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世界揺るがしたVW排ガス不正、見抜いたのは堀場製作所の小型測定器

Bloomberg 2015/10/2 06:00

実走行に近い排ガス測定を

自動車調査会社、カノラマジャパンの宮尾健アナリストは、VWによる不正を受けて各国の排ガス規制が強化される可能性が高いと指摘。より実走行時に近い排出値が出る路上走行での計測は巨大市場の米国ではバスやトラックなど大型車両にしか求めていないが、これを乗用車にも義務づけるようになれば、ポータブル型計測器への需要は「一気に拡大する」とし、排ガス計測器で圧倒的なシェアを持つ堀場は「さらにシェアを上げ、優位に立つだろう」と話した。

米環境保護庁は今回の問題を受けて、自動車メーカー各社に排ガス規制の監視を強めていく方針を書簡で伝えた。具体的にどう強化するかは明らかにしなかった。日本でも太田昭宏国土交通相がディーゼルエンジンの検査方法について見直しを検討していることを明らかにしている。

自動車の排ガス測定では、伝統的に屋内で使用する据え置き型の計測器を使用してきたが、各国の環境規制強化の流れで、路上走行の排出値の測定を求めるようになっており、米欧はバスやトラックで既に義務化している。中村氏によると、欧州では2017年から乗用車での実施が予定されている。昨年投入し、正式な路上測定もできる新製品が自動車メーカーからの引き合いを受けているといい、路上測定の精度や効率を高めて顧客に貢献することが当面の最大の課題だと話した。

「おもしろおかしく」

今回のVW排ガス不正発覚に至る過程は13年にさかのぼる。民間非営利団体(NPO)の国際クリーン交通委員会(ICCT)が欧州当局から米国で販売された欧州車の路上走行での排ガス検査の実施を委託され、ウェストバージニア大の研究者らと調査を進めた。堀場製の小型測定器を用いた路上走行検査で基準を上回る値が出たことがきっかけとなり、VWが検査結果をごまかすソフトウエアを使っていることが発覚。追及の末にVWが不正を認めた。

VW側は検査時だけ排ガスをコントロールする機能がフル稼働するソフトウエアを搭載して販売していたことを認めた。米環境保護局(EPA)によると、通常走行時の排気ガスは最大で基準値の40倍に達し、同局は1台当たり3万7500ドルの制裁金を科す可能性がある。対象車は約48万2000台で、その場合、最大180億ドル(約2兆1600億円)となる。対象は09-15年モデル。

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