ノーベル賞・大村特別栄誉教授「微生物のおかげ」培養器にお神酒掛ける
2015年10月7日6時0分 スポーツ報知
大村さんの受賞から一夜明けた6日、東京・港区の北里研究所では、門下生たちが取材に応じ、大村さんの人柄や思い出について語った。約20年間、大村さんと微生物の共同研究をしてきた薬学部教授の塩見和朗さん(61)は、微生物応用化学研究室で微生物の培養器の説明をしながら「大村先生は年始めにここに集まると、培養器にお神酒をかけて『いいクスリが見つかりますように』とお祈りをするんです」と明かした。
培養器へのお神酒掛けは、20年以上前から続いているという。塩見さんは「記者会見で大村先生が『微生物のおかげ』とおっしゃっていた気持ちは日頃の行いからも表れていると思います」と話す。微生物に感謝し、後発の研究者には厳しく、温かい。15年前に妻の文子さんが亡くなるまでは東京・世田谷区の自宅に仲間や教え子を集めて新年会を行うのが恒例だった。また、山梨県韮崎市の実家を学生たちが合宿できるように改修。自然豊かな環境でセミナーを行っていたという。
薬学部准教授の廣瀬友靖さん(42)は「先生は海外出張の時には必ずその国の美術館に行くんです」と明かす。廣瀬さんはこれまでにフランス・パリのルーブル美術館や中国・瀋陽の美術大学の展覧会などに同行した。「オルセー美術館(パリ)に行く時には先生の体調が悪く『一人で行ってこい』と言われました。『美術作品を見て感性を磨くことは研究にも通じる』とおっしゃっていました」。1週間前にも出光美術館(東京都千代田区)へ同行したばかりだという。(甲斐 毅彦)