三ツ木勝巳
2015年10月5日11時38分
淡い恋心を抱いていた男性の戦死をつづった朝日新聞声欄の投稿を、ロックバンド「爆風スランプ」のボーカル、サンプラザ中野くんが歌にした。投稿を読み、「本当の戦争を感じた」と話す。曲名は投稿のタイトルと同じ、「結婚の約束果たせなかった彼」だ。
投稿したのは、愛知県岡崎市の鈴木慶子さん(87)。8歳年上のいとこと静岡県の浜名湖でボートに乗った時の胸のときめきや、その戦死を知った時のことなどをつづり、2013年12月17日付の声特集「語りつぐ戦争」で掲載された。
鈴木さんは国民学校高等科を卒業後、愛知県豊川市の海軍工廠(こうしょう)に動員された。終戦間近の1945年8月7日に2500人以上が亡くなった豊川空襲の際は、裸足で逃げ回り生き延びた。大切にしていたいとこからの手紙もこの時に焼けてしまった。
当時、ネットでこの投稿を読んだ中野くんは、「何度も読んで、何度も泣いた。戦死した人の家族のもとに白木の箱が送られて、中身が紙切れ1枚だった。一体これは何だ、と。この文章が『思いを伝えてほしい』と言っているような気がした」。
鈴木さんの了承を得て、原文ほぼそのままを歌詞にし、約5分の曲に仕立てた。伴奏はアコースティックギターとハーモニカ。中野くんが読み上げるように歌う。
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