代表キーマンの五郎丸選手、花園でのミスをバネに飛躍 ラグビーW杯18日開幕 [福岡県]
ラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会(18日開幕)で、1991年大会ジンバブエ戦以来の2勝目を目指す日本代表。鍵を握るのが、正確無比なキックでPGやゴールを決めるFB五郎丸歩選手(29)=トップリーグ、ヤマハ発動機、福岡市出身=だ。高い集中力とストイックな姿勢を生んだ原点は、佐賀工高2年の全国高校大会(東大阪市・花園ラグビー場)でのミスと、当時同校の監督だった小城博総監督(65)の熱血指導にあった。
師弟が「ターニングポイント」と口をそろえる試合がある。2003年1月の全国高校大会準々決勝。ライバル東福岡との対戦は、優勝候補の佐賀工優位とみられていた。しかし前半にFB五郎丸選手が相手のキックを落球してトライを献上し、これでリズムを乱したチームは大敗。五郎丸選手は戦犯扱いされた。「見たことがないほどボロボロで、声をかけられる雰囲気ではなかった」。小城総監督は振り返った。
老司中(福岡市南区)時代まで、自宅近くのみやけヤングラガーズや筑紫丘ラグビークラブジュニアスクールでプレーした五郎丸選手。兄・亮さん(トップリーグ、コカ・コーラ)を追って佐賀工に進学、入学直後から180センチを超える長身と50メートル以上飛ぶキック力で注目を浴びた。02年秋には未来の日本代表候補を育てるために日本協会が創設した「エリートアカデミー」の1期生に選ばれるほど、早くから才能が認められていた。
それでも小城総監督は「超高校級でも練習しないとミスは取り戻せないことを示したかった。雨で滑りやすかったのもあるけど、甘さがあった」と指摘。五郎丸選手の自信を回復させるため、大会から戻ると約1カ月半、マンツーマンで指導。せっけん水につけて滑りやすくした球を取らせたり、左右に蹴る球を走って取りに行かせたりして、一切妥協しない集中力を植え付けた。
1986年から指導する名伯楽が同様の特訓を課したのは、2003、07年とW杯に2大会連続で出場した山村亮選手(34)や日本代表で17キャップの立川剛士選手(38)らごくわずか。「将来日本を背負うであろう選手にだけ行った」と説明する。自分に厳しくなった五郎丸選手。早大やヤマハ発動機でも活躍し、日本代表の中心選手として初のW杯の舞台を踏むまでに成長を遂げた。今年4月からの宮崎合宿でも妥協しなかった。納得するまでキックの練習を繰り返し、ジョーンズ・ヘッドコーチが求める「成功率85%」の達成を目指してきた。
母校には春先から五郎丸選手の等身大パネルが置かれ、選手と指導者ら全員で活躍を祈っている。小城総監督は1次リーグ初戦の南アフリカ戦(現地時間19日)と第2戦のスコットランド戦(同23日)を現地で観戦し、まな弟子の勇姿を見届ける予定だ。「先のことを考えず、目の前の試合に全力を注いでほしい」とエールを送った。
=2015/09/16付 西日本新聞夕刊=