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 日本に暮らす一人ひとりに12桁の番号が割り振られる「マイナンバー(社会保障・税番号)」。その法律が5日施行され、今月中旬から番号の通知が始まる予定だ。企業と自治体は情報漏れ対策やシステム改修に追われ、副業を持つ人に混乱も広がっている。

 東京都立川市で2日あった中小企業向けのマイナンバーセミナー。経理や人事の担当者らで40席が埋まり、社会保険労務士の講演にペンを走らせた。

 「アルバイト従業員でもマイナンバーの取得は必要です」「書類を持ち出す時は、マイナンバーが見えない封筒に入れましょう」

 すべての民間事業者が従業員のマイナンバーを集め、安全に保管することが義務づけられる。中小企業も情報漏洩(ろうえい)対策が必要だ。

 立川市のソフトウェア開発会社総務部長の赤沢直美さん(48)は、昨年から同種のセミナーに5回ほど参加した。従業員は約40人。個人情報を扱うのは自分だけだが、「マイナンバーがどこで漏れるか不安。手間が増えるばかり」。ネットから遮断したパソコンで管理し、周りから見えないよう仕切りで囲う予定だ。八王子市の遺影写真制作会社の山下俊治常務(56)は初参加。「ウイルスが心配。データが盗まれないよう、社内のセキュリティーを上げなくては」と気をもむ。

 セミナーは、オフィス向けIT機器の販売やシステム管理が専門のキヤノンS&Sが主催。昨年末から全国で500回以上開き、制度の説明に合わせて、マイナンバー対応のキヤノン製複合機や人事・給与システムなどを売り込む。担当者は「中小企業がセキュリティーを見直す起爆剤。マイナンバー特需です」。情報サービス業の大塚商会の1~7月のセミナーも1万6千人が受講した。