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お年寄りの新たな見守りシステムを開発
10月7日 5時01分

施設で暮らすお年寄りがベッドから起き上がる際などに転倒するのを防ごうと、赤外線を使ってリスクを予測し、介護職員の携帯端末に知らせる、新しい介護機器が開発され、6日、東京都内で発表されました。
機器は和歌山県の精密機械メーカーが開発したもので、お年寄りの自立支援や介護をする人の負担軽減を目的とした介護ロボットとして、経済産業省が初めて優秀機器に認定しました。
縦・横が20センチ、厚さは10センチほどの箱型のカメラを施設の壁に設置し、赤外線を使ってお年寄りの様子を24時間撮影します。そして、お年寄りがベッドから起き上がったり、柵を越えようとしたりする様子などを検知すると、離れた場所にいる介護職員のタブレット端末に通知し、職員が転倒のリスクがあると判断すれば、お年寄りの元に駆けつけて、動作をサポートするしくみになっています。
開発したメーカーが去年、全国の施設に入所するおよそ50人のお年寄りを対象に、3か月間、機器の実証実験を行った結果、転倒した延べ人数と回数が、機器を使う前に比べて半減したということです。
また、携帯端末の映像を通してリアルタイムでお年寄りの動作を確認できるため、介護職員がお年寄りのケアにかける時間が3割減り、負担軽減につながっているということです。
今後、メーカーでは、介護施設などへの販売を始めることにしています。

試作品を導入した施設では

茨城県かすみがうら市の特別養護老人ホームは、去年10月、認知症のお年寄りを見守るため、機器の試作品を4台導入しました。
認知症を患い、足腰が弱って、1人で歩くことが難しいという83歳の女性は、立ち上がりたくても、その日の体調によって、自分でナースコールを押せなかったり、夜間にはいかいしたりするため、転倒のリスクが高いといいます。
女性がベッドから起き上がるのを機器が検知すると、施設の介護職員が持つ携帯端末の音が鳴り、映像を確認した職員がすぐに駆けつけて、女性が立ち上がるのをサポートしていました。女性は「トイレに行くときも職員が駆けつけてくれます。1人で歩いて転んでしまっては怖いので、すぐに来てくれてありがたい」と話していました。
一方、施設側にとっては、夜間は介護職員の数が少なく、24時間態勢での見守りの負担が大きいことが課題でした。新しいシステムの導入で、介護職員は女性の動作を携帯端末で確認し、必要があると判断した場合に駆けつけるようになり、業務の負担も減ったといいます。
統括責任者の大和田修さんは「お年寄りの安全性を高めながら介護職員の負担軽減にもつながり、とても助かっています」と話していました。
施設ではさらに、撮影した映像からお年寄りの行動の特徴などを分析し、それぞれに合った介護計画の作成に生かしたいと考えています。

動作に関する情報の蓄積も

製品の開発を支援した、産業技術総合研究所の大川弥生招聘(しょうへい)研究員は、「こうした介護機器を使うことで、お年寄りが転倒するリスクを減らすだけではなく、日頃の動作に関する情報を蓄積することができる。この情報を分析し、それぞれのお年寄りがよりよい暮らしができるような介護やリハビリの計画作りに生かしてほしい」と話しています。

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