売れるDM 〜顔を出したお手紙で売上20倍! ゴトウコンクリートのDM

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一般的に「かたい」と言われている業界でもエクスマが有効

扱う商品はコンクリートの二次製品。
取引先はお役所。
かた~い業界のかた~いビジネスで、思いっきり個人の趣味を出して前年度比20倍の実績をつくった恐ろしいほど効果のあるDMがあります。

ボクのエクスマ塾に来ていた「ゴトウコンクリート」という会社の事例です。
簡単にいうと、コンクリート二次製品をつくっている会社。
もっと簡単にいうと、側溝のふたをつくっている会社で、愛知県の豊川市にあります。
側溝というのは道路の脇の溝。
そのふたに使う「ディンプルF」という商品がすごくいい製品なんです。

どこがいいかというと、工事の必要性が極端に減る点です。
その場所に合わせたものをあらかじめ工場でつくってきて、そこに置くだけ。
側溝を採寸しておいて、その形にぴったり合ったふたを工場でつくり、現場ではその製品を側溝の上に置いていく。工事期間がとっても短いわけです。

結果、コストが劇的に安くなります。
道路工事の期間が長くなると、たくさんの人が長い時間働きます。
他に警備員を雇ったり、片側交互通行になったり、長くなればなるほど、そのコストがかかるわけです。

だから、道路を管理しているお役所にとって、この製品はコストの面や工事期間中の安全面を考えると、問題解決をしてくれる素晴らしい製品なんです。

この会社の常務さんがボクの塾に来たとき、
「相手がお役所でも、関係性をつくりやすいDMを出してみたら」
とアドバイスしました。

個人を出したお手紙風のDM

そして、この製品のよさである、工事期間が短く、大幅なコストダウンができること、完成後もとっても評判がいいことを、会社からではなく個人が発信するDMにしてみたのです。
まず、若い営業マンのニコニコした写真が載っています。

道路を工事・管理する皆様へまだまだ暑い日が続きます。ご苦労さまです。
私、ゴトウコンクリート株式会社の⭕️⭕️⭕️⭕️と申します。
毎日さまざまなお役所や現場に呼ばれ、側溝やふたによる住民要望や苦情を解決している営業マンと自負しております

そういう感じで、営業マンが顔を出してコメントしています。さらに、

「3年前からAKB48のファンです! ちなみに推しメンは大島優子です!」

推しメンという言葉は、AKB48のファンの間で通用する共通言語で、強力にプッシュしているメンバーという意味です。
ものすごく個人的なことをいっています。

AKB48のファンの営業マンが書いているお手紙

AKB48のファンの営業マンが書いているお手紙

裏を見ると、「ディンプルエフの『LIVEサービス』です!」。

「LIVEサービス」というのは、お役所の駐車場などを利用して、実際の施工の様子をお見せしますということ。
役所内の駐車場スペースなどで、施工手順や「すべらない・つまずかない」などの製品の長所を案内し、実際の現場でも役所の皆さんにご案内ができる。
ライブで「こんなに簡単ですよ」ということを実際にお見せします、ということ。
そして、「ぜひ一度資料請求、お問い合わせください」と締めくくるDMです。

LIVEサービスというネーミングも秀逸

LIVEサービスというネーミングも秀逸

このDMの反応がすごくよかった。
常務さん、DMを出したあとに、

「恐ろしいです。今までのDMの10倍以上の反応があります」

といっていました。真面目でかたいDMばかり見ているお役所の人たちにとって、このDMはとってもインパクトがあったようです。

このDMにしてから1年目の「LIVEサービス」の動員は、全国160カ所で1700人ほどになりました。実績件数はなんと前年度比の20倍になったのです。

こんなかたい業界でも、お役所相手であっても、関係性をつくり出すという視点で、発信することがすごく大切なんです。
会社が発信するより、その会社で働いている個人が発信したほうが、関係性をつくりやすいということです。

お役所だから、「拝啓 益々ご清祥のことと……」というかたいDMを出していたら、ほかとまったく変わりません。
だから選ばれない。
ある意味、道路工事業界においては、革命的なDMだったわけです。

もちろんこういう革命的な発信をすることで、マイナス要素も覚悟はしている。
こんなふざけたものを(実際はふざけているわけじゃないけれど、ふざけていると受け取られるかもしれないものを)送ってくるな、と怒るようなお役所は相手にしない、という覚悟です。
これがわからないようなお役所は相手にしない、という気概を持って送っています。

商品に圧倒的な自信がある。
でも、その商品のよさを伝えなければ、まったく意味がない。
伝えるためには、個性的な伝え方をしなければ見てもらえません。
そのために必要なのは、個人を全面に出した発信。
それがきっかけで、商品のよさを知ってもらい、資料請求や「LIVEサービス」につなげていく。
毎年毎年、「LIVEサービス」の要請が増えています。

お客さまとの関係性をつくるというコンセプトで、思い切って、個を出し、会社からの発信ではなく、個人の発信にしてみる。
人とちがうこと、他社とちがうこと、個性的であることが一番大事なのです。

独自の価値を見つけ、発信することこそ、これからの時代のマーケティングといえます。

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藤村 正宏
1958年、北海道釧路生まれ。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。集客施設や企業のコンサルティングを行っている。コストをあまりかけない、誰でもカンタンにできる手法で、圧倒的な成果をあげている。 執筆活動、講演活動もする。現在フリーパレット集客施設研究所主宰。

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