最注目のポストはこれ!
安倍晋三首相は10月7日、内閣を改造する。安全保障関連法案が前の通常国会で成立したこともあり、首相は繰り返し、政策の軸足を「経済最優先に移す」と述べている。
はたして、そのギアチェンジを如実に示すことができる「布陣」を敷くことができるのかどうか。本稿を執筆しているのは10月6日だが、今後、日本の株価を本格的な上昇基調に戻せるかどうかの試金石にもなるだけに、閣僚名簿の発表に注目したい。
「奇をてらうのではなく、しっかりと結果を出せる内閣にしていきたい」。
10月6日に首相官邸で行った記者会見で安倍首相は、そう抱負を語った。アベノミクスの結果を出すには、それぞれの分野で大臣たちが強いリーダーシップを発揮することが不可欠だ。
では、「経済最優先」を示す象徴的なポストはどの大臣だろうか。
注目されるのが「経済再生担当相」ポストの行方だ。2012年末に第2次安倍内閣が発足した際に設けられたもので、アベノミクスの司令塔の役割を果たしてきた。甘利氏はバリバリの改革派というわけではないが、持ち前のバランス感覚で、党内保守派の声も聞きながら、アベノミクスの改革を推し進めてきた。
経済再生担当は直接役所をもたない特命担当で、いくつもの役所の横断的な問題を扱うことができるという建前だが、圧倒的に手足になる役人の数が少ない。
内閣府のスタッフも各省庁からの寄せ集めのため、大臣が求心力を持ち続けるのは並大抵ではない。それを、労働大臣や経済産業大臣などを務めたベテランの甘利氏を据えることで、各省大臣よりも上の“上級相”的な位置づけにしたのだ。
アベノミクスで取り組んでいる様々な改革には、各省庁や監督業界の利権が絡んでいるものが少なくない。それだけに、改革の旗振り役が各省大臣より“小物”では改革は実現しない。
今回の改造でもまっ先に「甘利氏留任」のマスコミ辞令が下ったのは、そういう意味からも当然の事だった。だが、一方で、官邸周辺には、「もはや経済再生でもないだろう」という声もある。アベノミクスの効果で「再生」の段階は終わったというのである。
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