広域貿易圏で主導権狙う=米の影響拡大を警戒―中国

時事通信 / 2015年10月5日 21時21分

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 【北京時事】中国は、アジア太平洋地域の貿易体制への米国の影響力拡大を強く警戒している。今後、環太平洋連携協定(TPP)などを取り込み、より広範囲の自由貿易圏を構築する手法で、通商ルール策定の主導権を奪いたい意向とみられる。

 中国が狙うのは、アジア太平洋経済協力会議(APEC)加盟の全21カ国・地域を網羅するアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築。昨秋に北京で開かれたAPEC首脳会議で、「中国の強い働き掛け」(通商筋)により、早期実現に向けた工程表が策定された。

 中国は今年、韓国、オーストラリアとそれぞれ、自由貿易協定(FTA)に署名。一方で日中韓FTAや、日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国、豪州、ニュージーランド、インドの計16カ国による広域FTA「域内包括的経済連携(RCEP)」の交渉の歩みは遅い。

 TPP、日中韓FTA、RCEPを早期にFTAAPに包含してしまいたい中国は焦りを募らせるが、思い切った市場開放に慎重なのは実は中国自身。国有の企業や銀行が国内市場を支配する現状を変えていくのは、容易なことではない。

 各国の通商関係者の間では、「TPP並みの規制緩和も行えない中国が、それよりハードルの高くなるFTAAPを主導していけるのか」(APEC筋)との疑念は根強い。 

[時事通信社]

jiji

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