2015年10月6日07時30分
今年のノーベル医学生理学賞が5日、抗寄生虫薬で途上国の多くの患者を失明から救った大村智さん(80)らに決まった。「世の中に役立ちたい」という思いを胸に、来る日も来る日もかき集めた土を調べ続けた愚直さが実を結んだ。
「年間、土壌から2千株、4千株の菌を分離していく。一人でやるのは大変。みんな研究熱心だった」。大村さんは5日の記者会見で、これまでの研究を振り返った。
アフリカや中南米の人たちを苦しめる病気の特効薬になったのは、伊豆半島のゴルフ場近くの土から見つかった細菌の仲間だった。
1グラムの土には1億もの微生物がいて、ごくまれに薬をつくり出す菌がいる。北里研究所の抗生物質室長だった大村さんは、研究員たちとともに小さなポリ袋とスプーンを持ち歩き、通勤や出張の度に各地の土を集めていた。
ある日、菌の培養液が入った試験管の一つに目がとまった。これまでにない色と性質を示していた。カビに似て、放射状に菌糸を出す放線菌という細菌の一種で、1974年に静岡県伊東市のゴルフ場近くで採った土に含まれていた。「この菌は面白そうだ」
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