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 香港の汚職捜査機関・廉政公署は5日、在任中に公務員として不適切な行為があったとして、前行政長官の曽蔭権(ツォンインチュワン)氏(70)を起訴した。香港トップの行政長官経験者が起訴されたのは、1997年に香港が中国に返還されて以降初めて。曽氏は「やましいことはない。法廷で潔白が証明されると信じている」と話している。

 香港メディアはこれまで、曽氏が財界などから経済的な利益を受け、便宜を図った汚職の疑いがあるなどと報じていた。曽氏は親中派として知られるが、司法当局は「起訴の判断について、何ら干渉は受けていない」としている。

 発表によると、曽氏の起訴内容は、2010年11月から12年1月にかけて政府が放送局の免許を審議中、放送局の大株主との間で、広東省深圳市にある高級住宅を借りる賃貸契約を進めていたことを政府関係者に伝えていなかったなどというもの。この価格が市場価格より格安だったと指摘がされている。

 曽氏は英国植民地時代の香港政庁から公務員として務め上げ、ナンバー3の財政官やナンバー2の政務長官を歴任。初代長官・董建華(トンチエンホワ)氏の辞任を受けて、05年6月から12年6月まで長官を務めた。(広州=延与光貞)