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なぜ「国際バカロレア」なのか | 第2回 日本のIB実施校の取り組み編

なぜ「国際バカロレア」なのか | 第2回 日本のIB実施校の取り組み編

2015.09.25

世界共通の学びの土台として今、国際バカロレア(International Baccalaureate、以下IB)が146ヵ国で導入されています。ここシンガポールのインター校でも導入が進み、日本でも文部科学省が、2018年までに大学入学前のディプロマプログラム(IBDP)を導入する学校を200校まで増やすという数値目標を掲げています。  7月号では入門編として、国際バカロレア機構と文部科学省を取材し、概要をお伝えしました。今回は日本のIB認定校2校を取材し、日本での現状をお届けします。

Q.学校の授業の特徴は何ですか

予習ありきのディスカッションがメイン。板書で知識を得るのは家庭学習(予習)に入り、授業ではその確認と更なる知識を得る。プレゼンテーションやポスター作りなどをたくさんすることが特徴
深澤 蘭さん

授業風景画像

    【その他の生徒の声】
  • 少人数の課題探究型であるところ
  • 生徒間・生徒と先生の距離が近くアットホームなところ
  • 他人の面白いアイディアを聞ける機会が沢山あるところ
  • 自分の意見を持たなければならないところ
  • 月に2回はいずれかの教科でプレゼンテーションがあるところ
  • 知識を覚えるのでなく「考える」ことが多いところ

 

Q.IBの授業によって、どんな力がついたと感じていますか
また、学校の授業を経て自分のどんな点が変化しましたか

自分の意見を伝えると同時に、他人の意見を最後まできちんと聞いて活用する力が身についた。以前より自分に自信がついた
ポダルコ マリーナさん

授業風景画像

    【その他の生徒の声】
  • 文章力・表現力が伸びた
  • 人前で話す度胸がついた
  • 今まで以上に積極的になった
  • さまざまな角度で見る視点ができた
  • 異文化の人にも偏見を持たずに接する態度が身についた
  • 授業・試験・学期の後に必ずみんなで今までを振り返り、今後の課題を見つけられた

 

Q.授業で大変だと思うことはありますか

発言で恥をかく危険性はあるが、リスクをとって発言しないとクラスに貢献できないこと
岸 晃夢くん

宿題を受け身でこなすだけでは不充分。自分で深く掘り下げて調べる姿勢が期待されていること
李 始恩さん

授業風景画像

    【その他の生徒の声】
  • 英語で発言すること
  • 課題のボリュームが多いこと
  • 自学して発表するという学習スタイルに慣れること
  • 授業の密度が濃く討論も多いこと
  • 英語で理系科目を理解すること
  • 課題を締め切りまでに仕上げること

 

Q. この学校を選んで、何が良かったと思いますか

異なるバックグラウンドをもった、非常に優秀な仲間たちが周りにいること。私自身ももっと努力しなければと自分を見つめ直すことができる。先生と生徒の距離が非常に近く、授業の質が高く密度が濃いところも魅力。
福田 千尋さん

授業風景画像

    【その他の生徒の声】
  • より深く物事について学び、自分で考える力が養われる
  • 生徒に多様性があり、毎日色々な出会いがある
  • 時間管理の訓練
  • 学習スタイルや自主性を大学進学への準備につなげられる

 

IBが目指す「学習者像」



考える人(Thinkers)」とは

複雑な問題を分析し責任ある行動をとるために、 批判的かつ創造的に考えるスキルを活用する人。

「心を開く人(Open Minded)」とは

自己の文化と個人的な経験の真価を正しく受け止めると同時に、多様な視点を求め、価値を見いだし、その経験を糧に成長しようと努める人。

「挑戦する人(Risk Takers)」とは

ひとりで、または協力して新しい考えや方法を探究・挑戦できる人。

「振り返りができる人(Reflective)」とは

自分自身の成長のために、自分の長所と短所を理解しようと努め、世界についても深く考察する人。

その他の学習者像として、「探究する人(Inquirers)」「知識のある人(Knowledgeable)」「コミュニケーションができる人(Communicators)」「信念をもつ人(Principled)」「思いやりのある人(Caring)」「バランスのとれた人(Balanced)」があります。

 

編集部より



取材した生徒さんたちは、まさに今の日本でIBの「学習者像」を体現していることに気づきました。それは、新しい挑戦をいとわない「リスクテイカー」であること、多様な人々と「オープンマインド」で関わり合うこと、自分を改善するための「振り返り」を課すなど、社会で求められる前向きな姿勢でした。日本ではすでに2014年から現在まで、国際バカロレア機構により15回の教員研修ワークショップが開催され、総計1,386名の教員が参加しています。日本のIBの裾野は、確実に広がってきているようです。


取材協力:国際バカロレア機構、東京都立国際高等学校、東京学芸大学附属国際中等教育学校

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