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米大統領 米主導の貿易ルール作り実現できる
10月6日 0時29分

TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉が大筋合意に達したことを受けて、アメリカのオバマ大統領は声明を発表し、「中国のような国に世界経済のルールを作らせるわけにはいかない」として、TPPでアメリカ主導の貿易のルール作りが実現できるという考えを強調しました。
アメリカのオバマ大統領は5日、声明を発表し、「中国のような国に世界経済のルールを作らせるわけにはいかない。新たな市場を開拓するためわれわれがルールを作るべきで、今回、達した合意がそれを実現する。アメリカの価値を反映した合意だ」として歓迎しました。そのうえで、「TPPはさまざまな国がアメリカの生産物にかけている1万8000以上の税金を取り除き、農場や牧場の経営者、それにメーカーが競争する環境を平等にする。21世紀に不可欠な、地域のパートナーや同盟国との戦略的な関係を強化するものだ」として意義を強調しました。
そして、「この合意に私が署名できれば、アメリカの生産物を世界でもっと売ることができるようになり、アメリカの労働者は競争し、勝つことができる」として、アメリカ議会に対し、TPPの発効に向けて合意内容を承認するよう協力を呼びかけました。

アメリカにとって通商戦略の重要な柱

アメリカは、世界のGDPの40%を占めるアジア・太平洋地域にアメリカ流の投資や貿易のルールを広げ、成長する巨大市場からの利益を取り込もうとTPPを通商戦略の重要な柱の1つに位置づけてきました。特に、オバマ大統領は、TPPを任期中の大きな功績=レガシーの1つにしようと交渉を推進し、アジアで影響力を高める中国に対抗するためにも貿易協定づくりで先行し、アジア太平洋地域の主導権を確保しなければならないと訴えてきました。
しかし、TPPの交渉はアメリカがみずからの利益を追求し、交渉相手から最大限の譲歩を引き出そうとぎりぎりまで粘る姿勢を続けた結果、難航しました。今回の閣僚会合までもつれた交渉分野は医薬品のデータ保護期間などをはじめに、いずれもアメリカの利害に絡むものばかりでした。
アメリカは、こうした姿勢も影響してTPP交渉の最終盤で各国の反発も招き、ことし7月のハワイの閣僚会合では大筋合意に持ち込むことができず、今回の閣僚会合でも交渉日程を延長する異例の事態となりました。
ただ、来年11月の大統領選挙に向けた国内の動きが熱を帯び始めるなか、今回も大筋合意を逃せば、オバマ大統領の任期中に議会の承認を取りつけ、TPPを発効させるのが極めて難しくなる瀬戸際に追い込まれていました。また、ハワイの閣僚会合に続いて、今回も12か国の利害を調整できなければ、アメリカの交渉の進め方や指導力が問われ、12か国の間で合意の機運が失われかねないという焦りもありました。
今回、なんとか大筋合意にこぎつけ、今後、アメリカ議会の承認など、国内手続きを順調に進めることができれば、オバマ大統領が目標とするTPPを通じたアジア戦略の土台作りが進む見通しです。

中国 公式コメント出さず

中国政府は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉が大筋合意に達したことについて、公式のコメントは出していません。
中国は、TPP交渉には参加せず、アジアの16か国によるRCEP=東アジア地域包括的連携協定の交渉には参加していて、アメリカが加わらない形での自由貿易の枠組み作りを進める姿勢を見せています。このため、中国商務省は「TPPが透明性があり開放的な態度を保つことを望む」として、TPPを通じてアメリカがアジア太平洋地域における経済的な影響力を強めることには警戒感を示しています。
中国は、アメリカとの対等な「大国関係」を目指しており、みずからが提唱する「一帯一路」と呼ばれる東西をつなぐ巨大経済圏の構想の実現に向けて、アジアを中心とする地域での影響力の拡大を今後も図って行くものとみられます。

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