巨人が福田を野球賭博疑いで告発 177条違反なら永久追放も
巨人は5日、東京・大手町の読売新聞東京本社で緊急会見を行い、福田聡志投手(32)が賭博行為をしていた疑いがあるとして、コミッショナーに告発すると発表した。福田は知人との間で、夏の甲子園やプロ野球などを対象に賭けを行い、巨人の試合も含まれていた。球団は同日付で福田と、知人を紹介した笠原将生投手(24)を謹慎処分とした。日本野球機構(NPB)の熊崎勝彦コミッショナー(73)は、調査委員会に事実の徹底究明を依頼した。
ポストシーズン突入を目前に控えた巨人が不祥事に揺れた。球団は午後4時半から急きょ会見をセッティング。久保博球団社長から、福田に野球賭博の疑いがあるという衝撃の事実が公表された。久保社長は「福田の行為は決して許されない。全国のプロ野球を愛するファン、さらに巨人ファンの皆様に深くおわび申し上げます」と陳謝し、50人を超える報道陣を前に約5秒間、深々と頭を下げた。
球団によると、福田は今年8月、知人の税理士法人勤務を名乗る男性A氏から誘いを受け、夏の甲子園の複数の試合の勝敗で賭けを行った。負けが膨らむと「プロ野球で取り返せばいい」と持ちかけられ、その後、プロ野球とメジャーリーグも対象に。9月上旬まで、プロ野球とメジャーの試合にそれぞれ約10試合賭けた。中には、巨人戦も3~4試合含まれていたという。
福田は現金の授受こそ行っていないが、最終的には百数十万円の損を抱えた。A氏とは連絡を絶とうとしたが、9月30日にはA氏がG球場を訪問し「福田選手に貸してあるお金を返してもらいに来た」と話し、問題が発覚。球団は即座に弁護士に依頼して調査を行った。
A氏はもともと笠原の友人の知り合いだった。福田は昨年、笠原から紹介された。調査では反社会勢力との関わりはなく、賭けも2人だけの間だったとされる。笠原も誘いを受けていたが、断っていた。
福田は今季1軍登板がなく、八百長行為はなかったが、球団は野球協約に抵触している疑いが強いとしてコミッショナーに告発することを決めた。笠原も、A氏が野球賭博常習者と認められれば協約違反となる可能性があり、2人は5日付で謹慎処分に。福田は刑法の賭博罪に当たる疑いもあるため、警察への届け出も検討されている。久保球団社長は、2人の解雇も「十分あり得る」と厳しい態度を明確にした。
この動きを受け、熊崎コミッショナーも午後5時半からNPBで緊急会見。「大変悔やまれる。大変残念。ショック。私自身としては、裁定官としての職責を全うする。返す返すも残念だ」と険しい表情を浮かべた。1日に巨人から通報があり、この日午前に詳細報告を受け直ちに調査委員会に依頼。1~2か月の調査期間を経て、処分を下す考えを表明した。
コミッショナーによると、現状では福田の行為は「(協約の)177条ないし180条の有害行為に該当する可能性がある」。八百長行為とみなされる177条違反の場合は「永久失格処分」で、賭博行為などを禁止する180条は「1年間または無期の失格処分」。現状ではどちらに該当するか明言はしなかったが「177条は非常に重い。いずれに該当するか慎重に検討する」と話した。
1969年に発覚した八百長行為で現役選手が永久追放処分を科された「黒い霧事件」以降、野球賭博などの有害行為で処分が下されたことはない。不正排除に努めてきた球界のイメージ低下は避けられない。
福田と笠原は宮崎フェニックスリーグにも帯同しておらず、この日は午前中からG球場での練習に参加していた。笠原は、チーム内では腰痛が理由と説明されたという。クライマックスシリーズ第1ステージは10日から開幕。球団は出場辞退については完全否定したが、選手間に動揺が広がるのは確実な状況だ。
◆福田 聡志(ふくだ・さとし)1983年9月12日、大阪府生まれ。32歳。伊都高(和歌山)から東北福祉大を経て、2005年大学・社会人ドラフト希望枠で巨人入団。多彩な変化球を武器に12年には50試合に登板し、8勝を挙げたが、今季は1軍登板なし。通算成績は151試合で22勝15敗、防御率4.15。180センチ、84キロ。右投右打。家族は妻と1男2女。9月に第3子となる長男が誕生した。年俸2400万円。
◆笠原 将生(かさはら・しょうき)1991年1月9日、埼玉・浦和市(現さいたま市)生まれの福岡育ち。24歳。福岡工大城東から2008年ドラフト5位で巨人入団。今季は20試合に登板し、0勝0敗、防御率6.16。通算成績は80試合で7勝1敗1セーブ、防御率4.34。父・栄一さんはロッテ、ダイエー(現ソフトバンク)でプレー。弟・大芽はソフトバンクの現役投手。191センチ、95キロ。右投右打。年俸1900万円。