難民中傷:日本人漫画家に批判集中 FBにイラスト投稿

毎日新聞 2015年10月07日 19時55分(最終更新 10月07日 20時42分)

 難民を中傷するイラストを日本人の漫画家がフェイスブック(FB)に投稿し、「極めて差別的」などと国内外から批判が集中した。イラストは、実在するシリア難民の少女の写真と酷似しており、英国在住の写真家からの要請を受け、7日に削除された。

 イラストは9月上旬、漫画家の蓮見都志子氏がFBに投稿。少女のイラストに「安全に暮らしたい 清潔な暮らしを送りたい 美味(おい)しいものが食べたい」「何の苦労もなく 生きたいように生きていきたい 他人の金で。 そうだ難民しよう!」などと書かれていた。

 国際支援団体「セーブ・ザ・チルドレン」の英国事務所の職員で写真家のジョナサン・ハイアムズ氏が、シリア国境に近いレバノンの難民キャンプで撮影した6歳の少女の写真と構図や表情がそっくりだった。ハイアムズ氏はツイッターで「無垢(むく)な子供の写真がゆがんだ偏見を表現するために使われたことにショックと深い悲しみを覚える。シリアの人々の苦境をゆがめて伝えており、恥を知るべきだ」とコメントした。

 ネット上ではイラストが「人種差別」だとして削除を求める署名活動が今月始まり、1万人以上が賛同していた。

 ジャーナリストの安田浩一氏は「根底にあるのは他者に対する想像力の欠如。平和に暮らしたいという人として当たり前の感情を否定している」と指摘。生活保護受給者らへのバッシングとも共通し「弱者が権利を主張すると手のひらを返してたたく。日本社会の一部にある気分を反映している」と語った。

 蓮見氏は毎日新聞の取材には回答せず、FBに「今回のシリア難民は『なりすまし(偽装)難民』ではないかと考えています。本来ならば裏口から入ってくる不法移民が、堂々と正面玄関からどっと押し寄せているのだと」と投稿していた。【隅俊之、小泉大士】

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