体験価値がビジネスの成功につながる!?
9月2日の日本経済新聞夕刊にエクスペリエンス・エコノミーに関する記事が掲載されました。顧客にとっての「体験」こそが経済価値になるという考え方で、記事ではスターバックス・コーヒーを例にとって説明されていました。
要約するとスタバの成功は顧客にとっての体験価値を上げたことにあるそうです。おいしいコーヒーを提供し、家でも職場でもない第三の場所としてリラックスできる場を提供し、店内の無料の無線LANなど居心地のいい環境を整備する。そこに価値が生まれてビジネスが成功するということです。
体験価値以上に上がる価格の不思議
この記事で私が一番面白いと思ったのは、体験価値が上がるにつれて上昇するコーヒーの価格です。
記事によればコーヒーカップ一杯のコーヒー豆はバルクで扱うと一杯あたり1円にしかなりません。これがきれいなパッケージに包んで小売りすると一杯20円で売れるのです。そしてそれをスタバの体験価値を加えることで顧客は一杯400円を支払うといいます。
それ自体はとても正しい経済現象を解説しているのですが、よく考えてみるとおかしな話です。パッケージに包むという体験価値を与えると価格は20倍になり、そこにくつろぎという体験価値を与えると価格がさらに20倍になるという話なのです。
本質価値を上げているひとたちに届かない恩恵
コーヒー豆流通の暗部を描いたドキュメンタリー映画『おいしいコーヒーの真実』の冒頭に、エチオピアのハラー地方の農民たちが登場します。ハラーといえば世界で一番おいしいコーヒー豆を生産するブランド地域で、農民たちは収穫したコーヒー豆を丁寧に天日干しをして仕上げて市場に持ち込みます。
コーヒー豆の生産としては一番付加価値が高い農民たちの仕事の対価はコーヒー一杯あたり1円にもなりません。そして農民たちは自分たちが出荷したコーヒー豆がアメリカでカップ一杯のコーヒーとして販売される価格を耳にして驚きの声を上げるのです。