International
|
農産品以外の工業品の関税率(平均)は、日本が2.5%。これに対し、米国が3.3%、シンガポールは6.6%など高めで、関税撤廃によるメリットは、日本が相対的に他国より大きくなる。
<進むソリューション輸出、非関税障壁撤廃の追い風>
さらに、日本企業にとってのメリットは、非関税障壁撤廃にある。経済団体幹部の1人は「モノの関税への関心はそれほど高くないというのが本音」と打ち明ける。
背景には、モノだけの輸出よりも、ノウハウやシステム全体の売り込みに日本企業の中心がシフトしそうだ。すでに米国企業では、一足先にこうした「ソリューション輸出」が主流になっている。
そのため、今回のTPP合意では、取引ルールが統一され、さまざまな手続きが簡素化される。そのことでモノや人の移動がスムーズになる効果の方が「(モノの関税撤廃よりも)はるかに期待が高い」と経団連幹部は指摘する。
例えば、パナソニック(6752.T)では、インフラ輸出に関連して線路メンテナンス向け画像やデータ送受信システム、駅の大型情報スクリーンと連結したシステムの販売拡大を狙っている。
TPP合意が実現すれば「通信システムの企画の違い、申請手続きや窓口となる監督官庁の違いといった障壁の引き下げにつながる」(モノづくりイノベーション推進室・企画課長の一力知一氏)と期待している。
重電が基幹ビジネスだった日立製作所(6501.T)、も、英国内で2014年─19年に合計1273両の車両を納入する。欧州での王者・シーメンス(SIEGn.DE)を追い抜き、英国でのシェアトップに躍り出たが、この上昇気流の中でのTPP合意は「さらに追い風になる」と語る。
ソーシャルトレンド