[東京 5日 ロイター] - 日銀は6─7日に開く金融政策決定会合で、年間80兆円の国債買い入れを柱とする現状の量的、質的金融緩和政策(QQE)の継続を決める見通しだ。
政策の目安とする消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)はマイナスに転落したが、食品など日用品の価格は上昇幅を拡大し、物価の基調は改善していると判断している。
ただ、2016年度前半に2%の物価目標を達成するとの従来シナリオは、原油価格の低迷状態が継続しており、実現に黄信号が点灯している。中国の経済情勢や米金融政策の行方をめぐって、市場では思惑が交錯。仮に市場価格が大幅に変動するような事態に直面し、日本経済にショックが波及すると判断した場合には、追加緩和も辞さない方針だ。
8月のコアCPIは前年比0.1%下落し、2年4カ月ぶりのマイナスとなった。しかし、生鮮とエネルギーを除く日銀版コアコアCPIは同1.1%上昇するなどプラス幅を拡大し続けており、日銀では「物価の基調は着実に改善してきている」(黒田東彦総裁、9月28日会見)と判断している。
<生産減少/雇用・所得環境は改善>
しかし、将来の物価動向を左右する国内外の景気は、強弱材料が交錯。日銀は中国をはじめとした新興国経済減速の影響が、顕在化してきているとみている。8月の実質輸出や鉱工業生産は前月比で減少しており、7─9月期の国内総生産(GDP)の大幅な改善は見込み薄となっている。
一方、8月の有効求人倍率は1.23倍に上昇し、1992年1月以来の高水準となった。実質賃金も2カ月連続で前年比プラスになるなど雇用・所得環境の改善基調は継続し、8月の実質消費支出も3カ月ぶりの増加に転じた。
輸出・生産に代わる経済のけん引役として期待されている設備投資も、企業は好調な収益環境を背景に強気の投資計画を大きく下方修正していないことが9月短観で確認された。
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