二日続きの快挙だ。大村智(さとし)・北里大特別栄誉教授のノーベル医学生理学賞に続き、六日、物理学賞に梶田隆章・東京大宇宙線研究所長が選ばれた。宇宙誕生の謎に迫る研究成果だという。
梶田所長は岐阜県飛騨市にある観測装置「スーパーカミオカンデ」を使い、素粒子のニュートリノに質量があることを証明した。
ニュートリノは高名な物理学者フェルミがニュートラル(中性。電気を帯びていないという意味)とイノ(イタリア語で小さいの意味)を組み合わせて命名した。他の粒子とまれにしか反応しないために検出が難しく「幽霊粒子」と呼ばれたこともあった。
それを日本の技術力を生かして検出することに成功したのが、小柴昌俊・東京大特別栄誉教授だ。小柴氏は一九八七年、超新星爆発で発生したニュートリノを観測装置「カミオカンデ」で検出した。以来、日本はニュートリノ研究のトップを走っている。二〇〇二年にノーベル物理学賞を受賞した小柴氏は「私の弟子から(ノーベル賞)受賞者が出る」と言っていたほどだ。
研究グループはその後、太陽から来るニュートリノが理論値よりも少ないことなどを発見。スーパーカミオカンデを造って、今回の成果を導き出した。両装置は、ともに同市にある神岡鉱山の地下千メートルに設置された。
よく言われるように、研究は一人ではできない。理論面で支えたのは、名古屋大の坂田昌一博士(故人)。小柴氏の後を継いだ戸塚洋二氏(故人)は、スーパーカミオカンデの建設に尽力した。こうした研究者のリレーの中で生まれた成果だ。
装置の設置に協力した神岡鉱業や、検出器の「目」にあたる光電子増倍管を開発した浜松ホトニクスといった企業の力も大きい。
ところで、今年は日本人研究者が続けて受賞した。大村氏は山梨大を卒業後、社会人になって東京理科大大学院で学び直した経歴が話題になっている。梶田所長は埼玉大を卒業後、東大大学院に進学し、小柴氏の研究室に入った。二人の研究者人生は、大学入試がすべてではない、ということをあらためて教えてくれる。
同じ年に二分野でノーベル賞を受賞したのは、〇二年と〇八年の二度で、ともに物理学賞と化学賞だった。今後、化学賞(七日)、文学賞(八日)、平和賞(九日)、経済学賞(十二日)と発表が続く。期待したい。
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