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「戦犯」は日建・竹中・電通

東京五輪に暗雲。新国立競技場をめぐる大失態は、巨大利権の裏で蠢く「陰の紳士」たちを浮かび上がらせた。

2014年11月号 POLITICS [新国立競技場の吸血鬼]

すっかり当確気分の竹中が、関係者に「解体工事は辞退してもいい」と余裕を見せたのが、思わぬ波紋を呼んだ。「竹中は本体工事も諦めたらしい」と受け止められて、慌てて「大手ゼネコンは解体を辞退すべきだとの“天の声”があった」と触れ回ったという。他の大手ゼネコンが解体を安値受注して本体をさらわれたら竹中は元も子もない。そこで、大手各社に「みんなで解体から手を引けば怖くない」と“針小棒大”に伝えたのが「天の声」の正体らしい。

開閉式屋根実現に森をせっついた戦犯はまだいる。20年東京五輪のマーケティング専任代理店となった電通の元専務、高橋治之(株式会社コモンズ会長)である。組織委理事に入ったが、森には屋根付きを強く勧めていた。五輪後に、スポーツだけでなくライブなどのイベント会場にあてて収入源にしたいからだ。当初、イベント年60回と非現実的な皮算用をはじいていたが、8万人の会場を満員にできるライブなどほとんどなく、芝の養生費も天文学的な数字になる。それでも利権に血眼の高橋は押し通した。作曲家の都倉俊一がデザイン・コンクールの審査委員としてザハ案を後押ししたのも、お先棒を担いだせいだろう。

高橋は理事就任早々、組織委内にマーケティング委員会を設けて委員に就任しようと動いた。委員会の下に自ら設立するスポーツマーケティング会社をぶら下げ、20年五輪と19年ラグビー・ワールドカップ(W杯)の両方の数千億円の利権を一手に握らせる思惑があるからだ。

トンネル会社は却下されたが

五輪と違い日本のラグビーはマイナーなためスポンサーが少なく、19年W杯は赤字確実と言われる。日本ラグビー協会会長を兼任する森はそれを気にしており、両大会のマーケティング利権を一体とすることで、五輪からW杯へ利益を“流用”できると高橋に口説かれてその気になった。

だが、電通内部から本誌に寄せられた内部情報によれば、すでに電通を専任代理店にしているからこれは「屋上屋」なのだ。元財務省事務次官で組織委の事務総長に就いた武藤敏郎らは、さすがにこの下心あらわな高橋構想を却下したようだ。

関係者によれば、高橋は過去にも利権会社をトンネルにしてきたという。「屋上屋」は電通の利益が高橋の会社に横流しされることを意味するが、電通スポーツ局長の中村潔執行役員と同局サッカー事業室国際部長の村上哲哉は高橋の“子飼い”のため、上司の高田佳夫常務の指示ではなく、高橋の走狗として動いているという。

電通内の反高橋派から、その手口を暴露する文書が本誌に届いた。スポーツ局は、FIFAクラブワールドカップの業務から制作費名目でスイスのスポーツマーケティング会社AMS(Athletic Management Services)に毎年数千万円を上納しているという。同社は01年にアディダス創業家ダスラー家と電通の合弁会社ISLが破綻した後、ISLの陸上担当者が電通の出資を受けて設立した会社だが、畑違いのクラブW杯にも数人を派遣、電通の業務委託費をもらっている。これがトンネル会社を使った資金還流だという告発である。

本誌の報道に、東京地検特捜部幹部は憮然としているという。地団駄を踏むくらいなら、さっさと手を着ければいい。あの巨大な新国立競技場には、見えざる吸血鬼が鈴なりなのだから。(敬称略)

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