国家情報院職員法第17条第1項には「全ての職員は在職中はもちろん、退職後も職務上知り得た秘密を漏洩してはならない」と定められている。ところが単なる職員とは異なる国情院長を歴任した人物が今回、それもメディアの前で国家機密を暴露して回っているのだ。ちなみに金氏は過去にも機密を意図的に漏洩、あるいは事実関係を誇張して説明した前歴がある。金氏は盧武鉉政権が終わる直前の2007年12月18日に北朝鮮を訪問し、北朝鮮の金養健(キム・ヤンゴン)統一戦線部長と直接会っているが、それからわずか1カ月後、その対話の内容が記載された文書を政府関係者以外に横流ししたことが発覚し、辞任に追い込まれた。国情院長在任中も、母校同窓会のホームページに自らの携帯電話番号を公開し、また07年にアフガニスタンで韓国人宣教師が拉致された時には、解放に向けた交渉現場でサングラスをかけた担当者を同席させて記者会見を行い、大きな問題となった。これなどはまさに歴史に残るコメディのような一幕だ。金氏は国家情報院長という要職にありながら、実はこのように愚かな行動ばかり続けていたのだ。
2011年には日本のある雑誌に「哨戒艦『天安』爆沈」を「沈没」に、また「延坪海戦」を「延坪敗戦」などと呼び、その上で「専門家の多くは(天安爆沈について)韓国国防部(省に相当)の主張には説得力がないと考えている」と発言した。さらに金氏はこの記事の中で、2007年の南北首脳会談に関する機密を漏洩したとして起訴猶予処分を受けていた。このように相次ぐ問題行動で物議を醸した金氏が、最近になって出版した自らの著書、あるいはメディアとのインタビューなどを通じ、盧武鉉政権における南北交渉の秘話を次々と勝手に公表し始めたのだ。あるいは国会議員選挙が近づいていることもあり、自分への注目を集めて名前を売りたがる病気が再び発病しているのかもしれない。このような人物が、かつてこの国の情報機関で責任者を務めていたということ自体が信じられない。今後、金氏についてはその発言の真偽を確認すると同時に、法律に違反した部分については厳しく責任を追及しなければならない。