TPP合意へ 中国経済“封殺”も 日米主導の巨大自由貿易圏が誕生 (2/2ページ)

2015.10.05


大筋合意の見通しを発表する甘利TPP相。中韓経済への影響は甚大だ=4日、米アトランタ(共同)【拡大】

 中国事情に精通する評論家の石平氏は「中国は相当不利な状況だ。今から入るわけにもいかないし、そもそも入れない。すぐに影響が出るわけではないが、TPPの大筋合意はジワジワと中国の首を絞めていく。中国は今後、ますます追い詰められるだろう」と指摘する。

 とはいえ、狡猾な中国は、朴槿恵(パク・クネ)大統領率いる韓国のように、TPP交渉を傍観していたわけではない。

 中国はTPPに対抗するため、AIIBの設立に動いた。アジアを中心に57カ国が参加、日米が主導してきた既存の国際秩序の“破壊”を目指す構想だが、残念ながらTPPに対抗するどころか、早くも頓挫しそうな勢いだ。

 そもそも、中国の国内経済が危機的な状況にあるうえ、AIIBの主要出資国であるドイツは、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の排ガス規制不正問題や、シリア難民問題で四苦八苦しており、それどころではない。

 石平氏は「AIIBはうまくいかない。中国の下心がミエミエだ。2、3年たてば各国が気づくだろう」と語り、自国の利益しか考えない構想は挫折するとみている。

 中国分析で定評がある評論家の宮崎正弘氏は「中国は2年ほど前からTPPを警戒し始め、『TPP何するものぞ!』という気持ちで、AIIB創設に加え、世界中でさまざまなプロジェクトをひっくり返してきた」といい、続ける。

 「中国は、先のインドネシアの高速鉄道受注をめぐり、金にモノを言わせて日本の新幹線の売り込みを阻止した。他にも、タイをはじめ、アルゼンチンやペルー、米ラスベガス−ロサンゼルス間でも、高速鉄道受注を狙っており、世界中で札束攻勢をかけている」

 だが、中国の国際会議での孤立ぶりは明らかで、習近平国家主席の訪米でも、ローマ法王の米滞在と日程が重なり、米国側の冷遇ぶりが目立った。TPPの創設で、中国はどう出てくるのか。

 石平氏は「表向きは大きな反応はせず、平静を装う」と予想する。崖っぷちの中国が次はどんな手を打ってくるのか。

 

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