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 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は5日、米アトランタでの閣僚会合で大筋合意した。これにより国内総生産で世界の4割近くを占める巨大経済圏がアジア太平洋地域に生まれる道筋がついた。関税が下がることで、輸入食品が安くなったり、日本の輸出車を海外で売りやすくなったりするなど、日本の食卓や産業にも影響しそうだ。

 甘利明TPP相、フロマン米通商代表部(USTR)代表ら、参加12カ国の閣僚による会合が5日朝(日本時間5日夜)再開し、会合後、甘利氏が記者団に大筋合意したと明らかにした。報告を受けた安倍晋三首相は5日夜、記者団に「妥結に至ったことは、日本のみならず、アジア・太平洋の未来にとって大きな成果であった」と語った。

 協定は各国の議会承認などを経て発効する。

 合意に至ったのは、難航していたバイオ医薬品をめぐる米豪の交渉などが決着したためだ。医薬品のデータ保護期間をめぐっては、新薬メーカーの多い米国が「12年」を、後発医薬品をよく使う豪州などが「5年」を求めて対立が続いていたが、4日、「実質8年」とする譲歩案で米豪が折り合った。

 5年の保護期間に、審査期間などとして3年を上乗せする内容で、「5年」を主張していたペルーなどの理解も大筋で得られたとみられる。日本は現行の保護期間が8年で、大きな変更はない。

 5日にかけては、米国とニュージーランドが対立していた乳製品の扱いや、日本のコメの輸入枠拡大などで詰めの交渉が行われた。

 また、これまでの交渉では、難航分野の一つだった自動車の関税撤廃の条件を定める「原産地規則」で、域内での部品調達割合が55%程度以上なら関税優遇の対象とすることで日米とカナダ、メキシコの4カ国が一致した。著作権の保護期間については原則、「作者の死後70年」で統一する。原則「死後50年」としている日本は20年延長となる。

 日米の関税交渉では、いまは38・5%の牛肉関税を16年目以降に9%、低・中価格の豚肉の大半は、1キロ最大482円を10年目以降に50円に下げる。米国が自動車部品の関税2・5%を8割超の品目について即時撤廃することなども固まっている。鶏肉やワインなどの関税もなくしていく。

 TPP交渉は2010年3月に始まり、日本は13年7月から参加した。各国の利害が対立して交渉は難航し、今回の会合も、当初1日までだった予定が5日までずれ込んだ。5年半に及ぶ交渉の末、ようやく大筋合意した。(アトランタ=清井聡、鯨岡仁、大畑滋生)