鬼室黎
2015年10月5日15時45分
原爆投下後の広島・長崎の様子を35ミリフィルムで撮影した記録映像フィルムを高精細な「4K」映像としてデジタル化したところ、当時の情景が鮮明に浮かび上がってきた。フィルムを所有する映像制作会社の日映映像(名古屋市)が、3時間余りの映像の中から約10分間の1万4千コマ以上をスキャンした。
その結果、治療を受ける被爆者の表情や暗がりにたたずむ人物の姿、人気のないがれきの町を歩く人影などが4Kで初めて見えてきた。また、これまで広島市の証券取引所付近とされてきた映像が、背景の斜面や「大黒」という地名などの文字が読み取れるようになり、長崎放送(NBC)などの調査で、長崎駅前の土蔵の壁に男性が字を書いているところだと分かった。
日映映像は、第2次世界大戦中に国策宣伝映画やニュース映画を制作した日本映画社(日映)を前身とする。被爆地の様子を記録するため、1945年秋から冬にかけて広島・長崎を撮影した。フィルムはその後、全てGHQ(連合国軍総司令部)によって米国に没収されたが、日映はひそかに一部を複製し保管してきた。
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