[東京 7日 ロイター] - 日本医師会の石川広己・常任理事は、ロイターとのインタビューに応じ、マイナンバーを医療分野に活用することは、遺伝子治療が中核となるこれからの時代には人権侵害のおそれがあるとして強く反対する姿勢を示した。
医療改革の前提となる国民総医療番号制の導入と電子カルテ普及についても、プライバシー問題に加えて膨大な費用を医療機関が負担する点を指摘し、困難との考え方を示した。
──骨太方針の議論で、マイナンバーシステムを医療分野にも適用することに医師会が反対した主な理由は何か。
「マイナンバー制度を医療分野に持ち込むことには反対だ。これからの医療は遺伝子情報が中核となってくるが、究極の個人情報である遺伝子情報が漏れれば、将来的な病気の予測などが、差別や人権侵害につながりかねない。優生医療の拡大のおそれもある」
「政府はマインバー法附則6条で、個人情報提供の範囲を拡大するにあたって、法施行後3年をめどとして、国民の理解を得つつ措置を講ずるとしていた。にもかかわらず、改正マイナンバー法でこれを破り、特定健診の結果をマイナンバーとひも付けることにしてしまった」
「国民番号と医療番号が同じなのは、米国、韓国、北欧。分けているのは英独仏など。これはプライバシーなどの問題を考慮しているため。どちらの制度を採るかは、国への信頼にかかっている」
──マイナンバーとはひも付けのない形の国民総医療番号の導入ならば、医師会も合意したと理解していいのか。
「1枚のカード情報で、病気の履歴や個人情報が全てわかってしまうというのは可としない。固有の医療番号はあってもいいが、希望者だけに限定すべき。人に知られたくない病歴を消したい人もいるはずで、番号を変えることができるものなら構わない。プライバシーを保護するような形での番号を我々は提案している」
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