人的に、翻訳精度は従来の機械翻訳より高いと感じました。ビジネス文章のようにパターン化された堅い文章と日常会話の精度が特に優秀です。平均的なオフィス環境やビジネスシーンでどれだけリアルタイムで翻訳できるのかは、とても気になりますね。
先日、Skype機械翻訳に日本語が追加されるというアナウンスがありましたが、日本国内でも機械翻訳への取り組みは進んでいます。「スマートフォンに日本語で話しかけるだけで綺麗な英語になる」のはもう少し先かと思われますが、SkypeやGoogleだけでなく、国産の機械翻訳ソフト実用化にも期待できるのではないかと思います。
(文・撮影/神山拓生)