女子大生殺害:21歳被告に無期懲役 さいたま地裁
毎日新聞 2015年10月07日 20時29分
埼玉県入間市の路上で昨年10月、同市の大学生、佐藤静香さん(当時21歳)を刺殺したとして殺人罪などに問われた同市豊岡、無職、沼田雄介被告(21)の裁判員裁判で、さいたま地裁(片山隆夫裁判長)は7日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。判決は「動機は極めて身勝手で生命軽視も甚だしく、厳しい非難に値する」と指摘した。
判決によると、沼田被告は昨夏、大学の前期試験を受けず留年が確実になった。その後、自分に嫌気が差し、刑務所に入って人生をリセットしようと考え、一人歩きの通行人を殺害しようと決意した。昨年10月15日に帰宅途中の佐藤さんの背中や胸をナイフで多数回突き刺し、失血と呼吸不全で死亡させた。
片山裁判長は、犯行は計画的で残虐、殺意も強固だったとし「凶器を使用して面識のない被害者1人を殺害した事案の中でも最も重い部類に属する」と判断した。沼田被告が事件の数時間後に出頭したことについても「刑務所に入るという当初の計画通りの行動であることに照らせば、反省に基づくものとは言い難い」と述べた。
判決後、佐藤さんの父(54)は取材に応じ「静香の無念さ、悔しさが分かっていただけたと思う。本当に感謝している。被告はこれから、自分の犯したことを考えてもらいたい。判決が出ても、まだ(事件が)絵空事だったのではないか」と沈痛な表情で話した。【遠藤大志】