韓国は「FTA(自由貿易協定)先進国」だ。世界1位、2位の経済大国である米国と中国をはじめ、締結済みまたは交渉が進行中のFTA相手国・地域は60余りと他国に比べ抜きん出ている。だが、日本とのFTA(日本側名称:日韓経済連携協定〈EPA〉)については官僚も企業家もそろって気乗りしない様子を見せている。彼らの言い分はこうだ。「日本とFTAを結んだところで、製造業の競争力がけた違いの日本から製品が韓国に流入してくるばかりで、対日貿易収支がさらに悪化し、経済的な実益がない。反日感情のため国会での批准もラクダが針の穴を通るくらい難しいだろうから、わざわざ苦労して結ぶ必要はない」
世界市場や中国市場で好調なサムスン電子、現代自動車、アモーレパシフィック、イーランドなどの韓国企業も、日本市場では苦戦していたり事業をたたんだりしているのだから、こうした主張も一見正しそうに思える。ならば、これからも日本とのFTAを避け続けたり、現政権が構想する韓中日FTA締結という便法を使ったりするのが最善の策なのだろうか。私の考えは正反対だ。韓日FTAを一日も早く締結して韓国経済に活力を吹き込み、競争を活性化させるべきだ。韓日FTAによって得るものの方が失うものより圧倒的に多いのだ。
まず、韓国の2.5倍の人口、4倍の面積を持つ先進国の日本市場を有利に攻略できるようになるのは大きなメリットだ。これは需要の減少に苦しむ韓国企業にとって、大きなチャレンジであり、チャンスだ。ある人は韓国の対日平均関税率が日本の対韓平均関税率より3倍ほど高いことを挙げ、韓国の機械・自動車産業などが日本に市場を明け渡し、日本企業に従属することになると主張する。果たしてそうだろうか。