韓国の情報機関、国家情報院(国情院)の金万福(キム・マンボク)元院長が、国家安全保障に関してやってはならない発言を行い、さらにそれを撤回するといった行動で物議を醸している。
金・元院長は今月1日、ある朝刊新聞のインタビューで「南北首脳間のホットライン(直通電話)があり、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(当時)と金正日(キム・ジョンイル)総書記は随時直接電話していた」と語った。しかし翌2日には「ホットラインは韓国大統領府(青瓦台)ではなく国情院にあり、盧大統領の在任5年の間に金総書記と電話をしたことはない」と発言を翻した。金・元院長の発言が事実だとすると、退職後も職務上の秘密の漏洩を禁じている現行の国情院職員法に違反しかねず、事実ではないとすると、情報機関の元トップとして無責任な行動をしたことになる。
金・元院長は1日のインタビューで、自ら「機密事項」と明かしつつ「ホットラインは24時間稼働した。韓国側の電話機のベルが鳴ると、金正日総書記からの電話だった」「ホットラインを通して、南北首脳はかなり話をしたが、南北関係で大きな意味を持つ内容が多かったことだろう」と語った。
ところが翌2日、ソウルの世宗文化会館で開かれた「10・4南北首脳宣言8周年国際シンポジウム」に出席した金・元院長は、発言を撤回した。討論会で、統一部(省に相当)のイ・ジョンソク元長官が「私も盧武鉉政権で働いたが、ホットラインは全くなかった。(盧・金両首脳が)電話したことがあったのか」と尋ねると、元院長は「ただの1回もなかった。首脳間のホットラインが(大統領府ではなく)国情院にあったという話は(メディアに)言えなかった」「(誤解を呼んだとすれば)間違っていた」と答えた。